Lv21 静かな夜明け
前回のあらすじ!
聖水をおっさんに渡して後を任せた!
怪盗ヒカルが落ちこぼれ勇者パーティーに参入した!
勇者クームが胴上げされた!
魔法使いフードはヒカルの一億ダルの賞金首という事実に目眩を覚えた!
これから楽しくなっていきそうだ!
あれから色々な事があった。
酒場にいたやつらとどんちゃん騒ぎのお祭り状態
みんなと踊り歌ってバカ笑いをしたのはそれはそれは楽しかった。
魔王討伐なんて忘れてしまうぐらいに…
俺は…
「…どうしたの?ボーッとして…」
「え?あぁ、さっきの宴は楽しかったなって」
ふと我に返ると静まり返った酒場にマスターと2人
カウンターで向かいあっていた。
「ウルフタウンのやつらも良いやつらなんだな、
見ず知らずの救っただけの勇者パーティーをここまで…」
「救っただけじゃないよ…」
「ん…?」
「このウルフタウンは昔からずっと困っていたの…
あなたがしたことはここの運命を変えたと言っても過言ではないよ…」
「んな大袈裟な…」
「………」
「なんだよ?静かに微笑みやがって。あ、そういやマスター明日のアイドルコンテストに出るんだろ?俺達
も多分見に行くわ」
「えっ…!?」
急にこちらに振り返ったマスターは持っていた食器を落として割ってしまった。
「おっちょこちょいだな、怪我はないか?」
「明日本当に見に来るの…!?」
「近い近い!キス3秒前の距離感だぞ?離れろ×2」
「ご…ごめん…!でも……絶対に見に来てね…?」
「…ま、付き合いも長いしな、楽しみにしとくよ」
「絶対だからね…!」
「あ、あぁ…?任せておけ?」
「♪〜」
「変なマスター。いつも殺そうとしてくるくせに」
「?何か言った?」
「なんでもないよーだ。それじゃ、明日に備えて寝るとするかな。今日はツケといてくれよな」
「なっ…!」
それだけ言い残すと俺はマスターにそう告げると颯爽と酒場を出て行った。それにしてもマスターとも村のみんなとも永遠の別れのつもりでツケを全て払ってきたのに、マスターと会えちゃったのはちょっと恥ずかったな…。道にただ1人ぽつんと歩いている俺を月明かりは照らしてくれている。やべっ…足取りが重くなってきた…。なんとか宿屋にたどり着いた俺は1人の人影の存在に気が付いた。あれは…クーム!?
「こんな時間まで何してんだ?!」
【( ゜д゜)ハッ!】
「先に帰って寝てろって言ったろ?どうしたんだよ」
【眠れなくて…一緒に寝て…?】
「しゃーねえな、特別だからな?俺にもし弟がいても絶対に寝てやらねえんだぞ?俺はよ」
【 】
「って、もう寝てたか…。…お疲れさん」
俺はクームを背負って宿屋の中へと入っていった
長い夜はようやく終わりを告げるのであった…