第三十三話
「双葉殿、報告に参りました」下っ端忍び参上。
「聞きましょう」
「先日、織田軍が甲州の天目山にて武田軍と激突。
武田軍は壊滅、武田勝頼は自決。武田家は滅亡しましたぞ!
そして真田昌幸が独立⁈」
「そうか、あの武田家も亡びたとは...
「今少し、気になる報告がありますぞ」
「続けてくれ」
「富士見あたり、祝勝の席にて信長が明智光秀を厳しく叱責したとのこと。
光秀は諸将の面前で面目丸つぶれ、徳川家康の取り成しが無ければどうなっていたことかと⁈」
「そうか、ご苦労。引き続き動向を探ってくれ」
「承知!」
「翔平、どう思う?」
「前にも言ったように、もう《《よほどの事》》がない限り織田家、
いや信長の覇権は時間の問題かと⁈」
「急がないとな⁈」
「はい、聞くところによると信長は日の本を統一後は、朝鮮そして明国までも
支配してみせると豪語しているそうな」
「たとえ信長が天下をとっても、戦のない世は来ない!
信長に代わる天下人が必要なのだ⁈ ならば、よほどの事が起こるしかない!」
「それはどのような?」
「今はまだわからない。誰かに信長を倒させるか...さもなくば我らが⁈」
「表立って信長を敵に回すのは避けなるべきかと」
「そうだな。 力を蓄えてその時に備えよう⁈」
新名物屋敷は大浴場こそ完成したが宴会場や宿泊施設などまだまだ完成には
程遠い。
だが、調理場は味平の希望を全面的に取り入れて、使い勝手が随分良くなりそうだ。
移民希望者の家も徐々に増やしていき不満のないように割り当てる。
一芸に秀でたものも面接に訪れるようになってきた。
若い武芸者や腕に覚えがある浪人、彫刻家、陶芸家、鉄砲鍛冶、医師、
旅芸人、裁縫上手、料理自慢、植木職人...
翔平と面接をおこない使えそうなものを厳選して雇用する。
不採用だったものにも足代と味平特製弁当を渡し、見込みのありそうな者には腕を
上げてからまた面接に来ればよいと通達しておく。
それにしても、比叡山の焼き討ち以来、信長の残虐ぶりが止まらない。
長島城落城の時も3000人以上の僧兵から女子供まで皆殺し⁈
伊賀の里でも忍び以外にも里人たちの虐殺を平然と行い壊滅させたとか。
今後もおなじようなことを続けるに違いない。
そんな報告を聞くたびに双葉の怒りが燃え上がる⁈
第六天の魔王の呼び名はまさに魔王の実在を意味するにふさわしい。
織田軍が石山本願寺攻めの折、兵糧を運ぶ込む毛利水軍が、織田家に
臣従した熊野水軍を散々に打ち破った。
信長は九鬼嘉隆に巨大な船(鉄甲船)の建造を命じて、再戦での勝利を厳命した。
ここにきて、快進撃を続けていた織田軍の足が鈍る。
本願寺は各地の一向宗徒に一揆をおこさせ、根来衆を操る。
また、雑賀城の城主、鈴木佐太夫と鈴木重秀が率いる雑賀衆の鉄砲隊が籠城戦では獅子奮迅の働きを見せた。
本願寺勢の強固な抵抗のおかげで、双葉たちは貴重な時間を稼がせてもらっているのだ。
その貴重な時間の使い道の一つに、新しく結成されたお背中流し隊の育成がある。
これは極めて重要な案件の一つだと双葉は考える。
隊員は一類から九類まで一通りは揃えたが、ほとんどがド素人なのだ。
たとえ、一類であったとしても、サザエさんよりそそっかしい大胸や、ガサツな
十三はお色気からは程遠い。
教育係に指名されたのはお色気シスターズの二人。異論をはさむ余地なし!
「あたいたちが本当のお色気ってやつを教えてやるよ⁈」となにやら山岡〇郎(美味〇んぼ参照)みたいなことを言っている。
昼食後、半時《一時間》ばかりの指導を、最低でも三級免許を獲得するまでは、ほぼ全員に義務付けされた。
〈虎の女子穴〉と命名された怪しげな会の記念すべき第一回実践講義が本日開催される。
(面白そうなので少し覗いてみるか)
「みんな、よく来たね。このお了姐さんにかかればたちまちどなたもお色気満開...とはいきません。
ここは焦らずじっくりいきましょう。信じる者は救われるでござんす」
(なんだか宗教じみてきたな)
「まずは、腰を下ろし気楽にいきやしょう」
「はーい⁈」
「十三さん、胡坐はやめましょうね」 「つい」
「大胸さん、う〇こ座り...ヤンキー座りもやめましょうね」 「つい」
いきなり色気皆無ツートップがたしなめられている。
「では、よござんすか? 今日のお題は...
