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第三十話 演説

朝、宿内の食堂で朝食を取ろうと思い部屋から出ると別れたはずの奴と再会した。


「あれ?坊主じゃないか、どうしてここに…」


「マリーさんもどうしてここにいるんですか?」


マリーさんがここにいるってことはいまだに傭兵だということだが、そんなにお金に困っているのだろうか…いや、人のプライベートを探るもんじゃないな。


「私は好きで傭兵やってんだよ」 


あっさりゲロったし、金欠が原因じゃなかった。


「そういう坊主こそ何やってんだ?」


「俺達は移動に金が必要そうだから、働くしかないんですよ」


「そうか、またよろしくよ」


「はい」


握手をしてから、宿内にある食堂へと向かう。

最近になっておいしいご飯がいっぱい出るから、日によって別々のものを食べている。だが、たった一つだけ食べられていないものがある。それは…白米である。大半の食べ物に合う白米を食べたいのに見つからない。


これには本当に悩まされる。獣肉を食べていても米がない、野菜を食べていても米がない、米がないのだ。

我々日本人の命と言っても過言ではない米がないのだ。この世が半分終わっているようなもの…いつになったら米が食えるのだろうか?


一応見てみるが、もしかしたらここの食堂に米があるかもしれない。


だが、しかし今回も予想を裏切られた。出てくるのはパン、パン、パンばっか。パン生活はあまり好きではないのだが、こればっかりはしょうがない。


朝食を食べ終わり、ひまになったので部屋に戻ったがひま過ぎて何をすればいいか分からない。


一応、前田さんにどんな仕事をするのかは聞いているので装備のチェックをする。


まぁ何事もなければ何もせずに終わるので楽な仕事だ。ただ、前田さんの後に付いて行って襲ってくる奴を返り討ちにすればいいだけ。元の世界で言うとSPと言ったところか。



さっさと嵐に飯を食わせ、前田さんの所へ行く。てかそもそも、あの人は選挙の立候補者で合ってるよね?他の立候補者から狙われる意味が分からないんだが…考えても答えは出ないし放置でいいか。


前田さんがいる部屋の前まで来てドアをノックする。


「どうぞ」


「失礼します。仕事をやりに来ました」


「それはどうも。今(・)日(・)行くのは東地区の商店街だ」


「今日ですか…聞きますけど、そこで何をするんですか?」


「ん?…決まってるじゃないか、演説だよ。選挙で他の立候補者を排除できなかった時の保険が欲しいからね」


今、排除とか聞こえたんだけど。


「了解です。護衛は俺たち以外はどこに?」


「下見と準備に向かわせています。会場が出来たら馬車で向かいます。その時あなた方には私に着いてきてもらい、到着後一人は私の近くに、もう一人は監視として刺客がいた場合、追跡・捕縛するのが今回の流れです」


「襲撃者ってそう分かるものなのか。相手はプロだろ?」


「私には斬撃も魔法も防げる魔道具がありますから、襲ってきた者が刺客となります」


「分かった。ところで追うのか、捕まえるのかどっちがいい?」


「捕縛してもらえると助かります。追ってもらうのも考えましたが、待ち伏せされている可能性もありますし、たとえ建物の場所が分かったとしても、デコイかもしれませんから…おや、連絡が来ました。完成したようです。行きましょうか」


前田さんの後を付いて行き、会場へと向かう。嵐と話し合って嵐が前田さんの近くにいて、俺が監視役とすることにした。嵐ならすぐに反応できるだろう。


会場に到着してすぐに前田さん達と離れ、見晴らしのいい高台に来ていた。

演説の時間は1時間弱の予定。請け負った仕事だ、しっかりと役目を果たそうじゃないか。休んではいられない。俺の存在をバレないように監視しないと…とりあえず変化があるまで待つか。



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