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~監査人・三ツ谷 華~  作者: 船橋新太郎
第1章・~宝石箱~
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第十六話 南蛮菓子屋

今回の登場人物


■ ▢ ■ ▢


・三ツ谷 華 (みつたにはな)

蓮太と同じく乙名学科を専攻、卒業し、沙汰人として、周囲からは女史と称える人格者。監査人といわれる権力に打ち克つ役職として、活動を開始した。前髪パッツンのボブスタイル、青いタータンチェックのベレー帽を被り、服装も気品漂うお嬢様スタイルに変貌。


・羽黒 宗助 (はぐろそうすけ)

乙名専攻学科卒業後、官人を束ねる官人所役となって活躍。黒の燕尾服に白のウィングシャツに黒のリボンにシューズを履いて如何にも紳士的な服装。


■ ▢ ■ ▢

違法宝石の流通を探る華は、ついに宝石商・生駒に通う貴婦人に的を絞り、その取引を盗み聞く。

宝石商には惚けられてしまうも、根気よく通う華。

宝石商は、危機を感じ、ある人物に相談すると、一度普通の宝石商へ戻るよう指示される。

念のため、違法宝石と顧客名簿を預かるも、対策は打つと、安心させる。

その人物は謎のままであるが、華は翌日、再び宝石商の前にある茶屋で張り込んでいた。

すると、妙な2人組に遭い、そのまま宝石商へと入店するも、間もなく出て行った。

その後、主人が殺されていることが発覚。

宗助と千毬に相談すると、千毬から一度、冴島、家守と会い、村の更なる情勢を知る事を勧められる。

冴島、家守と情報交換を終え、華は、再び宝石商に通っていた貴婦人を見つけ出した。



◇和都歴452年 3月16日 14時 置田村・日輪 南蛮菓子屋


華は、宝石商・生駒の常連客であった高貴な女性、壺装束に市女笠という女性を見つけ出し、その行動を追っていた。

今日は宗助と、その女性が何度も立ち寄る店が見える場所で張り込んでいた。

「来た…!彼女よ。」

市女笠の女性が南蛮菓子屋に入る。

「この店は、宝石商じゃないよな?」

「そうなの。もしかしたら、また、奥の倉庫に紛れて隠しているのかも?」

しばらくすると、その女性が見たことも無い輝きの石を首に下げながら、店を出てくる。

「ここだな…」

「うん。」

「俺が行く。君は念のためここで見張っていてくれ。」

「わかったわ。気を付けてね。」

「ああ。」

華と宗助は、顔を見合わせ頷くと、宗助が店内へと入る。


「いらっしゃい。」

「南蛮菓子とは珍しいなぁ。」

宗助はそう言いながら、店内を見回す。

「南蛮菓子は初めてですか?」

「ああ、まあね。どんなモノが人気なんです?」

「有名なのはカステラ、タルト、ボーロ、ビスケットなどの小麦を使って焼いたお菓子です。」

「なるほど。高いのか?」

「ボーロは壊れをグラム売りで比較的お安くできますが、他は庶民の方には高いかもしれませんな。金平糖、有平糖など、お安くお譲りできるものもありますが。」

「なるほどな。先程の貴婦人の方は、さぞ高い買い物をされたのだろう。」

宗助がシレっと質問する。

「…ええ、まぁ。」

「俺も金は払える身分なんだが。彼女のような貴婦人が買ったものを、購入してみたい。同じものを包んでくれないか?」

「…わかりました。少々お待ちを。」

主人から笑顔が消え、暖簾から後ろの倉庫らしき部屋へと入っていった。

宗助は、主人の居た机にある書き物を見る。

「…こ、きゃ、く名簿…顧客名簿?」

主人の気配を伺い、サッと机の前に行き、顧客名簿を見る。


ーーー


 〇南蛮菓子屋 顧客5名


南蛮菓子屋・永海 与平(ながうみよへい)よ。下記5名は、我が違法宝石を売り渡す許可を得た『宝石箱』の誓いと条件を満たした者。


・猪狩 慎太郎

・浦路 光之介

・水本 亜樹代

・三井 鞠花

・桐谷 麻帆


彼らはお前と同じ、顧客への売り渡しと、上部への提供。その際の宝石と金の管理は徹底せよ。

私か❝薔薇❞、❝翡翠❞以外は、新たな顧客を開拓してはならぬ。その売り渡しは、漏洩、裏切りとし、処分する。      黒水晶


ーーー


「一体…誰が…」

「どうもお待たせいたしましてー」

急に出てくる店主・永海にビックリし、宗助は咄嗟に顧客名簿を()()()()

「ーどうかなされましたか?」

「あ、いや。悪い注文したのかと…」

「いえ。彼女は金平糖を定期的に買われるのですが、色を指定されるので、同じ色を揃えるのに時間がかかりましてね。」

「そうか。いくらだ?」

「金…3枚で。」

「高いな…」

「お辞めになりますか?」

「いや、買おう。」

そういって、宗助は店を後にする。


「宗助、無事?」

「やったぞ、顧客名簿を手に入れた。」

「本当?」

「見ろ!」

宗助が華に顧客名簿を見せる。

「こ…これって…」

「やはり組織的なものだな。この名簿を日輪の官人所で調べてみよう。」

「冴島君に力を借りるのね?」

「ああ。」

二人は翌日、日輪の官人所へと向かった。

次回2025/11/21(金) 18:00~「第十七話 顧客名簿」を配信予定です。

   

※11/3(月)~11/28(金)は秋の読書・強化月間です。

期間中は毎週(金) 及び祝日18:00に投稿致しますので、御期待下さい。

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― 新着の感想 ―
顧客名簿、手に入れたから一歩前進ですね。
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