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第三章 落ちこぼれ剣客と神算の事務屋。三国志の英雄たちが「ドン引き」した、たった一夜の復讐譚 徐庶と向朗の完全犯罪  作者: こくせんや
第二部 向朗先生の三国志の歴史講座

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第二回講義 一八九年の危機。地政学・漢の「腹」にある病巣その2

白亜の鬼と、沈黙の共犯者たち


1.腐敗した正義

「我が丞相府と同じ構造であるな。人事、軍事、税、司法といった全ての権限が州牧府に集まる体制で、黄琬が統治したのだ。黄琬は赴任後最初に行った事は、この巨大な『病巣』である葛陂の賊の撃退である。さて、魏延、お前ならどう戦う?」


魏延が少し考えてから、応える。

「……俺なら湿地には入らねえな。出口を締めて干上がらせる」


「ご名答。黄琬は葛陂に隣接する都市の防衛を徹底した。ただの専守ではない。膨大な数の難民の群れの襲撃を徹底的に封鎖し、略奪ルートを断ったのだ。そして、彼らの内部崩壊を待ち、それでも糧を求め、襲ってきた賊を各個撃破し、葛陂に追い返した。彼は儒学者に見えて、その実は冷徹な実務家であったのだよ」


こうして中平六年(一八九年)の危機は去ったかに見えたが、戦時体制の裏では蛆虫が湧いていた。郡の督郵・賈仁かじんが、軍糧を賊へ横流しして私腹を肥やしていたのだ。


「当時、役所に一人の書記官の学生がいてな。彼は報告書の数字に違和感を覚えた。『数字が美しくない』とな。輸送中の麦の損失率、荷車の破損数、人足の食扶持。すべての数字が、まるで作られた損耗率でうに整っていたのを見つけたのだ。嘘の数字には必ず歪みが出る。彼の友人の倉庫番・柳安りゅうあんも、横領した物資を見つけたが、逆に濡れ衣を着せられ、舌を抜かれて処刑された」


そして柳安の幼馴染であった一人の男が壊れた。


2.市場の侠と計算の理


「男の名は徐福。彼は叫んだ。『法で裁けないのなら、俺が敵討ちをする』と。単身斬り込もうとする彼を、書記官の学生や仲間たちが止めた。『それじゃ犬死にだ』とな」


「徐福?どこかで聞いたことがあるような……」

楊顒が思い出せそうで、思い出せないようだ。


「そして書記官の学生と徐福の二人は仲間を集め敵討ちの準備を行った。石韜がアリバイ工作を行い、孟建が情報を集め、郭嘉が賈仁を誘惑し、李撰は妖怪騒ぎを引き起こす。陳羣や荀彧も影から支援してくれた。」


魏延が困惑する。


「は?ちょっと待て。郭嘉に陳羣に荀彧?なんの妄想だ?爺さん」


楊顒も恐る恐る質問する。


「さきほど、李撰という名も出されましがが、李撰とは、我が(蜀)国きっての変人。もとい賢人の李撰大学者ですか?」


(ふふ。困惑するよな。私が話していても、なんという仲間だと驚愕するよ)


「まあ聞くが良い。決行は嵐の夜。書記官の学生は、徐福に『白亜(白い粘土)』を用意した。顔を隠すためではない。個を捨て、復讐の代行装置『白亜の鬼』となるためだ」


そして、郭嘉の手引きで門が開き、徐福は賈仁を討った。復讐は完遂された。


3.救出劇


だが、徐福は逃げ遅れた。柳安の妹を助けるために時間を使い、囮となって捕縛されたのだ。彼は刑柱に縛り付けられても、共犯者の名を一切吐かなかった。


「結局、石韜たちが鉄壁の法的防御を敷き、書記官の学生が仕込んだ『囚人すり替えトリック』で彼を脱獄させた。救出された徐福は剣を捨て、筆を執った。『もう二度と、力不足で友を死なせたくない』

と。……そして一八九年五月、運命の時が来る」


一体なんの話でしょう??次の話でネタバレします。


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