第三十話 五分前
今回はめっさ短い。
「見つけました。悪。この世の為、消えてもらいます」
そう沈黙の中言ったのは、女だった。
美しく、けれども『七つの大罪』よりもなぜか清い。
そう、本能的に分かった。
コイツが、この『女』が、『救世主』なんだと。
「王を無視するとは、余裕だな『救世主』ッ!!」
『救世主』の腕から伸びる緑の光を、『悪魔の王』が素手で止めている。
が、段々押されているようだ。
「余裕ではないですよ。今回は結構、数だけは揃えているみたいですし。
……それに、『跳躍者』と『天使の末裔』まで従わせたんですか?」
「ふッ。『跳躍者』のアレを従わせられる奴がいたら、拝みたいものだ」
「ならば……アレは自分の意思でこの場にいると?」
「その通り」
俺も『悪魔の王』の言葉に頷く。と、女がホッとしたように息を吐く。
「そうですか……安心しました。
……これで、『跳躍者』と『天使の末裔』にも、手加減をしなくてすみそうですね」
その言葉と同じタイミング。
瞬間で、
「ッッッ―――!!? 後ろっ!?」
地面に手を触れ、岩石を操り、
そして自分の周りに設―――「遅いです」っ!!
「ぐォっ!!? ガアアアッッ!!!」
「アイ兄!?」
気付けば吹っ飛んでいた。そうとしか言い様がない。
抉れた地面……否、俺が当たり地面が抉れる。
地面の硬い感触が響き、背中からゴリゴリと音が聞こえる。
「う……?」
何だ? どれくらい経った?
まだ背中を打ち付け、数秒しか経っていないはず。
だが、視界に映る光景は、その予想を狂わせかねないようなモノだった。
目の前に走る閃光。
緑の光の奔流が、誰か見えないが、ソレラを包み、消し去る。
吹き飛ばす。投げる。斬る。裂く。叩きつける。
一瞬で消えれば一瞬で遠く離れた敵の元へいき、
さらに一瞬で叩き伏せる『救世主』。
その力は、圧倒的だった。
既に『悪魔の王』さえも、王の威厳虚しく、地に伏していた。
「ああ……アリア? マスター?
皆は…………どこだ?」
周りは既に草原から戦場へと姿を変え、土のみの瓦礫が積まれ、
地面は直線的に抉れる。
そしてちらほら見える人の、影。
そこで、俺は秘策の事など放って、辺りを見回した。
そこに、いた。
服に埃すら付けていない『救世主』。聖女を。
ヤバイ。全くと言っていいほど、前作前々作と比べて読み手が少ない。
ですが、これを読んでくれている人。どうもありがとうございます。
……タイピングマニアってむずいですよね。(知ってるかな? 分からない)