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無敵のフルフェイス  作者: みけな
第二章 無敵のコンビ〜始動編〜
100/150

100話 手の届かない場所

ここで2章を区切りとします。


3章は少し空きます。再開は2月3日の12時予定です。よろしくお願いします!


ブックマーク、感想、評価、誤字報告、読んでくれた皆様!

いつもありがとうございます(*'ω'*)

 空に突然現れた黒い翼の男は、片手に剣を持っている。


「あれはさっきのソースイーター?」

「ソースイーター?そんな剣じゃねえぞ。」

「そんな馬鹿な!我は魔王にそう言われ……」


 ―ブォン!


 空気が震える。そんな感覚があった。


「は?」

「魔王様だろう?人族が呼び捨てにしていいお人ではないぞ。」

「ぐあぁぁぁ!!」


 見ると国王の左腕が肩から無くなっていた。


「シノブさん……今の見えましたか?」

「いや、見えなかった。でもあれは斬撃とは違う……空気が震えたのを感じたけど。斬るではなく、空間に挟まれたような。」

「空間に挟まれるですか?」

「ほぅ……人族にしてはいい線をいっている。」


 空に浮かぶ黒い翼の男が僕に笑いかける。その口元だけ吊り上げ、目は獲物を喰い殺すかのような鋭い視線。


「ぐぞぉ……魔王……様の側近でもあるディアンが何故ここに……。」

「僕はただ魔王様のコレクションの回収と、その処分に来ただけだけど?」

「処分だと?」

「そうそう。人族のトップだからって利用価値があるって、放し飼いにしていたけど。さっきの戦いを見て、魔王様が落胆されてね。」


 剣を持ったまま、やれやれと首を振る。


「私は……ソースイーターを使いこなして。」

「さっきから言ってるそれはなんだい?もしかしなくても、この剣の名か?」

「源を喰らう剣と……」

「源ねぇ。考えようによってはありか?まぁ良い、貴様がどういう解釈をしたか知らないけど。この剣はスペースイーター。それ以外の名は不要だ。」


 スペースって宇宙とかのあれか?


『空間を喰らう……成る程。彼の腕は別の空間へ行ってしまったと。』


 うん知ってた。空間ね!そうなんじゃないかと思っていたよ。


「空間……それで空気が震えたとシノブさんは感じた訳ですね。」

「あーうん。そんな感じ。」


 空から降りてきた男は国王の元に近づく。僕らに背を向けてゆっくり歩いているだけだけど、どうにも隙もない。


「魔王様からの最後の伝言だ。ただただ魔力を噴くだけの雑な使い方。同じ同族の人間に遅れをとり、更には同族を傷つけた罪……見るに耐えん。だそうだよ。」


 ―ザクッ!


 目の前で国王の胸に剣が刺さる。ぽっかり開いた胸元に、国王はその場に倒れる。


「やはり人族は脆い……。」

「師匠!国王さんが!」

「あぁ分かってる。あんなんでもエストのお父さんだし……」


 ―ヒュン……


「そこを退いてもらう。」


 ―ヒュン!


「おっと危ない。」


 無理やり間に入り国王の脈を確認するも反応がない。くそ!やられた!


「ビックリするじゃないか。」

「……。」


 今の攻撃に反応するって、今までの魔族とは違うな。


「アイさん。少し本気でサポートお願い。」

『畏まりました!クリアアイズ、マッスルレインフォース、ポスチャーコントロール、ノンリミット!』

「いく……」


 ―ヒュ、ザン!


「っち。この僕が擦り傷を……。」

「こっちは擦り傷を負わせるつもりじゃないんだけど?」

「今の速さ正直、見えなかったよ。とんでもないな。」

「それを回避してる貴方もですよね?」

「あはは。違いない。でも僕は君とは別次元の強いだけだけど。」

「言ってろ。」


 ―ヒュ、ギィィン!

 ―ギギン!ザク!


