39話 最高の手加減。
電車で書いていると睡魔が……あの揺れ危ない(*'ω'*)
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魔族は魔力を封じるって魔道具をつけた訳だし。あとは町の人に任せればいいとアマン達の所に帰る。
―ズガァァン!
「人が飛んできた。」
「アイツ魔力無くても手が自由だからかしら?」
「はわわ!大変です!抑えられてません!」
抑えつけようとしたり、縄で縛ろうとした男達は飛ばされていく。両足を魔道具に繋がれ、回避力はないけど持ち前の力でどうにかなっているっぽい。
「み、見てないで助けて欲しいです……。」
「えー。魔力は使えない訳だし、これくらい抑えられなきゃ捕まえた意味がないと思うけど。」
「それを言われますと……。」
困り顔のギルマス。まぁ意地悪をしたい訳ではないから、協力はするつもりだけど。
「どうしようか。僕が殴り飛ばして来ようか?」
「良いんですか!?」
「それはダメじゃないかしら?」
「どうしてです!」
「クリーブランって今、魔力制御されているのよね?」
「魔道具が付いていますから、魔力は全く使えないはずです。」
うーんっと考えるレブル。魔力が使えないなら簡単に殴り飛ばせると思うんだけど。
「シノブさんが殴った場合……多分死んじゃうんじゃないかしら?」
「……。」
「ははは。ただ意識を奪うくらい殴るだけだよ?そんな訳ないじゃないか。」
「……。」
なんで皆んな静かになるの?
「あの魔力で、変身した姿も一撃で沈めちゃうシノブさんよ?あんなひょろひょろな魔族くらいなら、どうにかならない方がおかしいわ。」
「た、確かに……。」
「師匠は最強ですから!」
「それくらいの手加減でいないの?あれだけ強いなら、力加減の一つや二つ出来そうだけど。」
「それは難しい注文ね。」
「です!師匠は手加減しても、湖を作り出す人ですから。」
「湖って?」
そう言えばそんな事があったなぁ。でもあれは少しだけ強めに撃ったから、手加減はしていない方だ。そんな出来事をレブルとセローが説明する。それを聞いているギルマスは驚き、そして頭を抱える。
「空を飛ぶ魔族に、湖を作り出す魔法の原因は全て貴方達でしたか。」
「ちょっと私をそこに含まないでくれる?」
「私も何もしてないよ〜空はいつか飛べるようになりますが!」
「そっか。セローも練習すれば飛べるようになるから。頑張ろうね。」
「空怖い……ってそう言うことではなくて。」
ぶるっと震えるギルマス。もうやらないから、そんなに怯えないで欲しい。飛びたくない人を無理やりさせたりしない。仲間になった訳でもないのに。
「シノブさん?言っておくけど、私も飛ぶ気はないからね?」
「え?エストレアだって練習すれば……。」
「お断りよ。」
「勿体無いな。せっかく魔力で空を飛べる世界なのに。」
「世界がどうであれ、私は飛ばないわ。」
―ズガァァン!
そんな話をしている間にも1人、また1人と兵士達は飛ばされていく。少しは踏ん張って貰わないと。このままじゃどんどん男が弱いと思われるじゃないか。町の人が窓の隙間からこっちを見たりしているのに。
「このままじゃ、男としてのダメレッテルが消えないか……やっぱりここは僕がいくよ。」
「本気で?シノブさん大丈夫?」
「まぁ結果はアイさんに手伝って貰うんだけどね。」
「それはどうなるにしろ必須事項よ。」
「そんな訳でアイさん!作戦会議を。」
『お任せください!力の限りお手伝いします!』
いや、力の限りされたら困るんだが。アイさんと話した結果は、力にあっいては1%まで抑えて速さを重視するって話になった。
「それじゃ、一発入れてみる。ダメそうなら少しずつ抑える力を上げてみるよ。」
「殺さないようにね。」
「師匠頑張って下さい!手加減を!」
「心配だわ。」
「シノブさんお願いします!」
皆んな心配性だな。魔族ってくらいだからそんな柔な訳ないのに。
『パワーコントロール・ジャストワン、ファストムーブ。どうぞ忍様。』
「ありがとうアイさん。じゃ、ちょっと行ってくる。」
「ちょっと!私を降ろしてぇぇ!?」
―ギュン!
「黒の魔導師!貴様もここで倒し……」
「かる〜く……。」
―ポス。
何か声が聞こえた気がしたけど気にせず、クリーブランの前まで移動する。そして言われた通りかる〜く殴る。ポスって聞こえそうな可愛い音が聞こえそうな感じで。
―ビュゥゥ……ズガァァン!!
「あれ?なんで軽く触っただけなのに。」
「一瞬息が止まったわ。皆んなの所へ帰る時はゆっくりぃぃ!?」
―ギュン!
皆んなの所に戻ろうと軽く歩いた。やっぱり誰かの叫び声が聞こえた気がする。
「師匠!ナイス手加減でした!」
「家の壁にめり込む手加減ね……まぁ結果オーライかしら。」
「あ、ありがとうございます!」
セローは分かってくれるか!あれが最高の手加減なんだ。壁に埋まりはしたけど、殺さず意識を奪う事は成功したと言って良いだろう。
「軽く触っただけなんだよ?なのに吹き飛んで……。」
「殴る瞬間が私も見えなかったけど、なんでかしらね?」
「さぁ?」
「なんであんなに早く動いたの?」
「手加減するし、相手の攻撃される前に近づいて殴る必要があるかなと。」
「それで移動と殴る事を刹那の間にやったっと。」
「刹那って程でもないでしょう。」
いまいちこの状況が分からない。移動と攻撃がほぼ一緒のタイミングって事?それの何がいけないんだ?
