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第25話 おまえがいないと生きていけない

 アンソニーは石矢に倒れたスザンヌの体を抱き上げて走る。

 肩から首のあたりに刺さっており、赤い鮮血が流れている。


「スザンヌ、しっかりしろ!」


 声をかけながら走るアンソニー。

 苦痛に顔をゆがませるスザンヌ。

 アンソニーが叫ぶ。


「死ぬな! スザンヌ!!」


_________________________


「セーヌ国軍の魔女を葬り去った!」


 この情報がグランド国軍側に流れると、形勢は変わった。

 グランド国兵士たちの士気が一気に上がる。


「もうあの魔女はいない。恐れるものは何もないぞ」


 ロンダート砦の防衛兵たちの勢いも増した。

 斬り込んでくるセーヌ国の兵士たちを、次々と蹴散らし始める。


「勝てるぞ!」


 グランド国兵士は結束を取り戻し、セーヌ国を圧倒し始めていた。


 一方、セーヌ国軍が拠点にしている野営地。

 アンソニーは必死の形相で、スザンヌを船に乗せ、ここまで運んできた。

 汗だくで彼女を簡易ベッドに寝かせる。


「スザンヌ、お前が死んだら、俺はもう生きていけない」


 彼女は目を閉じたままだ。


「スザンヌ―!」


 アンソニーが力の限り叫ぶ。

 するとスザンヌが目を開けた。

 そして痛みをこらえて起き上がった。


 スザンヌは肩に刺さった矢を憎らしそうに見る。

 おもむろに自分の手で、引き抜いた。

 血しぶきが飛び散る。


「ムチャするんじゃない!」


 アンソニーが叫ぶが、スザンヌは、


「私は戦いに戻る!」


 と起き上がろうとする。


「待て! せめて軍医の手当てを受けろ」


 とバトラーがスザンヌを抱き抱えるように制止する。

 軍医が駆け寄り応急手当を開始する。

 バトラーに体を抑えられながら、医師の処置を受けるスザンヌ。

 消毒・止血が終わり包帯が巻かれると、スザンヌは跳ね起きた。


「いざ戦地に戻りましょう!」


_____________________________


 劣勢に立たされたセーヌ国戦士たち。


 しかし彼らに、スザンヌの声が高らかに響いた。


「戦いはこれからです! エール国軍には神のご加護がついています!!」


 兵士たちが振り返ると、そこには高く掲げられた、白く輝く軍旗がなびいていた。

 持っているのは、ロンダード砦に戻ってきたスザンヌだ。


「俺たちの乙女が戻ってきたぞ!」


 スザンヌの帰還に、セーヌ国兵士たちの大歓声があがる。

 逆に衝撃を受けたのがグランド国の兵士たちだ。


「聖女スザンヌが生きていた」

「魔女が戻ってきた……」


 彼らの士気が、明らかに下がった。


 完全に勢いを取り戻したセーヌ国軍。

 先を争うように敵陣に突撃していく。

 グランド国兵は、槍で喉元を突かれ、刀で斬られ、矢で射られて、次々と倒れていく。

 犠牲者が続出するグランド国軍は、すっかり勢いを失った。

 兵士たちが敗走し始める。


 ここでグランド国軍の指揮官・アイアンぺ―ルが動いた。

 兵士たちの先頭に立ち、あらん限りの大声で叫んだ。


「総員、ロンダード砦の橋桁に集結せよ!」


 それを聞いたグランド国兵士。

 バラバラになった動きが再びひとつになった。

 アイアンペールが再び叫ぶ。


「俺たちは負けない! 砦は守り抜くぞ!!」





お休みなのでもうひとつ投稿しちゃいました♡

今夜もお会いしましょうね。20時くらいです♡♡

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