第十六話 南蛮菓子屋
今回の登場人物
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・三ツ谷 華 (みつたにはな)
蓮太と同じく乙名学科を専攻、卒業し、沙汰人として、周囲からは女史と称える人格者。監査人といわれる権力に打ち克つ役職として、活動を開始した。前髪パッツンのボブスタイル、青いタータンチェックのベレー帽を被り、服装も気品漂うお嬢様スタイルに変貌。
・羽黒 宗助 (はぐろそうすけ)
乙名専攻学科卒業後、官人を束ねる官人所役となって活躍。黒の燕尾服に白のウィングシャツに黒のリボンにシューズを履いて如何にも紳士的な服装。
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違法宝石の流通を探る華は、ついに宝石商・生駒に通う貴婦人に的を絞り、その取引を盗み聞く。
宝石商には惚けられてしまうも、根気よく通う華。
宝石商は、危機を感じ、ある人物に相談すると、一度普通の宝石商へ戻るよう指示される。
念のため、違法宝石と顧客名簿を預かるも、対策は打つと、安心させる。
その人物は謎のままであるが、華は翌日、再び宝石商の前にある茶屋で張り込んでいた。
すると、妙な2人組に遭い、そのまま宝石商へと入店するも、間もなく出て行った。
その後、主人が殺されていることが発覚。
宗助と千毬に相談すると、千毬から一度、冴島、家守と会い、村の更なる情勢を知る事を勧められる。
冴島、家守と情報交換を終え、華は、再び宝石商に通っていた貴婦人を見つけ出した。
◇和都歴452年 3月16日 14時 置田村・日輪 南蛮菓子屋
華は、宝石商・生駒の常連客であった高貴な女性、壺装束に市女笠という女性を見つけ出し、その行動を追っていた。
今日は宗助と、その女性が何度も立ち寄る店が見える場所で張り込んでいた。
「来た…!彼女よ。」
市女笠の女性が南蛮菓子屋に入る。
「この店は、宝石商じゃないよな?」
「そうなの。もしかしたら、また、奥の倉庫に紛れて隠しているのかも?」
しばらくすると、その女性が見たことも無い輝きの石を首に下げながら、店を出てくる。
「ここだな…」
「うん。」
「俺が行く。君は念のためここで見張っていてくれ。」
「わかったわ。気を付けてね。」
「ああ。」
華と宗助は、顔を見合わせ頷くと、宗助が店内へと入る。
「いらっしゃい。」
「南蛮菓子とは珍しいなぁ。」
宗助はそう言いながら、店内を見回す。
「南蛮菓子は初めてですか?」
「ああ、まあね。どんなモノが人気なんです?」
「有名なのはカステラ、タルト、ボーロ、ビスケットなどの小麦を使って焼いたお菓子です。」
「なるほど。高いのか?」
「ボーロは壊れをグラム売りで比較的お安くできますが、他は庶民の方には高いかもしれませんな。金平糖、有平糖など、お安くお譲りできるものもありますが。」
「なるほどな。先程の貴婦人の方は、さぞ高い買い物をされたのだろう。」
宗助がシレっと質問する。
「…ええ、まぁ。」
「俺も金は払える身分なんだが。彼女のような貴婦人が買ったものを、購入してみたい。同じものを包んでくれないか?」
「…わかりました。少々お待ちを。」
主人から笑顔が消え、暖簾から後ろの倉庫らしき部屋へと入っていった。
宗助は、主人の居た机にある書き物を見る。
「…こ、きゃ、く名簿…顧客名簿?」
主人の気配を伺い、サッと机の前に行き、顧客名簿を見る。
ーーー
〇南蛮菓子屋 顧客5名
南蛮菓子屋・永海 与平よ。下記5名は、我が違法宝石を売り渡す許可を得た『宝石箱』の誓いと条件を満たした者。
・猪狩 慎太郎
・浦路 光之介
・水本 亜樹代
・三井 鞠花
・桐谷 麻帆
彼らはお前と同じ、顧客への売り渡しと、上部への提供。その際の宝石と金の管理は徹底せよ。
私か❝薔薇❞、❝翡翠❞以外は、新たな顧客を開拓してはならぬ。その売り渡しは、漏洩、裏切りとし、処分する。 黒水晶
ーーー
「一体…誰が…」
「どうもお待たせいたしましてー」
急に出てくる店主・永海にビックリし、宗助は咄嗟に顧客名簿をくすねる。
「ーどうかなされましたか?」
「あ、いや。悪い注文したのかと…」
「いえ。彼女は金平糖を定期的に買われるのですが、色を指定されるので、同じ色を揃えるのに時間がかかりましてね。」
「そうか。いくらだ?」
「金…3枚で。」
「高いな…」
「お辞めになりますか?」
「いや、買おう。」
そういって、宗助は店を後にする。
「宗助、無事?」
「やったぞ、顧客名簿を手に入れた。」
「本当?」
「見ろ!」
宗助が華に顧客名簿を見せる。
「こ…これって…」
「やはり組織的なものだな。この名簿を日輪の官人所で調べてみよう。」
「冴島君に力を借りるのね?」
「ああ。」
二人は翌日、日輪の官人所へと向かった。
次回2025/11/21(金) 18:00~「第十七話 顧客名簿」を配信予定です。
※11/3(月)~11/28(金)は秋の読書・強化月間です。
期間中は毎週(金) 及び祝日18:00に投稿致しますので、御期待下さい。




