第79話〜名も無き竜と感情無き少女(1)〜
「私もあれがなければ……」
エキドナはそうつぶやく。
ー1000年前ー
何も無い虚空の場所に、ただ、そこには魔力が濃密に集まっている。
トントン、そこに1つの足音が響く。
後に魔道祖師と呼ばれるようになる、シノンという紫髪の少女。
悠久の歴史の中で今も語り継がれる1人感情を失った少女と、一体の竜の物語。
彼女はただ1人、自分の探求欲を満たす存在を探すために進み続ける。
そんなシノンが時折訪れるのが、この場所。
名は特にないのだが、かつての民族紛争で廃墟となった場所。1000年経った現在でも誰も寄り付かない。
だがシノンには何も無い虚空のこの場所が落ち着くのだ。
そんなある日、シノンはここで初めて魔力を使った。
意図せず……
八つ当たりなのかも知れないが、自分の苛立ちをただ魔力に込めてぶつけていた。
何故かシノンは、魔力の底が見えないほどの魔力を保有していた。特段親が魔力が高かった訳では無い。シノンもまた、魔物と同じく突然変異なのかもしれない。
だが、世界的に類を見ない例、魔力量だけで言えば、シノンを超える量を保有しているものは誰1人いないだろう。
それは今現在も変わることはない。
そんなシノンが放った魔力は、量だけでいえば現在の零の全ての魔力よりも多い。シノンは幼い体ながらも魔力に耐えれる体でもあった。そのデタラメな存在だったからこそ、魔術の祖、魔道祖師シノンと呼ばれるようになったのだろう。
そして意図せず放った魔力が何故か発散せず、一点に集まる。それは、この場所に集まる濃密な魔力が誘導しているかのようだった。
その魔力の点は、点から線へ線からさらに線が伸び魔力がその線に集まる。線はいつしか形を取り出しそれは人型を取り出す。形からして女型。魔力の塊が殻を破るよう、ヒビが入り始める。全身が煌めく。
そして生まれたのが、古竜と呼ばれる最強の竜種、エキドナである。
シノンは今生まれたばかりのエキドナを見るが全く驚く様子がない。これが当然かのように。これも感情がない影響なのか……
「あなたはだれ?」
シノンはそう問いかける。
その問いに名も無き頃のエキドナは、
「わからない……」
これがシノンとエキドナの最初の会話。
シノンはここで1つの疑問が生まれる、何故生まれたのがではなく、何故喋れるのか……
これもシノンの重大な発見のひとつに繋がるのだ……
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