前口上
「随従と」(心地よいテノール)
「忠勇の」(響くバリトン)
「「わくわく料理解説」」
(わー! どんどんぱふぱふ☆)
「さあ、突然始まりましたが……。何故、其の武略神の如しと称される貴方の様な方がこんな仕事受けているんですか(呆れた様に)」
「聞くな。……主こそ如何した。軍略比類なし権謀に長けると名高い男が茶番に興じるか(揶揄う様に笑う)」
「放って置いて下さい(笑顔)。主命とあれば己が思いなど紙屑同然、塵芥に等しいのですよ(うすら寒い程の綺麗な笑顔)」
「(僅かに引いた様に)……吾が云うもなんだが……甘やかし過ぎではないか」
「……放って置いて下さい」
(お互いじっとりと睨みあい、視線を外して溜息を一つ)
「……さて。此の場の趣旨は一つ。本編に出てきた料理なる物の実態の解説だ」
「あの主人公では決して作った物が何であるのかなど追求しませんから。こう云う場でもないと、なんで森の竜女が恐れられるのか解りませんからね」
「加えて云えば、此の土地に生きる存在として常識であれば、態々思考する事も口述する事もない」
「其の様な理由から、解説して見ようかと云う次第に為った様ですね」
「然様。補足と云おうか、番外編と云おうか……。まあ、主命故の催し故、心を尽して当たらせて貰う」
「それは私とて然り。やんごと無き主の御言葉を戴きましたからには、粉骨砕身して当たらせて戴きましょう(ちょっと狂気じみた冷笑)」
「解説と云う趣旨故、些かならず内容がくどいが……まあ、許せ」
「本編では欠片しか出ていない此方と彼方の差を少し詳細にも致しますので……くどくても大丈夫と云う剛の者をお待ちしています」