61話 2つの選択。
人の記憶には限界があるらしい?ワーキングメモリー的な。
最近覚えられなくなってきた気がするこの頃。そう言えば昔から暗記する社会とか苦手だったなぁ……あれ?(๑╹ω╹๑ )
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地面から出て来たのは、ジャイアントワームと言う大きいミミズう。どこにでもありそうな名前だし、魔族にはネーミングセンスは無いのだろうか。そう言えば黒い狼もシャドーウルフだったな……。
「ん……。」
『考え事ですか?』
「ん?別に対した事じゃないんだけど。名前がね、適当だなって。」
『ジャイアントワームですか?』
「そう。ジャイアントワームってどうなの?もっとカッコいい何かはなかったのかなっと。」
『昔からこの種族はワームと名があり、スモール・ラージ・ジャイアントと種類がいます。』
SサイズとLサイズにLLサイズって感じか……食べ物みたいだ。食べないけどね。
「シノブさん?難しい顔……は分からないけど。何を悩んでいるの?敵を目の前にして。」
「名前が気になって。なんでジャイアントワームなのか。」
「大きいからじゃない?それ以外に何かあるの?」
「特にないけど。なんかもっと、カッコいい名前はなかったのかなって話してたんだ。」
―キィィィィ!
「ちょっとそんな話ししてる場合じゃなさそうよ!」
「そうなんだよ。でも気になるよね。」
顔らしき体をそり、僕に向かって突進してくる……これは。
―ズン!
―キィ!?
「……これは体当たりかな?それとも頭突き?」
「いや、どっちでもいいし。」
「突進じゃないでしょうか師匠!」
「シノブさんに挑んでくるあたりで、捨て身アタックじゃないかしら?」
「そこ2人。選択肢を増やさない。」
「……回転があったので、回転頭突き。」
「ラストラもいいから。」
とにかく僕は前に突き出した剣で、相手の回転のかかった頭突きを抑えた。
「そんな事より、あの攻撃を受けて一歩も動かないシノブさんの方が疑問でしょ?」
「え?師匠はいつもそうですよ?」
「そうよね。何も不思議な事は無いわ。」
「あぁ〜そうね。自分で言ってて違うなって思った。」
「そう言えば動いてない!思った以上に攻撃が軽かったのかな?」
「軽いね。ほら。」
―ブゥゥン!ガツン!
―ギィ!!…………ドシーン!!ぎゃ!
武器を軽く振ってジャイアントワームを弾き返す。ミミズだけあって軽いのか、後方まで吹っ飛んでいく。
「今何か声がした?」
「え?誰も何も言ってないわよ。」
「そっか。気のせいか。」
―ズズズ。
地面が揺れ始める。地下にあった体が出てくるのかな?
「これだけ大きい穴だ。本体全部出てこれるのかな?」
「出て来たらまずくない?」
「どうして?」
「だって後ろは行き止まり。前はあのデカイのが突っ込んでくるわけでしょ?」
「行き止まりで、あのミミズが突っ込んでくる……。」
エストに言われたので、前から来た場合を想像してみる……。目の前に来たら、剣でフルスイングで飛んでいく。もしくは斬ってしまうか。
「殴る、斬る……あと何かある?」
「水で押し流すです!」
「焼きましょう。」
「えっと、えっと……見守ります。」
「誰も潰されるとか思わない訳?」
「「「ない。」」」
「僕潰されるんですか!そう言えばさっきも声が聞こえた様な。」
ジャイアントワームは地面から体を持って来て。
「いや、なんか違うな……潜ってる?」
「大きいからよく分からないわね。」
「師匠魔法撃ってみますか?」
「そうだね。僕とセローで牽制しようか。」
「はいです!水玉、ギュルンです!」
セローが水玉で攻撃する。なんか効果音が増えているけど、セローのアレンジだろうか。僕は、風でいいや。
―ザブン!ギュルン!
―ズズン!
