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3話 はい。チートです。

「……え、何コレ」


「兄ちゃん!! フリーズしてないで見てよ!! この人めっちゃ美人だよ!!」


大地は物凄いテンションで鳴海を揺さぶる。



「あ、ああ確かに物凄い美人だな……いや!! そういう事じゃないだろ!! 異世界ヴェールってなんだよ!! と、とりあえずそこの美人さん、元の世界に戻してもらっていいですか??」



「む、無理です」



「ですよねーっておい!! ふざけんなよ!! やだよ俺勇者とか無理無理。こいつはやるんで俺だけでもお願いします!!」


鳴海は大地をお姫様の前に押し出す。



「兄ちゃん、一旦落ち着こ?? あと焦り過ぎててマジキモいから」



大地は鳴海に冷ややかな視線を浴びせつつ肩に手を置いて鳴海を落ち着かせようとする。




「なんでお前は冷静なんだよ!? あと今キモいって言ったよな?? なあ??」



「とりあえずこの美人さんのお話を聞いてからにしよ?? あとそんな事言ってないよ。キモっ」



「はい!! 今確実に言ったな!! 小声で言っても聞こえてますー、兄ちゃん耳は昔からいんですー!!」



二人はいつもの言い争いを始める。


「あ、あの!!」


すると、蚊帳の外だったプラチナブロンドのお姫様が二人の間に入る。



「そ、そのすいません!! とりあえず、お話は中でしますから、い、今は何も言わずに着いて来て下さい。お願いします!!」



「「……はい」」



鳴海と大地は泣きそうになりながら自分達を止めるお姫様に何も言えなくなり、言う通りにお姫様の後を着いて行く。









(……とりあえず着いて来たものの、一体ココはどこなんだ?? 見た所城内だと思うが)



しばらく歩くと豪華に装飾された大きな扉が二人の前に現れた。



「すっげー!! めっちゃでかいね兄ちゃん」



大地はここまでの道のりでも興味深そうに辺りをキョロキョロ見回していたがこの扉でますますテンションが上がったようだ。



「あーはいはい。わかったから。予想だけど王様の所に行くんだから失礼のない様にしろよ」



鳴海の発言にお姫様はよく分かったなみたいな顔で驚いているが、鳴海は気にする様子もなく軽く身だしなみを整えていく。生徒会長を任されている身なのか公の場において無意識でやってしまう癖のようなモノだ。



「へぇーよくわかったね兄ちゃん。気をつける!!」



大地は元気よく返事を返すと大きな扉に向き直った。



「で、では参ります」



お姫様がそう言うと扉がゆっくりと開き始めた。



(ん? 誰もいないのに開いてるな。もしかして自動……なわけないよな。とすると、まあアレだよな)



二人はお姫様の後に続き、ゆっくりと扉の奥に進む。その奥はとてつもなく広い空間が広がっており、その中心には王座がある。その横には甲冑に身を包んだ兵士、さらにはメイドさんがいた。



「お、お父様。勇者を連れて参りました」


王座に座っていたダンディーなおじさまがこちらにゆっくりと歩いてくる。そのまま鳴海と大地の前まで来る。



「兄ちゃん、メイドさんがいるよ」


大地がヒソヒソと鳴海の耳元に囁く。


「馬鹿、今はそこじゃねーよ。とりあえず俺の真似しろ。いいな?」


「わかった」


大地が頷いたのを確認すると、鳴海は片膝を付いておじさまに挨拶をする。



「この度、勇者召喚されました。天草 鳴海です」


「天草 大地です」


「ふむ、君達が勇者か。そう堅くならないでくれ」


おじさまの声に従い、鳴海は立ち上がる。



「自己紹介がまだだったな。私はこのヒストリア王国国王のアレス・ヒストリアだ。そして、ここまで君らを案内してきたのが娘のレイヤだ」


ツカツカと鳴海達の前で優雅に一礼すると、プラチナブロンドのお姫様が口を開いた。



「レ、レイヤ・ヒストリアと申します。挨拶がおくれても、申し訳ありませんでした」



「あぁ、こちらこそ先ほどはお見苦しい姿をお見せしてしまって申し訳ありません。よろしくお願いいたしますレイヤ姫」



鳴海はしっかりと挨拶を返すと再び国王に向かいあった。



「あのさ、召喚とかかっこいいとか思ったけど、俺達何もわかんないからさ説明してよおじさん」



今まで黙っていた大地が国王に向かってタメ口で話始めた。それを聞いていた衛兵の一人が大地向かって怒鳴る。


「貴様!! 国王に向かって何たる無礼だ!!」



衛兵の中でも他の者とは違う甲冑を身に着けた騎士がこちらに歩いてくる。



「馬鹿か!! せっかく俺がうまく取り入ろうとしたのに!!」


「兄ちゃんはまどろっこしいんだよ」


鳴海は王座に来る間にしっかりと考えていた。この国の一番偉い奴に取り入ることができれば元の世界に返してくれるかもしれないと。しかし、大地の馬鹿の所為でそれもパーだ。


