番外編、猿族の街
ミサトちゃんとタマキちゃんが見つからないので、少しがっかりです。リムさんにも会いたかったのですが、訓練校の中に入れば、霊感の強い生徒に感づかれるかもしれません。
「次はどこに行きます?」
「そうね、双子達は後回しにして、猿族の街へ! 猿王さんに会いに・・・」
念じた途端、私達、あっという間にルグシャ外れの猿族の街へ。
「え・・・?」
以前見た荒れ地、今は豊かな牧草地に変わっています。小さな馬、数十頭はいるでしょうか? のんびりと草を食んでいました。
そして、猿族の街と言えば、以前は、粗末な造りの家ばかりでした。でも今、立派な石の土台に木を沢山組み合わせた立派な家がどんどん造られています。
私は、記憶を頼りに猿王さんの家を探します。でもそこには、以前見たあばら家でなく立派な家。
「どうなっているのかしら?」
「じゃあ、聞いてみるよ!」
そう言うが早いか、赤龍するりと抜け出し赤い騎士姿に・・・。
「ちょっと、赤龍、アナタ幽体離脱しなかったの?どうしてそんな事できるの?」
「ん? よくわかんないけど、龍はこの世の理を越えているって、前に兄貴が」
「あなた達、何でもありでいいわね!」
「姐さんだって、他の人に比べたら何でもありだけど・・・」
あ、ごめん・・・。そうね、今はそんな事言っている場合じゃなかったわ。
「猿の大将、いるかい?」
赤い騎士が叫ぶ横、私はこの世のものでない姿でゆらゆら揺れています。
「どなたかな?」
大柄で背中が銀色の方、出てきます。私が知っている猿王さんではありません。
「昨年指名され、私が猿王を継いだのですよ」
(猿王さん、ちゃんと後の人達のこと考えて旅に出たのね・・・)
「その後、先代は、ザムの北方から小型の荷駄馬を仕入れ、街の開発資金を皆に託してくれました・・・」
(良かった、グラニスからちゃんと戻ってきたのね!)
当時、荒れ地だった場所は、牧草が生い茂るように変わったとか。今後の糧に出来る様、繁殖を先代から任されたそうです
「今、街道で荷車運搬が試験的に開始されています。先代が仕入れた荷駄馬、早速稼ぎ頭になりそうです」
「今、先代の大将はどこに?」
銀の背中の猿王さん、赤い騎士を街外れの見晴らしいのいい丘に誘います。そこにあるのは小さな墓石。
「え・・・?」
“手の長い猿王、ここに眠る” そう刻まれた碑。
「いや、ここだけの話、人から尋ねられたらこういう事にしてくれと。でもアナタは、どう見ても人じゃありませんから・・・」
と事情を打ち明け、行き先を教えてくれた新猿王さん。
「やだなあ、やっぱり分かっちゃった?」
赤い騎士、まんざらでもなさそうです・・・。