〈明日のために,その一、左ジョブ!〉
軽く、左拳...もといナニを握りしめ、このさい肘を左わきから離さぬ心構えで、
やや内角を狙い、えぐりこむように打つべし..もとい、しごくべし⁈」
「センセ、質問?」
「はい、どうぞ。」
「ナニって何ですか?」
「チンポコに決まってますわ!」
「決ってますわなのですね⁈」
「愚問ですわ。他に質問がないなら実践練習に...といきたいのですが初日ですし、
条例に触れそうなチミッコもいるので、今日のところは素振りだけにしておきましょう」
ではみなさん、一斉に...
シコシコ、シコシコシーコ...
「咲久さん、脇があまいですよ。」
「はい、師匠!」
「花さん、お上手。ベテラン顔負けですわ!」
「もっと褒めてください、師匠!」
まあ任せておけば大丈夫だろう...か?
「双葉殿、報告に参りました」と下っ端忍び参上。
「聞きましょう」
「織田家国主、信貴山城主松永久秀が謀反!
織田軍の大軍に囲まれ降伏勧告を突っぱね天下の名品、古天明平蜘蛛と共に爆死!
また明智光秀が丹波地方を制定、国主に任命され丹波亀山城に居城を移したとの事」
「ご苦労。 引き続き動向を探ってくだされ」
「承知」
「翔平、どう思う?」
「信長にとって残っている目の上のたん瘤は石山本願寺のみ。
熊野水軍の巨大船が完成すれば全力でつぶしに行くでしょう。
あまり時間の猶予はないかと」
「そうだな。 それと一度、内密で明智光秀殿に会いに行き、話してみたい」
「良いと思います。 ただし、信長には絶対に気取られないようにすべきです」
「うむ、明智殿に迷惑を掛ける訳にはいかぬ。 伝手はあるよな?」
「明智殿の重臣、斎藤利三さんとは顔なじみです。手紙を届ければ光秀殿に取り次いでもらえるかと」
「では三平に手紙を届けさせるとしよう」
そんな中、わっちの里でついに出荷できる待望のかぼちゃと人参が収穫された。
味平に調理してもらい味見をする。
かぼちゃの煮つけは水に砂糖、しょうゆ、みりんと酒を加えて煮込む。
これが絶品だった。
あと、かぼちゃの天ぷらと、湯でニンジン、ニンジンと大根の酢の物。
素晴らしい料理が新たにメニューに加わった。
堺の町に拠点がある納屋助左衛門に販売を任せればかなりの利益が得られるはず。
長安ほどの期待はできないが、それでも期待で少し胸が膨らんだ...気がする。
納屋助左衛門は今はまだ、店の基礎固めの段階だが、いずれはでかい取引をしてくれるはずだ。
皆、それぞれが精いっぱいできることに全力を尽くしている。
それに報いるためにも、あらためて双葉自身も全力を尽くすと胸に...ない胸に誓うのであった。
【完】
↓
ウソピョン! 怒らないでケロ⁈ もうやらないから...たぶん。
著者ケロボッチは話が行き詰ると逃避する習性があるようだ。
ようやく名物屋敷も完成が近づいてきている。
細かい彫刻などの仕上げはともかく、〈極楽浄土!浮世体験⁈改〉の開催は
そう遠くない。
お背中流し隊の教育も順調に進んでいる...二名以外は。
言わずと知れた乳揺らしシスターズには教育係のお了さんもさじを投げ、
素材(乳)だけの接待をするしかないとの苦言。
二類の補強が急務かもしれない。
また、新接待係の武家出身、伊達直子が三類枠を埋めてくれたが、
とある組織に追われているため、素顔を出せないらしい。
そこで虎の仮面を被り、タイガーマス子の源氏名で接待することになった。
案外、人気が出るかもしれない。
教育係のお了さんとお雛さんによると、オープン前までには精鋭揃い?になると、太鼓判を押してくれた。
料理部門も味平を総料理長として、副料理長に咲久と花の二人。他、補助数名。
仕入れの目利きが任せられる数人を、買い出し部隊として送り出せば、味平の負担も随分楽になる。
あと流れの絵師が大浴場に〈富士山〉の見事な大壁画を数日で描き終わると、いつの間にか去っていった。
絵師見習いが手伝いをしていた時に、今は、雲黒斎を名乗っているが、一人前になれば東洲斎を名乗るとか。
早く一人前になって改号してもらいたいものだ⁈
ふいに、虫の知らせとでもいうのか、ラファ〇ルの顔が見たくなった。
乳揺らしシスターズを連れて堺の町、南蛮商館を覗きに行くことにした。
バーン!と勢いよく商館の扉を蹴り開いて
「来たよ! 我が友...
そこにはラファ〇ルの姿はなく見事な金髪の美女がいた⁈
双葉は例によってまず、胸をみる...これは!
もしや、海外にしか生息しない幻の一類(爆乳)ではないだろうか?
「アナタ、モシカシテ双葉ッチデスカ?」
「ヨクオワカリデ、モシカシテノ双葉ッチデス...いかん!また移った⁈」
「アナタタチ、当商会ノ要注意人物にノッテヤガルデスワ⁈」
「それは不本意! きっと何か誤解があったのでしょう⁈
ときにラファ〇ルさんは?」
「オー、アヤツハ隠岐ノ島に左遷サレヤガッタデスワ!