「そんで、誰?? 」


詫び入れた様子もなく大地は不思議そうに騎士に尋ねる。


「私は王国第1騎士団団長のアルザス・クレセリオンだ!!」


「へー騎士団団長ねー。よろしくね」


大地はそう言って握手を差し出す。


「貴様……勇者召喚されたからと言って調子にのるなよ??」


アルザスは青筋を額に浮かべている。



「やめぬか!! アルザス、下がれ」


その様子を見ていた王が騎士を一喝する。



「しかし、陛下。こやつは……



「アルザス、私は下がれといったぞ?」



「はっ!! 申し訳ありません」


国王の有無を言わせない一言でアルザスと呼ばれた騎士は下がって言った。



「すまぬ。悪い奴ではないのだ。どうか嫌わんでやってくれ」



「オッケー」


大地が軽く返事をする。アルザスは元の位置から大地を睨んでいるが気にしてない素振りで大地は話を進める。


「それで?? なんで俺たちここに呼ばれたの??」



「そ、それは私から説明し、します」


レイヤがおどおどしながらも大地に返事をした。



「よろしく、レイヤさん」


「はぁー、もういいや。どうにでもなれよ」


鳴海はそう呟いてレイヤの話に耳を傾ける。



「で、ではまず、お二人にこれをお渡ししておきます」


レイヤがそう言って取り出したのは銀色のキャッシュカードくらいの大きさの板だった。



「そ、そちらはステータスプレートと言って自身の能力をみ、見ることができるもモノです」


レイヤからステータスプレートを渡される鳴海と大地。


「どうやって見るの?」


大地がレイヤに尋ねる。



「か、簡単です。ステータスオープンっとカードを額にかざして念じてみてください」



「なるほど、確かに簡単ですね」


早速レイヤに言われた通り二人はカードを額に当てて念じる。


((ステータスオープン))



すると、カードに文字が浮かび上がる。



「どれどれ……」


鳴海はステータスプレートを見る。


名前 天草あまくさ 鳴海なるみ

年齢 18歳

性別 男

種族 人族ヒューマン

レベル 1

筋力 100

体力 100

敏捷 150

魔力 2000

耐性 500

スキル 根源の知識 魔術 魔力自動回復 経験値増加 魔眼グレゴール

称号 賢者ワイズマン


と記されていた。


(この世界の平均値がわからんが、見た感じ完全に後衛職向きのステータスだな)


「兄ちゃんどんな感じだった??」


「そういうお前は??」


「はい」


大地は自分のステータスをなんの躊躇もなく見せてきた。


名前 天草あまくさ 大地だいち

年齢 17歳

性別 男

種族 人族ヒューマン

レベル 1

筋力 1800

体力 1200

敏捷 1100

魔力 500

耐性 550

スキル 武神ぶしん 聖属性魔法 体力自動回復 魔力自動回復 経験値増加 天眼てんがん

称号 勇者ブレイバー


「……お前じゃん勇者!! 俺関係ないやん!!」


大地の称号には勇者ブレイバーがある。ということは召喚される予定だったのは大地一人だけであって鳴海は勇者召喚とは本来関係のない存在だった。しかし、魔法陣に一緒に入った為に大地に巻き込まれる形でこの異世界にきたわけだ。



「まあ、もういいじゃん。とりあえずがんばろ兄ちゃん!!」


大地に肩をポンっと叩かれ、慰められる鳴海。


「ところでレイヤさん、大体の平均値ってどんなもんなの?」


大地が自分のステータスプレートを見ながら尋ねる。


「そ、そうですね。平均はせ、成人男性なら50〜100といったところでしょうか。そ、それとスキル持ちだとかなりレアだとお、お聞きしました」


「じゃあおれめっちゃ凄いじゃん!!」


大地は自分のステータスが平均値を大幅に上回っている事に喜んでいる。


「さ、差し支えなければ拝見してもよ、よろしいですか??」


「うん、いいよ」


大地はレイヤにステータスプレートを渡す。それをみたレイヤは驚きに目を見開く。


「す、すごいです。ステータスだ、だけなら騎士団のどの騎士よりも高い……!!」


(なんか嫌な予感がする)


鳴海の予想は的中し、レイヤの言葉を聞いていたアルザスが反応した。


「なんと、それはすごい!! 是非とも一手お手合わせ願いたいですな」


白々しい演技をしながらまたもやこちらに近づいてくるアルザス。


「陛下、これは勇者殿の実力を見られるチャンスでございます。どうかこの私にお相手を務めさせて頂きたい」



「うむ、しかし、勇者はこちらに召喚されて間もない。力を見るにしても右も左もわからぬ状態では試しようがないのではないか??」


国王のごもっともな意見にアルザスは口を紡ぐ。


「いいよ、やろうよ試合」


それに答えたのは大地本人だった。


「大地!! お前いい加減にしろよ。遊びじゃないんだぞ!? それに説明はどうすんだよ??」



「兄ちゃんが色々考えてんのは分かるけど俺馬鹿だしそういうのは兄ちゃんに任せる!! だからさとりあえず戦うための……この異世界で生き残る為の力を身につけないと。俺頭使うより身体で覚えた方が早いから。それに俺負けないよ??」



大地の言葉に何も言えない鳴海。


「……ああ〜!! もうわかったよ、好きにしろ!! だけどやるからには絶対に勝てよ」


鳴海はガシガシと頭をかくと、拳を前に突き出す。大地は笑顔でそれに答えた。



それを見ていたアルザスはふんっと鼻を鳴らすと準備をしに奥に引っ込んで行った。



「仕方ない。レイヤ、彼らを修練場に案内してやりなさい」


国王がそういうとレイヤは頷き、こちらですと案内してくれる。


「アルザスは騎士団第1団長とあってこの国でも屈指の使い手です。さすがに勇者様でも……



「大丈夫だよ、大地が勝つって言って負けたことないから」



「そ、そうですか」


鳴海の一言に何も言わせない力があったのを感じたレイヤはそれ以上何も言うことはなかった。



こうして大地とアルザスの模擬戦が行われるのだった。














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