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第三十七話 不出来な影(ふくせい)

アイの出番が無い!!

アイの出番は無いが、主人公の出番はあるというこの矛盾。

 「おらあああ!!!」


右の拳に肉が当たる感触がまたして、『悪魔の王』が吹っ飛ぶ。

ははは! 爽快だなああ!!


「ハッ!! まだまだだろ『悪魔のディアボロス』!!?」


「当たり前だ。こんな程度でやられてたまるか」


また地面から立ち上がり、服に付いた砂埃をパッパッと払う仕草をする。

効いてないのかコイツ? いや、まさかな……。


あ? 何で俺かって? 俺は『俺』だからな。どうでも良いだろそんな事。


「強がりもそこまでにしとけ!!」


再び強化された跳躍で接近、相手も黒い何かを放つが、その隙間から懐に飛び込み、


「おらぁッ!!」


また、灰色の光が纏われながら『悪魔の王』の体にぶち当たる。

『俺』じゃないから能力とか言うのは使えないし、魔術も制限されるなら、俺の武器はこれだ。


「『跳躍者』! 油断は禁物です。こんな程度でアイツが倒れるはずありません!!!」


まあ、確かに俺もそう思う。

今まで『俺』やその妹、そして横にいる『救世主』までを陥れてきた奴が、

いくらあの拳だって倒れやしないとは思う。


また、砂煙の中から『悪魔の王』が立ち上がる。

今度は服を払おうともしない。

ただ、ただこちらを見て笑うだけ。


「……準備完了。我としては二人同時に来ないと、逆に何かあるのではないかと不安で不安だったのだが、な。

ソレならば問題無い。もう少し楽しませてくれ、『跳躍者』に『救世主』。

それと…………その為に君たち二人には我達と同等の者に相手をしてほしい」


その笑いをニィィと深くする。

そして―――――――


「なんだァ?」


「アレは、影?」


影? 『救世主』が言うにはそうなんだろうが。

それにしても、影に質量なんてあるのか?



今、俺の目の前では、影があった。

『悪魔の王』の傍で、地面に張り付く影は、いきなりその頭を持ち上げた。

と、瞬間でソレは地面から離れた。勿論、王の影も無い。


その影もどきは、地面から離れてすぐ、カタチを取り始めた。

粘土を固めるがごとく、グニャグニャと変形しながらカタチを整える。


そしてそれは……


「俺か? 何とも悪趣味な粘土だ」


「自分で言いますか……?」


俺と同じ形をとった。とは言っても、所詮は影。

俺は『俺』の体に黒い部分がいくつかできただけで、前よりは人に近いと思うが……

目の前のソレはもうただの人形だ。

黒い粘土をこねて作った俺の偽者。そうとしか思えないほど不出来なものだった。


「何だこりゃ? そんな出来損ないを俺と?」


「当たり前だろう? 先ほども言ったように、我とこの『影』は、

君たち二人それぞれ実力が合う者に来て欲しいのだ。分かるか?」


「へッ!! そんなの、俺とお前に決まってんだろうッ!!?」


再び跳躍、『悪魔の王』に向かうが―――


「なッ?」


弾かれた。

完璧にタイミングを合わされて。いや、最初から同じだったように。


しかも、『悪魔の王』ではない、あの影だ。

アレは一瞬で俺と『悪魔のディアボロス』の間に割り込みやがった。


「何だよ、コイツを倒さなきゃ主賓メインディッシュにはありつけないってか?」


「その通り。もっとも、君がたどり着くのは主賓(死)だが」


何だよ、面白いことしてくれるな『悪魔の王』。

そうか、なら。


「コイツからぶっ潰す!!!」


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