弱まる星
こちら、舞台は変わってユミル王国アサラ宮殿の大臣殿。そこへ突然、神殿の長達から面会依頼がありました・・・。
「珍しいですな、今日は何事ですか?」
「今日は、宰相殿とユミル建国祭の話で宮殿に参ったのだが・・・」
そこで、口を濁す神殿の長達・・・。
「宰相殿は、変わりなかったか?」
儂も、最近宰相殿には会えておらん、と大臣殿切り出します。白いローブ姿の三人、暫くためらった後、真ん中の禿頭の男が切り出します。
「神殿では、建国当初から、星の動きと世の大きな出来事を記録しておる。長期間それらを記録し続けると、近々こんな事がおきるのではないか? と先例から予測できる事があるのだ。もちろん因果関係は不明だが・・・」
禿頭の男、そこで一旦水を口にします。
「実は今年、今まで輝きを放っていた星の光が弱まるかもしれないのだ。過去の例では、同時に、重要人物の急な隠棲が記録されておる。儂等は、それを宰相殿に注進に行ったのだが・・・」
「それで・・・?」
「今日、宰相殿を見て思ったのだ。宰相殿自身が、その光が弱まる星でないかと?」
「何? そんな事・・・」
暇人の戯言だと思って貰えば結構。そういって神殿の長達は、大臣殿の部屋を後にします。
半時後、大臣殿、宰相殿の部屋を訪れます。もちろん、双六の盤木を持って。
「宰相殿、最近忙しすぎるのではないか? いや、少し息抜きが必要だと思って、ほら!」
大臣殿、賽を振る真似をして、双六の盤木にコマを並べると宰相殿を誘います。そして、先行は宰相殿からで良いから、と賽振らせます・・・。
すると、両方の賽、共に六が出ました。
「なんだ、相変わらず運の強い方だ、いきなり六のゾロ目ではないか!」
そう言われても宰相殿、ぼんやりと盤木を見ているだけです。
「どうしたのだ、コマを動かされよ!」
「コマをどう動かして良いかわからぬ・・・」
大臣殿、不思議そうな顔で宰相殿を見ます。
「何を言っている、何度も勝負をしたではないか?」
「・・・」
宰相殿、うつろな目で盤木のコマを見つめたままです・・・。
「どうしたのだ? え? 貴殿、様子が、まさか・・・?」
大臣殿、慌てて薬師殿を呼び、そして、宰相殿の御付き頭を咎めます、
「どうして、知らせなかった? 様子がおかしいと思わなかったのか?」
御付き頭、泣きそうな声で謝ります。
「申し訳ありません・・・。誰にも知らせるな、と厳命を受けておりました」
「そうか、済まない。気づいておったのだな・・・」
大臣殿そう言って、診断を受けている宰相殿を心配そうに見つめるのでした・・・。




