魔空壁
けがで歩けない綾瀬をおぶりながら、探索をするのは意外と大変だった。
何せ、どう頑張っても片手が防がれてしまっているからだ。
例えば《炎呪文 Lv.3》を撃つにしても、いつも両手でやるのを1とすれば単純に1/2の威力になってしまうし、剣を使うにしても片手で振り回すと意外と疲れる。
背負ってる綾瀬に呪文を使ってもらおうとも思ったけど、俺みたいに呪文を使えないと言われた。呪文の習得に個人差があるのか、はたまた俺のレベルが上がりすぎなのかはわからない。
「せっかく、そんなにレベル上がってスキルポイント余ってるんでしょ?だったらなにかいいスキルないの?守ってくれるやつみたいなの?」
綾瀬が俺の背で揺られながらぶつくさ言っている。
「そーーだな。じゃぁ、探してみるかぁ」
頭の中で念じれば、スキルを見つけることができるのはさっきの戦いの最中に分かったのですぐ使う。
《なにか俺のことを守ってくれるスキルみたいなのある?》
《検索中。何件かヒットしました》
《《魔空壁》、《炎耐性》、《雷耐性》《雪耐性》《斬撃耐性》《ダメージ軽減》…》
頭の中ですごい勢いで流れていく文字列たち。ほとんど覚えられていない。
「ちょっ。ストップストップ。ほとんどわからんないよ。そんなスピードじゃぁ」
システムに文句を言っても無駄だとわかっても俺は文句を言う。
《チッ》
「えっ?えぇぇぇ?今、舌打ちしたの誰?綾瀬じゃないよね?」
俺はさすがにそんなことないだろうと思いながら綾瀬に確認をとる。
「そんなことしてないわよ」
綾瀬は疑われたことに対して少しむすっとする。
「ってことは、システムが俺に舌打ちしたってこと?」
《そうなりますね》
「いや、お前が返事すんのかい」
自然と口から出てくるツッコミ。
「えぇぇぇ?コミュニケーションできんの初めて知ったんだけど。なんで黙ってたの?」
《別に聞かれなかったからですが。何か問題でも?》
「いや、言い方っ」
「もうなんでもいいや。じゃぁ、どのスキルがおすすめか教えて」
《おすすめは最初に言った《魔空壁》です》
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《魔空壁》
MPを消費することで、好きなところに透明な壁を生成することができるようになるスキル。
作れる壁の大きさの限度はスキルレベルに依存する。スキルレベル1であれば半径20センチほどで、スキルレベルがマックスまで行けば半径2メートルほどまでになる。
壁の大きさは使用したMP量に比例して、大きさが変わる。
耐久力は、攻撃をちょうど一回防ぐくらい。
ただ、壁の生成量には限度がないので何枚か重ねて使うことにより、いくつもの攻撃を防ぐことが可能
消費SP 100
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「うーーん。かなり強いのはわかるんだよ。ただね。ちょっと消費SPが上がりすぎじゃない?学割とか聞かない?」
《そんなものはありません。いらないということでよろしいですね》
「いやいや冗談だよ冗談。おいおい?ほんとに信じちゃったの?」
《システムに冗談もくそもありませんから》
「やっぱり、言い方っ」
「しょうがない。スキルポイントを消費して《魔空壁》の獲得」
《了解しました、《魔空壁 LV.1》の獲得》
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所持スキル
《数値固定》、《処理》、《察知 Lv.15》、《跳躍強化》、《魔空壁 LV.1》
使用可能呪文
《炎呪文 Lv.3》、《氷呪文 Lv.3》、《雷呪文 Lv.2》、《回復呪文 Lv.2》
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「せっかく手に入れたんだから、いっちょ使ってみますか」
「《魔空壁 LV.1》」
ブゥゥゥン。
「どう?綾瀬、俺の顔の前に作ってみたんだけど…」
「何も見えないわね」
「そりゃ、まぁ。透明な壁だからね」
「なんか透明なせいで自分でもどこに作ったか忘れちゃったよ。このあたりだっけかな?」
全く動く必要ないのに、うかつに動いた俺が馬鹿だった。
ゴッチーーン。
頭が魔空壁に当たりいい音が鳴る。
いきなりの鈍い衝撃に困惑する。
「なーーんだ。ちゃんとあるじゃない」
からかうようにニヤニヤしながら皮肉めいた感じで言う綾瀬。
ともかく俺は守る術を手に入れたのだった。




