第13話 【Approval】
創造の前に破壊を。
SEOとの一件から1ヵ月が過ぎた。
あの一件で僕は人を殺してしまい、どうしたらいいのか分からず、途方に暮れていたが、歩や皆のおかげで大分立ち直ることができた。
僕は、この運命を次第に受け入れていくようになった。
どれだけ悲劇を繰り返そうとも、過去は変えられないのだから。
授業が終わり、祐は廊下に出た。次の授業は3階にある教室で行われる。3階への階段を昇った途中で、駆に会った。あっ、と思い、声をかける。
「駆先輩。後で話があるので放課後いいですか」
「…?ああ、別にいいが」
駆はすんなりとOKしてくれた。
失われた居場所は、取り戻す必要がある。壊されていなければ。
放課後。校門近くで待っていると、駆がやってきた。
「駆先輩」
「で、なんだ?話って」
「実は、魂喰いが捕獲された場合、どこに連れていかれるのか、それと、その後どうなるのか、そしてその場所の構造、この3点を調べて欲しいんです」
駆は一瞬唖然とし、ため息をついた。
「また難しいことを…みずからSEO側に近づく魂喰いは珍しいぞ」
しかし、祐の中ではある決意が固まっていた。
「これでもただの高校生の俺が、そこまで調べられると思うか?」
「駆先輩なら、できるかと」
「買いかぶりすぎだ」
さすがに駄目か、と視線を落とした。
「できる限りの範囲なら調べてやってもいい」
顔をあげた。
「だが何故だ?なぜそれを知りたがる?」
「理由は後で話します。…………知らないといけないんです」
駆は祐に背を向け言った。
「…そうか」
そして歩き出した。
「お前いつのまにか、目つき、顔つき変わったな」
「え?」
「決意した、強い奴の目をしている」
そう言い残し、駆は帰っていった。
祐は、しばらくその場で呆然としていた。
一方、『家』アジトにて
「遅い………」
眼鏡をかけた女が、鉛筆でメモをとりながら呟いた。
そして、部下の一人を指さして、言った。
「あなた、廻が遅い理由を知ってる?」
指をさされた男は、「いえ」と短く答えた。
すると、ドアが勢いよく開き、部下の一人が入ってきた。額には汗をかいている。
「幽さん!!廻さんが、暴食に殺されました!」
「なんですって?」
SEO本部直接管理収容所『ストマック』にて
収容所の無機質な廊下を、歩く男2人組がいた。
「今回捕獲した魂喰いは非常に強力な瑠魂でして」
「ほう」
「今は亡き鍵山が急所を攻撃したことにより、捕獲に成功したようです」
「…………鍵山君のお手柄だね」
冷たい風が留置場内に入ってきた。
「もうすぐ秋ですね」
「ふむ」
男の1人は、筋肉質で、顔の至る所に傷がある暴力団でさえ縮み上がりそうな強面の外見。
もう1人は、背はピンと伸びているものの顔に皺が刻まれた60代後半ほどの老人だった。
「そういえば、今度『暴食討伐作戦』をするそうですね」
「ふむ。まだ詳細は決定しとらんがね」
「指揮官としてのお仕事、頑張ってくださいね」
「うむ」
男達は、ある檻の前で止まった。
「こいつが鍵山班の捕獲した魂喰いです」
「ほう」
「おい、師!顔を上げろ」
顔を上げた師の眼には光が無かった。
空洞のように、空っぽの眼をしていた。
未来など見えない。