帳簿ノ売リ上ゲガスクナスギテ、フシゼンナ赤字ニナッテマシタワ⁈」
「誰かに値切り倒され...横流しでもしたのだろう、自業自得だな⁈」
「ソレッテアナタデハ?」
ギクッ⁈
「な、何のことかな..な、何か証拠でもあるのかね?」
「アナタカラ買ッタ極楽浄土!大昇天⁈ノ割引予約券2枚ヲユズルカラ、
今回ダケハ、ミノガシテケロッテ、イッテヤガッテタデスワ⁈」
「むう、確かにこちらにも少し、あくまでほんの少しは責任があったやもしれぬ。
ゆえに、ラファ〇ルさんの事は善処すると約束します。
では、一区切りついたところで、そろそろ取引に入っても良いですか?」
「望ムトコロデスワ、私ハアマクナイ...ショッパイデスワ。
ナメテミマスカ?」
「舐めるのは保留でお願いします。ちなみに例の本の在庫ありますか?」
「平戸ノ商館ニアッタブン、ゼンブモッテキマシタワ。
各80冊ガ三種類、一冊20文デ48貫ニナリマスワ⁈」
「はて? 一冊10文だったのでは?」
「ラファ〇ルカラ、タシカニ一冊20文トキイテイマスワ⁈」
「おそらく、ラファ〇ルさんが功を焦って勝手に言ったのでは?」
「コウユウノハ〈水ノ掛ケッコ論〉デアッテマスカ?」
「そうとも言います。では間を取って一冊15文でどうでしょう?」
「シカタアリマセンワ、今回ニカギリソレデ手ヲウチマスワ。
シメテ36貫ニナリマスワ。」
「それで結構、毛だらけ、猫灰だらけ、お尻の周りは...ですわ。
そう言えば、御尊名をまだ聞いていませんでしたね?」
「オー、コレハモウシオクレマシタワ。
私ノ御尊名ハ、リル・アーゴッ〇デスワ。」
「では、リルさん。最後に一つだけお聞きしても良いですか?」
「ナンナリトデスワ。」
「下の毛も...じゃなくて男衆の好みはどのようなのがよかとですか?」
「オー、ワタシハ年下ノチミッコニ、オネーチャント呼ンデモライタイデスワ⁈」
(つまり、ロリショタか⁈ 二人も心当たりがあるにゃ!)
「リルさん、お近づきのしるしに我が名物屋敷に招待したいのですが、
受けてもらえますか?
天然温泉に豪華な料理、宴会もありますよ⁈」
「モチロン、ウケテモラエマスデスワ⁈
店番タノンデ、イマカライキマスデスワ⁈」
「おお、さすがの決断力に加えて行動力⁈ 素晴らしい!」
「ソレッテ〈尻軽オンナ〉デアッテマス?」
「ソレハ違ウト思イマスデスワ⁈」 いかん! またつられてしまた⁈
双葉はなんとしても、リルを捕獲したいのだ!
現時点では、おそらく日本で唯一の一類! 加えて上も下も?金髪!
肌の色は透き通るように白い!
お背中流し隊に加わればパンダ顔負けの集客力が見込まれる⁈
仮に南蛮商館が出禁になっても欲しい大珍獣...超逸材⁈
里に着くとすぐに、リルを名物屋敷の天然温泉の大浴場に案内した。
全裸になったリルは目の前の富士山の大壁画に見蕩れて固まっている⁈
接待役に呼ばれた翔平と味平はリルの裸を見て硬くなった?
つまり、ビンビンと言えばご理解いただけたでしょうか?
とりま、二人がリルを挟んで湯舟にどっぷりと浸かった。
我に返ったリルが翔平と味平の何が何なのを見て、
「オネーチャンニ、オマカセナサーイデスワ⁈」と二人の何を何し始めた。
これではどちらが接待係かわからないではないか?
「カモン、ベイビー⁈」の号令と共に...
「お姉ーさま⁈」 「お姉ーちゃん⁈」二人同時に昇天させられた⁈
白人特有の白い肌、上も下も金髪、国内唯一の一類(爆乳)に加えて
どうやらドS属性まで備えているようだ⁈
リルさん、あなたは生涯この里から出ること能わずデスワ⁈
入浴後は夕食、リルの前に次々と豪華な膳が並べられていく。
両隣の翔平と味平が代わる代わるリルにとびきり旨い酒の酌をする。
お姉ーちゃんと呼ばれる度にリルが抱きつくので、二人の顔が胸に埋もれる⁈
宴会芸が始まると、感激し、感涙し、腹を抱えて笑い転げた。
リルは天然温泉、豪勢な料理、旨い酒、宴会芸に二人のショタ⁈
完全に里に魅了されたようで、当分の間逗留したいと双葉に申し入れた。
双葉は当分の間は、この里に骨を埋めるってことだよな?と解釈して
「好きなだけいてくださいデスワ⁈」と笑顔が怖かった。
これにて大物珍獣確保の任務完了ですわ⁈
―以下に続く―