「こんなの反応しきれるわけないじゃん!」

「その割にまだまだ余裕そうだね。」

「余裕なんてとんでもない!」

「これならどう?」


 ―…………パン!


 僕の剣が空を斬り、何もないそこに音だけが残る。


「あっぶなぁー!どんな剣速だし。絶対人族じゃないよね?」

「人族以外に何に見えるんだよ。」

「神族か龍族?」

「どっちでもないから。」


 神族と龍族ってそんな種族がいるのか?龍は山の上にいるって聞いた気がする。それより神族って神様がこの世界にいるものなの?


 ―…………パン!ザシュ。


 ―…………パン!ザシュ。


「間に合わないってなんなの……さ!」


 ―ズズ……


『忍様!右肩!』

「!!」


 アイさんの言葉で止まり、その場から全力で左に回避した。


 ―ザン!


 空間が裂けた。僕の右腕があった場所に……


「は?あれ避けちゃうってどういう事だよ。」

「アイさんありがとう。」

『いえ、忍様は私がお護り致します。』

「それじゃ。」


 ―…………パパン!ザシュ!


「無理だって!くそっ今はまだ……」


 相手の視線が僕から外れる。余所見なんて……


『忍様!ハイヤーが!』

「そういう事か!させない!」


 ハイヤーと聞いて、攻撃を即中止で向かうと。


「やっぱり君は仲間を気にしちゃうタイプだね?でもそれじゃ闘いには勝てないよ?」

「っく!バブル!」


 目の前に現れた黒い雲の様な何か。飛び出したせいで突然止まれる訳もなく、自分にバブルの魔法で守りを強化して突っ込む。


 そして薄暗い森から明るい……


「またこの荒野かよ!好きだなおい。」

『いつでもいけます!』

「すぐ戻ろう!テレポート!」


 さっき見たばかりの枯れた大地の荒野だった。そして魔界から元の場所に即帰還。


「これでゆっくり帰れる。」

「師匠!」

「シノブさん!」

「はい!2人とも大丈夫!?」

「えぇー魔界の辺境なんだよあそこ?」

「辺境もそうじゃなくても関係ない。」

「転移魔法ってそんなポンポン使う魔力量でもないし、人族が使えるなんて聞いた事ないんだけど。」


 驚く魔族は呆れた顔でこちらを見てくる。


 いつでも攻撃に移れるように構える。しかしこっちから仕掛ける事ができない。この魔族は2人を狙って来る。さっきはフェイントで僕だったけど、次が僕じゃない事だってあり得る。


「セローさん走れますか?」

「ううん。速くは動けないかも。もう魔力が……。」

「だよね。あの王様との戦いは観てたよ。随分と荒い戦い方だよね?魔力でねじ伏せるって言うのかな。嫌いじゃないけど。」

「観てた?」

「そう。魔王様と一緒にね。僕は途中でここに向かったから、最後の方はいなかったけど。」


 少し喋るようになったな。このまま……ここでちゃんと考えていれば良かった。


 相手は何を考えていたのか。何を狙っていたのか。


「喰らえ……」

『今度はセローです!』

「っち!まだ諦めてなかったか!」

「これにも反応します!?なら……えい!」

『左足です!』

「間に合え!」


 ―ビュン!


 右に半歩ズレる。またも空間が斬り裂かれた。


「喰らえ!」

『セローです!』

「この状況は!間に合わ……」

「これはいけませんね。」

「え?」


 セローを突き飛ばすハイヤー。


 ―ザシュ!


 赤い雫が視界に入る。突き出した右腕が肘から先半分に……


「ぐむぅ!」

「「ハイヤー!」」

「む、狙いがそれた。まぁ結果オーライか。」

「……殺す。」


 ―ズズズ……


「いやいやいや!その魔力量オカシイって!この場は失礼させて貰うよ!」


 ―ザクッ!


