101話 頼れる仲間
3章スタートです。
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夜、みんなを呼んで森で起こった事の話をした。この場にセローが居ない事を知っているが、みんなは黙って聞いてくれた。
「じゃ、魔界に行くのね。エストとラストラは家族に話をして来るとして、私と忍さんで先に魔界に行きましょう。」
「え?」
「本当はすぐにでも行きたいと思うけど、私達を頼ってくれて嬉しいわ。」
話を聞いてすぐに動くとレブルが言った。正直僕もそうしたいと思っていたから、少しだけ驚いた。
「ここへはすぐに戻って来れるし。私はすぐに行ってもいいわよ。と言うか、ここでおちおち寝て待つなんて出来ないわよ。」
「エストの言う通りだな。魔界でもどこでも俺はいつでも出発出来るぞ。」
エストとゾンも同じ意見。
「それなら私も行かねばなりませんね。」
「腕は大丈夫なの?」
「はい。この通り。血は止まっていますし、利き腕は無事です。」
片腕は失ったものの、ラストラの回復のおかげで動けると言うハイヤー。
「そんな怪我してすぐ動くとか……途中で倒れてもいいように僕も行くっす。」
「な?話して良かったろ?」
仲間が全員一緒に来てくれる。こんなに頼もしい事はない。アマンの言われた通りにして良かった。
「色々と未知数な所だけど、今度こそみんなは護ってみせるよ。」
「そんな背負わないで。私も居るから……」
「ありがとうレブル……」
レブルが僕の手をとってくれる。僕はそれを握り返し……
「そういうのは後でやってくれ。」
「そうね。早くセローを迎えに行ってあげないと。」
「わ、分かってるわよ!」
「よし。みんな行こうか!」
離そうとしたレブルの手をしっかり握り、みんなはそれぞれで手を繋ぎ僕はアマンの肩に触れる。
「じゃ行くよ。トランステレポート。」
♦︎
そしてあっと言う間に魔界へと転移して来た。
「ここが魔界……あんまり人間界と変わらないな。」
「俺もここ来た時は、ゾンと同じだったな。」
ゾンとアマンは周り見て、そんなイメージだと話をする。
「こんな寂しい感じじゃないと思うけど。」
「僕もエストと同じっす。」
「まぁ景色は今はいいわよ。明るいうちにセロー捜索を開始しましょう。」
エストやラストラは違うイメージで、見る人によって見方は変わるんだなって思った。
「そうだ。出発前に俺からいくつか提案だ。」
「さすがアマン。もう何か考えたの?」
「話しておかないとブレるからな。まずは闇雲に探すしかない訳だが、ここで2つ情報を広めるんだ。」
「どんな?」
「簡単だ。黒い凄腕の魔導師が魔界の王都を目指しているってな。」
「それって何か意味あるの?」
ごほんっと咳払いしてアマンが話し出す。
「まず1つは黒い凄腕の魔導師がシノブだとセローに気づかせる。」
「もう一つは?」
「2つ目はそいつが魔界の王都を目指していると言う事だ。」
「成る程ね〜それでいこうか。」
アマンの意見に反対する人は誰もいない様だし、方向性と目的地は決まった。だがしかし、僕には凄く気になる点がある。
「黒いは良いとして、凄腕の魔導師ってどう広めるのさ?自分で言うの?」
「忍さんは普通にしてればいいと思うわ。」
「え?目立つ必要があるなら、自重しないで派手に戦う方が僕はいいと思うけど。」
「「却下だ。」」
普通にしていればいいと言うレブルに、ラストラの意見を即否定するアマンとゾン。
「それはダメなのラストラ。少しは見ているから分かると思うけど。シノブさんが自重しないと……世界が無くなるわよ。」
「いやいや、エストのそれはさすがに言い過ぎでしょう。」
「自覚ないのシノブさん?いつもの抑えているで地形が変わったりしてるのに?」
「そんな事あった?」
「アイさん聞こえてるわね?世界の平和は……シノブさんのサポートは貴女に託すわ。」
『世界の平和は……忍様の事はお任せ下さい!』
「何その世界平和って。」
結局何も決まってないよな。いつも通りの行動じゃ僕は目立たないし。この全身黒って言うのも、魔族の好む装備だっていつか聞いたことあるし。
