発見
アルマー村に、猿王さんと私の反逆罪容疑の回状が出されて、1月後、美しい女性をたくさん連れた老人が王都にやってきます。まず、腹ごしらえをしようと食事処で過ごし、いざ会計になった時・・・。
「ありがとうござました!」
会計係のお姉さん、愛想よく老人一行を送り出します。
「お姉さん、儂は金貨を1枚払って、お釣りをまだ受け取ってないのじゃが」
「え・・・? あ、大変失礼いたしました!」
会計係のお姉さん、慌ててお釣りを用意します。
そして、聞き込みの途中で立ち寄った茶店で、再び会計時に同じようなことがありました。
「どうやら、この辺りのようじゃ。軽い呪がはびこっておる」
聖仙様の言葉に、つり銭間違えが偶然続いたのでは? と異を唱えるスーリアさん。
「いや、この呪は症状が軽く見分けがつき難いのじゃ。水晶玉に透かして見ると・・・」
水晶玉を取り出し、言われた通りにするスーリアさん。
「まあ・・・!」
なんと、会計係のお姉さん、背中に黒い染みのようなものを抱えています。
「つり銭間違いなら、相手がすぐ気づいて訂正する。そうして、本人が何度か気づけば自然と治っていく。しかし、言い出した本人が反論できぬほど偉い人物で、誰もそれを正そうとしなかったら」
聖仙様、そびえ立つアサラ宮殿を見上げながら呟き言います。
(まずは元凶を絶たねば・・・)
その夜、聖仙様の元へ一人の女性が報告にやって来ます、
「若い美人占い師がいる酒場があるそうです」
「うむ、では、手筈通りに・・・」
聖仙様、女性達と共にその占い師がいる酒場へ出かけます。
「いらっしゃいませ、あ・・・」
「久しぶりじゃ」
若い女性、聖仙様が入ってきた途端に叫びます、
「逃げて!」
部屋の奥で、ガタン、と何かが閉まる音。酒場の女性、短剣を取り出し威嚇しながらじりじりと前に進みます。そして、聖仙様へ椅子を蹴飛ばし、扉へ・・・。
「はい、そこまで!」
突然扉が開いて、スーリアさんの他、数人が若い女性にロープを一斉に放ちます。
「くっ!」
ロープに腕を絡めとられたカイルさん、素早く短剣を持ち変えロープを切り、抵抗の構えを見せます。しかし、その直後四方から再びロープが放たれます。そこであえなく御用となりました。
部屋の奥から、別の女性が聖仙様に報告します。
「奥は誰もいません、裏口から誰も出てこなかったのですが・・・」
「うむ、逃げられたか。まあ、仕方がない。儂等が手伝うのはここまでじゃ」
数年前、アルマー村で若い男と駆け落ちした、前の龍巫女。名は、カイルさん。流れ着いた王都で、よからぬ者と組んで悪の片棒を担いでいたようです。
その後、暫くして現れた、占い担当官殿。今日は休みか? と呟きながら、灯の消えた酒場、寂しく後にするのでした・・・。




