取引
さて、こちらアルマー村からやってきた聖仙様一行、王都で大事な用事を済ませた翌日です。
「もしや、聖仙様ではございませんか?」
スーリアさん達に王都見物をさせていた時、街で声を掛けられます。
「はて、お主誰じゃ・・・?」
「お忘れですか? 一昨年の事ですが、王都巡礼のアルマー村詣で、奇跡を目の当たりにさせていただきました。私、グディシュと申します・・・」
いや奇遇ですなあ、王都には商用ですか? 気さくに話しかけてきた壮年の男、
「いや、ちと用事があったのだが、ちょうど昨日終わったところじゃ」
「もしよろしければ、今晩、一緒に食事をいかがですか?」
皆様ご一緒に、と誘うグディシュさん、聖仙様一行と食事の約束を取り付けます。
午後遅く、グディシュさんの御宅を訪問した聖仙様一行、歓待を受けしばしの団欒です。
「ところで、グディシュさん、仕事は何をされておるのじゃ?」
「当時、私は街道の警備をしておりました。今は、宮殿の警備担当でして・・・」
「そうか、ちょうど良い。最近、王都で怪しい人物の話を聞いておらんか?」
「それは、龍巫女様、と呼ばれる方のことですか?」
グディシュさん、茶目っ気のある顔で聖仙様に笑い掛けます。
「グディシュさん、あんた、まさか・・・」
聖仙様、探るような目つきで相手を見ます。
「いえいえ、御心配には及びません。我々も上からの命令なので、型通りの調べはします。あのお方、確かに予測不能な行動をされます。しかし、我々が手を下すほどの危険人物とは思えません」
と言っても、方針の変更は時間もかかります。ほとぼりが冷めるまで、ユミルを出ていただくのが一番です、とグディシュさんは続けます。
その言葉を聞き、まずは安堵する聖仙様。
「それより、宮殿にちょっかいを掛ける輩がおりまして。実は、ご協力いただきたい事は、そちらの方なのです」
「もしや、昨日、あの酒場を・・・」
「はい、部下に見張らせておりました。そこで相談なのですが・・・」
グディシュさん、聖仙様に何やら耳打ちをします。
「まあ、そちらに任せる方が筋は通る」
「はい、そう言って頂けるとありがたいです!」
グディシュさん、聖仙様から了解を得、満面の笑みです。
「お主ら、呪の扱いは心得ておるのじゃな?」
「いいえ、そちらもご教授いただけると助かります」
厚かましい奴じゃ、と呟く聖仙様。
おかげで、グディシュさんに呪の扱いを教えることになりました。




