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山の牢獄

 ランガ山道から離れ、山脈の森をかき分けた奥に洞窟を改造して作られた牢獄があった。

 細かい位置はわからない。連行される途中、頭に布袋を被せられたからだ。

 布袋を外された時には、もう牢獄の入口だった。


「本当にごめんなさい……私が捕まってしまったばかりに」


 アルメダはとても申し訳なさそうな表情で呟いた。

 私とアルメダは同じ牢屋に閉じ込められていた。鉄格子の柵が取りつけられ、外に出ることはできない。


 この牢獄には、他にもヤーク家の貿易商人と思われる人間たちが数人、捕まっていた。

 馬車を襲われた時に、それでも荷物を守ろうとでもしたのだろう。


 結果、私たちと同じように犯罪集団に捕まり、ここに連れてこられたようだ。


 また、馬車から盗んだ保存食や金品が無造作に牢獄の奥に積まれていた。


 私たちの牢屋の前に立つ見張りは二人。他の牢屋には誰も警備が立っていないことから、だいぶ厳重な扱いを受けているようだ。


「……ここから、どうにか脱出しないと」


 私は小声でアルメダにささやく。

 だが、相手は技術を持ったプロの集団のようだ。


 ――私たちの牢屋の地面は薄く赤い光を放っていた。


 このスキルは知っている。

『スキル発動禁止』。その効果エリア内では一切のスキルの発動が行えなくなる妨害系スキルだ。


 効果エリアがかなり狭いスキルなので、戦闘目的では使えないが、牢屋などの閉鎖的な空間では最大限に効力を発揮する。


 ちなみにこのスキルでは、道具にあらかじめ付与された効果を打ち消すことまではできない。

 アクティブスキルは新たに発動できず、パッシブスキルも効果を失ったが、赤フードだけは幻惑効果を保っていた。


「こ、これからどうしたらいいのかしら……。私、怖くて……」


 アルメダが小さく震えているのがわかった。

 いつも強気なお嬢様とはいえ、こんな状況では冷静ではいられないだろう。


 だから、私は彼女のことを落ち着かせるため、優しく抱きしめた。

 柔らかいアルメダの身体。いい匂いがしてくる。


「きゃっ! 赤フードさん……」


 最初はびくりとしたアルメダだったが、私が背中をポンポンと叩いてあげると、目を閉じて身体を預けてくる。


 ……私は友達同士のハグ的な意味でやったのだが、これ、もしかしてアルメダの中ではラブストーリーになっていないだろうか。


 まぁどうあれ、アルメダが少しでも安心してくれたのならいい。


「大丈夫。何も問題ない。アルメダはちゃんと家に帰れるよ」


 私はそう告げる。


「……でも、どうするのですか?」


 そう訊ねてくるアルメダに、私は答えた。


「ーー私はね、何の策も講じず、相手に捕まったりはしないのよ」

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