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~監査人・三ツ谷 華~  作者: 船橋新太郎
第1章・~宝石箱~
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第十五話 神兵

今回の登場人物


■ ▢ ■ ▢


・三ツ谷 華 (みつたにはな)

蓮太と同じく乙名学科を専攻、卒業し、沙汰人として、周囲からは女史と称える人格者。監査人といわれる権力に打ち克つ役職として、活動を開始した。前髪パッツンのボブスタイル、青いタータンチェックのベレー帽を被り、服装も気品漂うお嬢様スタイルに変貌。


・冴島 五郎 (さえじまごろう)

乙名専攻学科卒業。日輪在住。時が経ち、宗助と同じ官人所役・日輪支部にて活躍。正義感が強く人道的だが応用の利かないところもある。今はスーツにネクタイ、シューズという姿で、祖柄樫山の闇の事件を追う。


・関 家守 (せきいえもり)

置田村・東地区・八俣の貧民。いきなり拉致され、相島の倉庫に監禁される。ただの貧民ながらも道徳観を備え、観察眼と機転の利く秘めた特性がある。その天性の才能で惟神収容所を脱出、藤香の側近となる。


■ ▢ ■ ▢

違法宝石の流通を探る華は、末端の宝石商を客として巡り、潜入捜査を開始して、数か月の時が経とうとしていた。

そしてついに、宝石商・生駒に通う貴婦人に的を絞り、その取引を盗み聞く。

宝石商の主人には惚けられてしまうも、根気よく通う華。

宝石商の主人は、危機を感じ、❝黒水晶❞なる人物に相談すると、一度普通の宝石商へ戻るよう指示される。

念のため、違法宝石と顧客名簿を預かるも、対策は打つと、安心させる。

華は翌日、再び宝石商の前にある茶屋で張り込んでいた。

すると、妙な2人組に遭い、そのまま宝石商へと入店するも、間もなく出て行った。

その後、主人が殺されていることが発覚。

宗助と千毬に相談すると、千毬から一度、冴島、家守と会い、村の更なる情勢を知る事を勧められる。



◇和都歴452年 3月15日 15時 置田村・日輪 料亭・伊佐


千毬の口添えから、華、冴島、家守が集まり、情報を交換する場を設けた。

「わざわざ日輪へ立ち寄っていただき、申し訳ございません。」

「いえ。華殿と冴島殿の事は、千毬殿からある程度聞いております。」

「そうですか。」

「皆、時間も惜しい立場。本題といきましょう。」

冴島が切り出す。

「そうですね、では。」

華は、日輪の闇の話をする。その内の違法宝石。現在はその末端の取引を追っていたが、その宝石商の主人は奇妙な2人組に殺されてしまった事。

「なるほど。」

冴島が頷く。

「その日輪の闇は、藤香様らに報告しましょう。2人組についても、犯罪名簿なり、私なりに調べます。」

家守が華に返答する。

「宗助にも調べてもらっていますが、まだ…」

「ここ最近、他にも妙な事件があります。十二の神器を集める者がいるらしく、稲穂殿が誘拐される事件にまで至るほどです。」

「稲穂ちゃんが…?」

「ええ。そちらは駿一郎殿をはじめとする蓮太捜索隊らに任せてあるのですが。」

「ここ日輪にも?」

「まぁ…他の神器について、そういった被害が出ないかは懸念しておりまして。」

「…十二の神器。初めて聞きます。」

「神器を集めるのは、禍津社(まがつやしろ)。」

冴島が口を開く。

「…! 前に冴島君が調べていた?」

「ああ。その件は、調査中だが、東雲隆将が、その首領らしいことしか、まだ分からない。」

「…東雲…守役が?」

「東雲の事情は分からないが、彼が危険人物であることは確実だろう。」

冴島が調査報告を見ながら語る。

「東雲守役、彼の目論見は何なのかしら?神器を集めると何か起こるという事?」

「それは寺院の文献にも(つまび)らかには書いていなかった。しかし、❝完全なる神兵❞を増産する1つの鍵になるらしい。」

「冴島殿、神兵とは?誓いによる狂信者的な者か?」

「それも分からない、が、近しい意味ではあると思う。

❝神兵、人ならざるケダモノたちよ。支配者の意に従い、背く者を排除せよ❞

とあるが。人を洗脳し、殺戮の兵士とする、と言う事かと。当たらずとも遠からずだろうね。」

冴島は報告書をめくり、話を続ける。

「…まさか?私が黛村の双子に捕らわれた時に見た殺人鬼…アレが神兵であるとすれば、それは脅威ですね。」

家守が思い出したように恐怖を語る。

「何だか怖い話ね。」

「現在そちらは、蓮太殿と虎太郎殿が任務に当たっています。」

家守が安心させる。

「ところで、家守殿はこの後、美咲様の元へ?」

「はい。」

「秘八上には、夢占いの巫女がいる。彼女の占いは恐らく神器によるもの。」

「ということは、拐われる可能性も有ると?」

「わからないが。美咲様の保護がある以上、禍津社とて、下手な動きはしないはずだが。」

「夢占い…結局、その情報も集まらないままだわ。」

華は落ち込みながら話す。

「三ツ谷さんは、宗助と一緒に、違法宝石の行方を追うことに専念して欲しい。」

「わかったわ。先週、宝石商に通いつめていた独特な衣装の女性客を、ようやく見つけたの。彼女が今通う店も、目途が立ってる。明日にでも宗助と突き止めるわ。」

「気を付けてね。僕は引き続き禍津社の調査を。」

「私は美咲様の様子を見つつ、藤香様にこれまでの情報を共有するよ。」

「頼むわね。」

華、冴島、家守のそれぞれが、役割を再認識すると、この場を後にする。

次回2025/11/14(金) 18:00~「 第十六話 南蛮菓子屋」を配信予定です。

   

※11/3(月)~11/28(金)は秋の読書・強化月間です。

期間中は毎週(金) 及び祝日18:00に投稿致しますので、御期待下さい。

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