「痛っ。この大人しく喰われろ!」


 ―ヒュン、ヒュン、ヒュン。

 ―ザン!ザン!ザン!


 空間が3箇所斬り取られるが、そこには誰もいない。


『忍様!落ち着いて下さい!』

「……殺す。」

「っく!これなら!」

『忍様!!ハイヤーが!』

「今度は私です!!」

「セロー!!」


 怪我をしたハイヤー、それを護るため前に出るセロー。2人を突き飛ばし空間の斬撃を回避させる方法は!


 ―ザ、ギィィン!


「は?受け止めた!?」


 手元には黒い影の剣を握っていた。


「闇魔法の剣?人族が?」

「これなら……」

「悪いがこれ以上は付き合えないから!」

『忍様ここ周辺に大きな魔力反応!』

「全員で飛びましょう!!」


 ―ズズズ……


「師匠!ハイヤーを!」


 セローが怪我をしたハイヤーを投げてくる。受け止めた僕はセローの顔を見て……


「荒野じゃない。暗い森の中だけどさっきいた場所と違うな。魔族は……居なくなったか。」


 自分ごと全員転移させて、逃げるって考えたな。今はそれよりハイヤーをラストラの元に届けて。


「あれ?セロー?」

『…………。』

「アイさん?セローがいないよ?」

『申し訳ありません。この周辺でセローの魔力を感知出来ません。』

「え?それってセローだけ別の場所に転移したって事?」

『恐らく、先程の転移魔法は範囲内の者をランダムに転移させる魔法かと。触れていたハイヤーは一緒でしたが。魔族の反応も無い事からそう考えられます。』


「セロー……くそ!」


 ―ガァァン!


 もっと僕は冷静になっていれば!ハイヤーも怪我を……


「アイさん!至急座標確認、ラストラの所へ!」

『完了しました。いつでもいけます!』

「流石だ!トランステレポート!」


 先読みして対処してくれるアイさん。僕よりよほど切り替えが早い。まずはハイヤーを。セローならきっと大丈夫だ。落ち着け俺!


 飛んだ先はベランダ。


「うお!シノブか。どう……ハイヤー!?」

「退いて!治します!」

「悪いラストラ。後は頼む。」

「お任せ下さい!」

「っぐ、シノブさん。」


 意識もあるし、僕に出来る事はもう無い。その場を去ろうと立ち上がる。


「アイさん。荒野の方に。」

『はい。』

「アマン!行って!」

「分からんが、行ってくる!」


 ―ドン。


「アマン、今少し急いでいて。」

「俺も連れてけ。何があったか知らんが、今のお前は普通じゃない。知恵は必要だろう?」

「…………分かった。」


 アマンと行ける範囲で魔界に行ってきたが、セローを見つける事が出来なかった……。

忍「どうかな……。」

アイさん『ここにも反応はありません。』

忍「次行こう。トランステレポート。」


忍「後はこの荒野しか行けないけど。」

アイさん『……この範囲にも居ません。申し訳ありません。』

忍「アイさんが謝る事じゃないよ。僕がもっと冷静に対処出来ていれば……。」


アマン「とりあえず2人で話さないで、俺を会話に入れろ。」

忍「忘れてた。」

アマン「はぁ……こりゃダメだな。戻るぞシノブ。仲間話す!まずはここから始めようぜ。」


シノブ「でも……」

アマン「いいから!アイさん、聞こえてるよな?俺が許す!屋敷へ飛んでくれ。」

アイさん『それは出来ますが……』

アマン「時間も惜しいんだろ?なら行動だ!アイさんゴー!」

アイさん『畏まりました。忍様、アマンを運びます。トランステレポート。」


アマン「よし。ハイヤーの様子見て、全員を集めるぞ。シノブはエストとゾンを連れて来い。いいな?」

忍「あぁ……」

アマン「あ、ちゃんとドアの前でノックも忘れずにな!」

忍「よく分からないけど、分かった。」


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