―ビュン!バァン!
―ズズズン!
攻撃が当たると地面が大きく揺れる。効いているのかよく分からない。けど相手からの攻撃らしい攻撃は無い。
「どうしようかな。このまま牽制……ん?」
―ズズズズズズズ……ドシーン!
上から石が降ってきた。
「ん?上から石が降ってきた。皆んな気をつけて。」
「気をつけてって……これ崩れたりしないわよね?」
「あーそう言えば振動とかダメって最初言ってたよね。どうかなアイさん?」
『地盤が限界です。あの魔物の狙いはこれだったのかもしれませんね。』
「そうか。限界ね……あれ?これもしかして崩れるやつ?」
『このままですと2分後には。』
「え?あと2分で崩れる?」
アイさんと話をしていて思わず口にしてしまった。
「ほら!崩れる!」
「大変です。」
「大変ね。」
「僕の人生もここまでか。楽しかったな……アマン。」
慌ててキョロキョロするエスト。セローとレブルは大変と口にはしているけど、いつもとなんら変わりはない。いや、セローはレブルの袖を掴んでいる。レブルはチラチラ僕の方を見て、腕を組む手に力が入っている様に見える。ラストラは……寝そべって体の前で手を合わせている。
僕はと言うと、そんな皆んなを見ている。すでに断たれた退路。ジャイアントワームに塞がれた道。まさに崩れかけている天井。
―ズズズ……。
「何ができるか分からないけど。とりあえず元凶は大人しくしてもらおうか……。」
土の剣を地面に刺して、抜刀の構えをする。
そこには何もない。知らない人が見たらそう見えるだろう。だけどそれはここにある。
「風よ……斬り裂け。風刃。」
―ヒュンヒュン。
剣を抜く動作から、勢いを殺さず十字に斬るイメージ。風切音が洞窟に響く。
―ズン!
大きく地面が揺れて、辺りはは静かになった。
「た、倒したの?」
「多分。もう揺れもないし、とりあえず落ち着いたかな。」
「さすが師匠です!」
「シノブさんがいるんだもの。何が起こっても大丈夫よ。」
「僕、腰抜けたっす。」
ジャイアントワームが動かなくなり、後は帰るだけか。後ろはすでに埋まっているから、掘り進まない限り道はない。そして目の前はジャイアントワームが道を塞ぐ。さてどっちに進もうか。逃げたであろう魔族も一応捕まえておきたいし。
―ズ……ズ。
「おや?今何か揺れた?」
「ちょっと怖い事言わないでよ。」
「いや、確かに……」
『忍様!』
上を向いて目に入ってきた光景は、天井が落ちてくる。
あ〜これは…………。
♦︎
地面が揺れている。暗く、そして冷たい。
「っく。何が起こった?」
地面に寝そべる自分に気がつき起き上がる。
「あちこちが痛むな。どこかにぶつけたか?」
体は動くが、あちこちに痣が見える。頭も靄ががっていて後頭部にタンコブができている。
「私は今まで何をしていたのか……。」
起き上がり状況を確認する。暗いが見えなくはない、洞窟か?この揺れはいったいなんだ?
「このグニグニしたものは?」
行き止まりには土に埋もれた何か柔らかいもの。触ってみたが動く気配はない。
「後ろに続くであろう道はあるが。」
この先に何があるのか。暗くて見えないので、もしかしたら行き止まりの可能性もある。そうなると私はここに閉じ込められている事になる。
「そもそも私は何故ここに?」
頭にできたタンコブをさすりながら、私は後ろの道を進む。
「何も思い出せない。私は……。」
この先に続く道がある事を信じて…………。
???「さっきのグニグニの感触がまだ残っている。」
???「うぅ。今更だけど鳥肌が。」
???「しかし暗いな。何か明かりになるようなものはないだろうか。」
???「……独り言が多いな。私も案外寂しがり屋なのかもしれないな。」




