お婆様2
港で、お婆様にあっさり正体を見抜かれた私達です・・・。
お婆様の言葉に、御供達が前に出て戦いの姿勢を見せます。すると、猿王さん、
「ラシル殿、儂は、西の蛮族神に一矢報いる事が出来れば本望!」
とすっかり応戦の構えです。
「はあ~!」
私は、大きくため息をつきます。すると、自分でも驚くほど大きな声が出ました。
「もう、いい加減にしなさい! 戦いに来たわけじゃないのよ!」
その瞬間、私の背中から何か巨大なものが立ち上がります? え? 龍・・・? 違う! 恐らく、洞窟で見た巨大戦士。見上げなくても、その巨大な感覚が自分のものとして感じられます。
「みんな、動くんじゃないよ!」
お婆様、私の遥か頭上、巨大戦士を見上げ警告を発します。
「猿に龍、おまけに魔神。ということは、地主神と女神もお前さんの味方だね」
ユミルを早めに諦めてよかったよ、とお婆様が呟きます。その言葉の間にも、巨大戦士は黒い影をゆらゆらと動かしています。若旦那さんとその護衛、驚いて口だけをぱくぱくと動かします。
「ラシルさんや、儂はアンタと事を起こす気はない。ただ、ザムにいる間は、儂等と一緒にいておくれ。その方が、無益な争いをせずに済む。その代わり、アンタを客として歓迎しようじゃないか・・・」
「ザムで最初に祀りがあった神殿、そして鳥族の聖地へ行けますか?」
「儂等が案内しよう・・・」
その言葉を聞き、わかりました、と答えます。すると、巨大戦士はするすると私の体へと戻ります。
混乱が収まらない若旦那さん、
「あの、えっと、ラシルさん、貴方は・・・?」
「いい加減、シャキッとしな! さっき見ただろ、この娘は単身ザムに乗り込んで喧嘩が売れるのさ」
儂の睨みも通用せなんだ、とお婆様は若旦那さんに呟きます。
「そ、そんな~」
情けない声を上げ、私の服装を恨めしそうに見る若旦那さん、
(わ、私、別に騙してないわよね? 若旦那さん、勝手に誤解しただけよね・・・?)
さて、そんな問答をしているうち、港湾の桟橋に到着します。若旦那さん、気を取り直し港の人と会話していると、突然怒り出します。
「話が違うじゃないか!」
「すみません、こちらも急な話でして・・・」
何でも、偉い人が急ぎで船を使うため、若旦那さんが手配済みの船を先に使ってしまったとのこと。そして、代わりに用意されたのが・・・。
「フホ! これはまた!」
なんと、お婆様も驚くぐらいの老朽船。おまけに、風が吹き始め水平線に灰色の雲が広がります。天気も怪しくなってきました・・・。