「あ、いい事思いついた。」
「何かあるかシノブ。」
「一人で考えるからいけないんだよ。みんなで噂にすればいいんだよ。」
「みんなで噂?俺らが広めるって事か?」
「まぁ待ってよ。どう言う事かと……コレクト!」
―ズズ……
「どこしまったっけか……あーこれだ。よいしょ。」
「「「これは??」」」
「忍さんと同じ頭の装備?でも色が黒じゃなくて赤いわね。」
僕が取り出したのはみんな様に、いつか使うと思って作ったフルフェイス。
「前に魔族は僕の様な格好を好むって聞いたから。」
「だからシノブは赤の印象を付けるってか?それじゃセローが気づかないんじゃねぇか?」
「だからみんなでなんだよ。レブル持ってて。」
「ええ。」
赤いフルフェイスをレブルに渡す。そして順番に……
「ラストラは黄色ね。」
「僕?」
「エストは灰色。」
「もしかして……」
「アマンは金色で、ゾンは銀色でいこうか。」
「いや俺に渡されても。」
「これを装備する時が来たか。」
「いいからいいから。とりあえず被ってみてよ。」
「ハイヤーは紫ね。」
「私の分もあるのですか。いただきます。」
色の違うフルフェイスをそれぞれに被ってもらった。
「さて、まず向かうのはあの遠くに見える町かな。」
「いや、シノブよ。さらっと流しているが、この格好大丈夫か?」
「似合っているよアマン。」
「うん。みんな一緒だし大丈夫!色だって僕とお揃いっぽいし!」
「ラストラが言うのなら……」
アマンが疑問に思っているけど、魔族として動くならこの方がいいはず。人族としてバレずに知名度を上げるんだし、これくらいの統一性があった方がパーティぽい。
「ゾンは随分とすんなり受け入れるんだな。」
「この兜の作製に少し手伝っているからな。いずれ何処かで使うんだろうと思っていた。」
「……そうか。レブルとエストはどうなんだ?」
「まずは人族とバレないようにアピールする訳だし。忍さんがいるんだもの、みんなでやれば怖くないわ。」
「みんなでやるからこそ、怖いと思うけど。私やレブルは鎧があるからそこまで目立たないけど……。」
「被っても視界が遮られたりしませんね。声も聞こえますし。」
「少し魔法も付与しているし、着けてて不便な事はないはず。」
「まぁ……」
さてと!みんなが納得したところで、移動を開始しよう。
「時間も勿体ないし。行くよー」
「本当にこれで大丈夫なのか……」
「ほらほら、アマン。みんな行っちゃいますよ。」
「お、おう。今行くから引っ張るなって。」
しばらく歩くと町の入口が見えて来た。
「かなりボロボロだな……人が居るのか?」
「魔力の反応はあるから、誰かしら居ると思うけど。」
門番は特に居なかったので、そのまま町へと入る。外を歩いている人は誰もいない。
「あそこの建物に何人か魔力反応があるから、あそこに行ってみようか。」
扉を開けると少し開けた食堂のようで、何人かの目線がこちらに向く。
「おや?こんなところにお客……ひぃ!?」
「……シノブ。悲鳴のようなものが聞こえたんだが?」
「そう?…………。」
「…………ごく。」
僕と同じくらいの男の人を見る。震えているけど寒いのかな?
「あの。」
「はぃぃ!なんかご用でしょうか!!」
「……何を聞けばいいんだっけ?」
「そこか!?」
「そう言えば目的決めたけど、何からすればいいかな?」
「自分の居る所の確認じゃないか?」
「そうだね。じゃ……ここはどこで地図とかないかな?」
「ただいまお持ちしますぅ!!」
慌ただしくその男の人がカウンターの奥に引っ込んでいく。
「どうやら地図はあるようだね。良かったよ。」
「俺はなんか先行きが不安でしかない。」
今いる場所を確認したら、みんなで相談して……やる事はまだまだあるね。
待っててセロー。すぐに迎えに行くからね。
忍「いいスタートきれそうだね。」
アマン「俺は不安しかない。」
忍「アマンは心配性だな。言葉も通じたし、あの人も良い人そうじゃない。」
アマン「恐怖しかないがな。それに周りの視線も……」
忍「周り?……みんな逸らすね。人見知りなのかもしれないね。」
アマン「前向きなんだな。まぁ今は待つしかないか。」




