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希望

翌朝、俺は早く起きた。


先生も意外と早起きらしく、

「おおっ、お前も起きてたのか。俺の授業の時に居眠りはする癖に早起きなんだな」

と言ってからはっはっはっ、冗談だよと続けた。


「そういえば、昨日思いついたんだけどさ、その《数値固定(マスマティカ)》ってやつをレベルアップに必要な経験値にかけてみたら簡単にレベル上がんじゃね?」


確かに…。

HPにかけてた方がダメージくらわないからいいじゃんとしか思ってなかったけど、そういう使い方もできるのか。


「そういう使い方もいいかもしれないですね。やってみます」

「《数値固定(マスマティカ)》ッ」


『何の数値を固定しますか?』


「レベルアップに必要な経験値を、固定してくれ」


『了解しました。数値固定します』


「よし、ステータスの確認だ」


―――――――――――――――――――――――――


ステータス(付与停止中)


狩集夏

レベル                 : 15

HP                  : -180/30 

MP                  : 5/30

SP                  : 5

スピード                : 10

攻撃力                 : 17

レベルアップに必要な経験値       : 200

スキル                 : 《数値固定(マスマティカ)》、《処理(ディール)

呪文                  : 炎呪文 Lv.1(ファイア)氷呪文 Lv.1(フローズン)


―――――――――――――――――――――――――


「えっ?残りHPがマイナスになってるんだけど…。しかも付与停止中になってるし。どうして?」


先生はうーーんと唸ってから

「多分だけど、お前のスキルの本質は…『先送り』なんじゃねぇか」


「どういうことですか?」


「お前が最初に《数値固定(マスマティカ)》を使ったときには、ストックされた経験値が使われたって言ってただろ?それは多分、本来《数値固定(マスマティカ)》がなければ本来、入手したら即、使われるものを先送りしたって考えられる」

「同じようにHPに関していえば、本来くらうダメージを今まで先送りしたってことじゃねぇか」


「そうかもしれないですね」


「まぁ、マイナス表記がなんか気持ち悪いから、ポーション飲んでおけや」

どこからか、ポーションを取り出し、渡してくる。


「ありがとうございます」


ゴクッ、ゴクッ。


-180、-130、-80、-30、20とHPが回復してゆく。

ステータスの横の付与停止中の文字が消える。


「とりあえず、お前の能力に関してわかっていることをまとめてみるか」


程よく裏に何も書かれていないチラシを取り出し書き始める先生。


―――――――――――――――

1.自分のステータスに関する数値を一つだけ固定できる。


2.《数値固定(マスマティカ)》が解かれた場合には、本来受けるべき影響が反映される。

(イメージは先送り)


3.《数値固定(マスマティカ)》の場合に限り数値にマイナスが現れる。(本来、最低値は0だが特例)


4.ただし、ステータスがマイナスであっても0の時と同じ扱い。


―――――――――――――――


「とまぁ、こんな感じか」

「体重とか、血糖値とかも固定できたらもっと便利なのにな」


「そんなことしたら、後で一気に増えちゃうだけじゃないですか」

ツッコミを入れる余裕もできてきた。

「そりゃそうだな。だって“先送り”だもんな」


「となると、レベルアップに必要な経験値を《数値固定(マスマティカ)》してレベルアップするなら一気にやらないといけないってことですね」


「そーだな。中途半端なところでやめちゃうと、恩恵が少なくなるからな」

「どうせだからさ、お前ダンジョン潜ってくれば?《数値固定(マスマティカ)》の影響でどれくらいレベルがあげられるのか気になってんだろ?」


確かに、俺は昨日あんなことがあったのになぜか希望に満ち溢れている。

道が開けたような、光が俺にだけ射し込み祝福してくれているかのようなそんな感覚が胸の中に生まれていた。


「ほら、行って来いよ」

「あぁ、でもそうか。お前装備も何も今ないのか」


「しょうがねぇなぁ」


さらさらっと、メモ用紙に何やら書き込む。

そしてその紙を渡してくる。


「ほらっ。ここに書いてある住所に行ってみろ。大野の生徒ですっていえば、役に立つかもしれん」


その紙には住所が記入されていた。


「いや、役に立つのか?立たないかも?いや…、うーーん。あいつ、めんどくさがりだからなぁ」

頭をかきながら自問自答する先生。


「まぁ、とりあえずそこにいけや。“多分”役に立つから」


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