強敵登場
ドサァッ。
俺の体が雪に着地する。
俺は落ちたときに腰を強打してしまった。
「いってぇ」
腰をさする。
「でも、痛いっていうことはちゃんと生きてるってことだよなぁ」
あたりを見回しても、二階層と同じようにうす暗闇が広がっており全貌がつかめない。
「わかっているのは地面に雪が積もっているってことぐらいか。ここが何階層で、どのくらいの広さなのかは全く見当もつかないな」
とりあえず立ち上がり、壁がないかを確認する。
両手を前にだしながら、手探りで壁を探すも見つからない。
「ここ…、かなり広いっぽいな」
何が起こるかわからない中で“アレ”をやるのはいささか不用心だが、やるしかないかな。
両手を口に当て
「おおーーーい」
と叫ぶ。
おおーーい。
おおーーい。
俺の声が空間中にこだまし、響き渡る。
「いや、ほんとに広いぞ。なんだここ?」
もう一回、叫ぶ。
「おおーーーい」
おおーーい。
おおーーい。
ワォーーン。
ん?今なんか不純物が混ざってなかったか?
ワオーン。
バウバウバウ。
雪オオカミたちの遠吠えと息遣いが聞こえる。
「いや、お前らも落ちてきたんかい」
姿は見えないけど、声だけであいつらがいるのがわかる。
「やっべぇ、完全に周りが見えてねぇから、どうすればいいんだ」
とりあえず逃げる。どこへ行くともわからずに逃げる。
「誰かいませんかー」
助けを求めてみる
「ワォーーン」
元気に雪オオカミが返事を返してくれる。
「お前の返事は要らねぇよ」
すかさずツッコミを入れる。
いらねぇよ…、いらねぇよ…と空間内で俺のツッコミがこだまする。
とりあえず、雪オオカミの声がする方からは逃げなくちゃと、一心不乱に走った。
ドンッ。
俺は何かに思わず当たり、はじき返され、しりもちをつく。
「壁に当たったのか?」
いや、でも壁にしては柔らかみがあったような。
恐る恐る手をその壁らしきものがある方へと伸ばす。
「んん?なにやらあったかいな。っていうかこれ毛皮っぽいな」
さらに触り続ける。
「なにか、鼓動がするような…。小刻みに震えて…。呼吸か?」
俺が触る“なにか”はいきなり、バサァと動き始める。
「うわっ。なんだ。どうした?」
グルルルル。
グワァァァァ。
猛々しい野生の遠吠えが空間内に広がる。
あまりの声の大きさに、鼓膜が破れるんじゃないかとも思えるほどで、思わず、両手で耳をふさぐ。
ぼんやりと見えてくる、その立派な姿。
熊よりはるかに大きい立ち姿。
それでいて普通に足が速い。
たぶん。あれだな。うん。
これは、雪クマだな。
あの毛皮の感じ、大きさ、声。何をとっても一級品。
一撃くらったら、終わりのあいつだ。
急いで逃げる。
「やっべぇ、やっべぇ」
語彙力が欠如する。
グルゥグルゥグルゥ
途中で、俺を追跡していた雪オオカミが見えてくる。
雪オオカミたちは俺を倒そうと躍起になっている。
こいつら、こんなに興奮しやがって。俺が必死に逃げてんのに…。
そうだっ。だったら雪オオカミと雪クマを戦わせれば…、いいんじゃね?
「おおーーい。雪オオカミたちー。こっちにこいやー」
挑発された雪オオカミたちは俺のほうへ寄ってくる。
でも、俺の後ろからやってくる雪クマの姿を見るとすぐに、雪オオカミたちのしっぽが垂れ下がる。
「キュィィン」
めちゃくちゃ情けない声を出す雪オオカミ。
そして、雪オオカミたちはくるりと向きを変え俺と並んで逃げる。
「お前らさっきまで調子に乗ってたのになさけねぇな。いや情けないのは…、俺もか」
「くそっ。逃げててもやられるだけだ」
「スキル《光明》ッ」(※もちろんこんなスキル持っていません)
俺はスマホのライトを光らせ、雪クマのほうへと見せつける。
雪クマはこんな暗いところにずっといたんだ。
いきなりこんな光を食らえばきついはずだ。
俺の想定通り雪クマは
「グワァァァ」
と悲痛の声をあげて倒れこむ。
「俺の武器は、今のところ、短刀のみ」
「うん。きっつい。てか無理くね」
それでも、俺と雪クマの戦いは避けられないものだった。
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雪クマ データ
ふつうの熊よりもはるかに大きく、獰猛。
毛色が白と茶色の二種類いる。
個体数はそこまでいないらしく、確認された例が少ない。
雪クマの毛皮は、白のほうが高く茶色の何倍かの値段で取引されている。
防寒具や、装備またはカーペットとかに使われたりする。
雪クマの肉は珍味として、重宝されこちらもいい値段で取引されている。
ただ、ちゃんと処理をしないとすぐに肉質がダメになってしまうために市場に出回ることはほとんどない。
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そろそろ強くなります...




