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勇者VS農家(交渉戦)

勇者は強い(あっちの方も一応強い)

とても気まずい……とりあえず家にあげたものの……


「あぁ……なんだ、魔王討伐が順調だって聞いたよ」

「おう、良かった」


と会話が途切れる。正確には後ろ二人……四人組ではあるが後ろの見たことがない二人組がなんかコソコソ会話してるが、


「あれ?そういや前会った時と人が変わってるんだな?」


とりあえず何も知らないので近況を、


「あぁ、それなんだがな、お前の見た事のある二人は……」


とそこで言葉が途切れる。とても悲しそうな表情をしており、ことの深刻さが伝わってきた。


「まさか……死」

「いや、この世界の奴らとくっついた」

「てことは……」

「あぁ、もう帰る気はないんだと」


マジかよ、とても深刻だったわ……もちろん違う方向に。


「勇者と賢者は……」

「いや、もうめんどくさい、俺のことは、ケータと呼んでくれ。そして賢者、彼女はシュリと呼んでくれ」

「あ、あぁ、じゃあケータとシュリはアイツらより人気なんじゃないか?」


と二人は少し見合って……あ、察したわ。


「なるほど、二人がアレと」

「まぁ、そういう事だ」


で、本題だ。


「ケータはなんでここにいたんだ?たったさっき災害が始まったばかりだろ?」

「それは、勇者としての近況報告を定期的に王に報告してるんだよ。でたまたま今日報告してたら災害とやらに出くわしてな」


なるほど、不運な事故……いや、幸運な事故だったというわけか。


「そうだ、俺はケータたちが魔王討伐するまで暇だから農業を始めたんだよ。定期的にここに帰ってくるなら是非とも寄ってくれ。俺の作る野菜はできるだけ元の味を作ってるんだ」


ついでだし、食べてもらうか。

と思い立ったが吉日、というわけできゅうりをケータに渡す。


「ほら、食ってみ、美味いぞ」


と俺がきゅうりを見せるとケータはとても喜んだ顔をする。


「おぉ……きゅうりだ……三年振りに見た……マジかコレは」


と半分割ってシュリに渡し、二人で食べた。もちろんバカみたいなスキル「豪運」のおかげでとても作物が健康に育つため、そこら辺の栽培されたものとわけが違う。


「……!コレは…」

「勇者様!!?まさか毒!?」

「なわけないだろ、なんだコレは美味すぎる……」

「ふっ……ならもう、言わなくてもわかるな?」

「いいだろう!買ったァ!」


よし、交渉成立。日本人……いや、元の世界から来てる人間なら確実に虜になる。だってこの世界にこの味がないから。懐かしいのだ。三年前から食べてなかったのだ。そりゃこんなテンションにもなる。ちなみに俺も再現できた時はそうなった。もちろんリーンには少し白い目で見られた。


いや、ね?久しぶりに大好きな食べ物食べたら誰だってそうなるよ。きゅうりとかキャベツを嫌いな奴とか小学生より下の年齢でしか見たことないもん。

さてここから交渉タイム。


「で、どうします?定期的にここに戻ってくるんでしょ?」

「確かに……」

「じゃあ毎月買ってくれるなら少し安く売りますよ?」

「むむむ……正確にはどれくらい割り引いてくれる?」

「ふむ……二割、いや、三割までなら割引できるな」


すると勇者はガチ悩みし始める。

ちなみに二人組とシュリとリーンは俺たちの会話にはついてこれてない。男子二人で懐かしいものを見たらテンション上がりすぎて他のことを忘れちゃうじゃん?それは知らない人でも共通だと思うんだ。


「よし、なら買おう!」

「ありがとうございます!」


ということで交渉成立。他メンバーは置いてかれたのだ。


「じゃあ次帰って来る時にでもまた寄らせてもらうよ」

「あぁ、いつでも待ってる。俺はお前らに期待し続けてるからな」

「それはとても励みになるよ」


と謎の友情が芽生え俺は勇者を見送った。

ちなみに契約は

・街に帰ってくる度に店に寄る

・買い物の値段合計を二割引

・契約を破棄する場合は即刻魔王を倒すこと


となっております。口約束は怖かったので後で契約魔法陣を使ってきちんとした契約をしました。


では次回

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