Lv51 新大使館の完成
「さてと、まずは俺が出来る範疇で、
この砂漠を蘇らせる!」
「とは言えど、俺に出来るのはあくまで、
新大使館の周りの草を蘇らせるくらいだ。
魔法使いは“回復魔法”を得意とはしていないからな」
俺は地面に手をつき、
ゆっくり深呼吸をすると、回復魔法を唱えた。
すると、俺の周りが緑色に発光した。
そして、俺の手元から草が生え始めた。
土壌も蘇り、段々とこの土地が蘇っていく……。
「……ダァッ!半径二十メートルが限界か!」
俺は自力で蘇らせた野原の上に、仰向けで寝転んだ。
さすがに俺は魔法使い、回復魔法なんて専門外。
それに、回復魔法はあくまで免疫を活性化させるようなものだ。
本来の使い方じゃないから、僧侶がやったってキツい。
すると、クームがひょこっと俺の顔を覗いてきた。
【大使館出来たよ!】
「お、マジ!……か」
俺が起き上がり、クームの指差す方向を見ると、
白いレンガの小さな神殿のような物が建てられていた。
「大使館、というより神殿か?」
「我の能力には“レンガを自由に扱える”モノがある。
この荒れ果てた瓦礫を使っても、大使館の再建は無理だったろう」
「仮で建てるぐらいの気持ちだったんだが、
レンガを自由に扱える能力って、
さらっととんでもない能力を持ってるじゃねえか?」
「この能力は、相手に攻撃をすることが出来ない。
何の役にも立たなかった能力だ。
それに……この砂漠に草地を蘇らせたのか……?」
「あぁ、だが魔法使いの俺は回復魔法の専門家じゃねえからな。
これが最大限出来る限界だ」
【フード!フード!そんなことより中に来て!】
「お、おい!引っ張るんじゃ……」
クームに強引に引っ張られて中に入ると、
白いレンガだけで出来上がった玉座があった。
「って全部レンガかい!
そりゃこの辺りの素材じゃこれが一旦限界か」
【フード、これ】
そう言って、クームが手に持っていたのは、
――王冠。
聖魔街副会長だった父上が被っていたものだ。
クームが磨き上げてくれたのだろう、
思いの外綺麗な状態にまで仕上げられていた。
よく見ると、クームは砂まみれになっていた。
きっと、一生懸命探してくれたのだろう。
……今、クームがこれを持ってきた理由はわかっている。
俺は聖魔街会長になると決意したんだ、
これを被らずして、聖魔街初代会長は名乗れない。
俺が旧聖魔街の“負の連鎖”を断ち切る為にも、
俺は王冠を被って玉座に座った。
「ここに!聖魔街初代会長の名の下に!
新聖魔街誕生を宣言する!」