「アイさん。アレが吹き飛んだ訳を説明してあげて。」
『畏まりました。では説明します。』
「2人って話した事ないのに、息ぴったりというか仲良しだよね?」
アイさんが丁寧に話してくれた。
『止まっている物体に力を加えなければ、そのまま止まり続けます。動き続けている物体に力を加えなければ、そのまま動き続けるとします。』
「そんな事を学校で習った気がするな。何だっけか……。」
『忍様の世界の法則です。慣性の法則と言います。』
「あー聞いたことある。電車が急発進したりするやつだよね。」
『そうですね。なので速く動いた結果、その運動エネルギーが全てクリーブランに移ったと言う事です。』
「止まった僕の代わりに動きつずけたと?」
『その通りです。』
成る程ね〜それなら納得だ。
「さすがはアイさんね。シノブさんを納得させるのはアイさんしかいないわね。」
『ありがとうございます。レブルも忍様をよく分かっていますよ。』
「ありがとう。」
「2人って会話出来ているの?」
「私は聞こえないわよ。でもきっと褒められた気がするからお礼を言っただけよ。」
『私にレブルの声は聞こえます。私からの声は忍様のみ聞こえるようにしています。』
意思疎通出来ているレブルは凄いな。いつか2人が喋れるようになればいいのに。何かないか今度試してみよう。
♦︎
アマン達と合流する為に、一度始めの武器屋まで戻る。
「遅かったじゃないか……エストレアは何かあったのか?」
「まぁ色々あったね。」
「色々ねぇ……。」
「シノブさん怖い……速いのヤダ……うっぷ。」
気持ち悪そうなエストレアを椅子に座らせて、先程まで起きた事を説明する。
「ドジっ子2人と巻き込まれたエストレアな。それでシノブは解除する方法教えて貰いに行くんだろ?」
「ドジっ子……私はギルマスと言う……。」
「そうだね。面白い女の人だったし、家も知っているからすぐにでも行ってくるよ。」
「女の人の家……シノブさん私も行ってもいいかしら?」
「え?別に構わないけど。」
「それじゃ行きましょう。」
何でそんなにくっついてくるの?転移するつもりだから、触る必要はあるけど。そんなにくっつかなくても。
「まぁいいか。じゃ、ちょっと行って来ますね。」
「おう。気をつけてな。」
「トランステレポート!」
―バチ。
「……あれ?移動しない。」
『何かに干渉されました。座標が固定できない為飛べません。』
「干渉された?町の中はセキュリティ厳しかったしな。何かあるのかな?空なら町の近くの森に行こう。トランステレポート!」
―グワン……。
今度は上手くいった。さっきのは何だろう?魔法って言っても万能じゃないか。何か条件が合わないとかあるんだろう。
「ここがその町の近く?」
「少し離れた森の中だよ。町の入口に転移する訳にもいかないしさ。」
「そうね。いきなり現れて武器向けられても面倒ですし。」
歩いて行っても武器を向けられるよ。
そして今、さっきと同じ状況な訳だが。
「貴様どうしてここに!中にいたのでは無いのか?出た所を見ていないぞ。」
「どうして一度見た相手にこうも武器を向けるのかしら。」
「今回は僕じゃ無い気もするけどな〜」
「僕じゃないって?そうなると私しか居ないけど。私は特に変な見た目でも……。」
左手に持つ抜身の黒い剣。時折だけど黒い魔力が漏れ出している。
「あーこれね。持って来ちゃったわ。」
「仲間を連れて、どうするつもりだ!そんな剣むき出しなやつを入れる訳にもいかない!」
「じゃー仕舞えばいいんでしょ?コレクト。」
「これでいい?」
レブルから剣を預かりコレクトで仕舞う。
「え?剣が消えた?黒い渦に吸い込まれたような?どうなっているんだ?」
「これで入れるよね?」
「え?いや、まぁそうなんだが。それより誰に会いに来たんだ?それによって行先もコードも違うんだが。」
入口の門番が疑問に思いつつも仕事をしてくれる。
「あ、コードは分かるので大丈夫です。」
「何だ招待済みの方だったか。それなら先に言ってくれれば。」
「すいません。次から気をつけます。」
そうして僕とレブルは、魔道具の解除法を聞くために町へと入って行く。
エストレア「気持ちが悪い……ギュンって動いてピタって止まっただけなのに。」
アマン「シノブも降ろしてから戦えばいいのにな。ほら果実の飲み物だ。」
エストレア「ありがとうアマン……。」
セロー「ゾン。何でレブルは着いて行ったの?」
ゾン「それはあれだ。女の家に行くからだ。」
セロー「私達連れて行けば良かったんじゃ?」
ゾン「レブルの気持ちを察してやれ。シノブはそれに流されて2人で行っただけだ。」
セロー「師匠もおっちょこちょい?」
ゾン「いや、あれは鈍感さんだ。」




