ザムへ
神殿道場に無事たどり着いた私達、出迎えてくれた巫女は、洞窟ではなく隣の小さな建物に案内してくれます。そこは、10人程が入れる、神殿巫女達の休憩所のようです。
「長旅、お疲れ様でした。こちらで暫お寛ぎください・・・」
そう言って、私達にお茶を出してくれます。早速、これからの行程確認です。
「目的地は、ザムの都ラーヴィです。ここからどれくらいかかるのかしら・・?」
「鳥族の者が、ここから巡礼にでた記録がございます。4日かかったようです」
それって、空を飛んで4日よね・・・?
「はい、ただ風待ちもあるらしく、常に飛び続けていたわけではないようです」
「鳥族の種類にもよるが、徒歩だとその10倍近くかかりますぞ」
「じゃあ、30~40日ぐらいかしら?」
食料は、現地調達になるわね・・・。
「姐さん、龍になって運ぼうか?」
「・・・」
赤龍、歩いて旅するのは性に合わないようです。
「赤龍、貴方龍になってザムの兵士と戦ったのを忘れたの? 見つかったら大騒ぎになるわ・・・」
「ザムだから、焼き払って逃げれば・・・」
「るご・・・」
「すいません、すいません、やだなあ、冗談です・・・」
「赤龍、もう指輪に戻りなさい。次は、最後まで唱えるわよ、罰の呪文・・・」
「・・・」
・・・・・・
後は、持って来た荷物を仕分けして準備完了です。私は座主様とルドラさんから仕入れた軟膏と顔につやが出る洗い粉を背負います。
ユミル神殿に属する行商人として、本当にザムで商売をしながら都ラーヴィを目指すのです。ルドラさん曰く、その方が怪しまれずに済む、とのこと・・・。
ちなみに、商品の仕入れ代は、訓練校のお給料から引くそうです。これは、是が非でも売らないといけません・・・。
後は、アイラさん直伝の命の種を宿す樹の葉を使った言伝をルドラさんに届ければ出発です。
「ルドラさん、ラシルです。これから神殿を出てザムに向かいます。あ、そうだ、貴族子弟校に行けなくなってごめんなさい・・・」
私は、魔方陣に樹の葉を置き、言伝をルドラさんに届けてもらえるよう地主神にお願いします・・・。
「じゃあ、行ってきます!」
私は、商品が入った背負い袋、猿王は大きな背負子を担ぎあげます。そして、神殿の国境門を再びくぐるとザムに入ります。
北西の風がピューピューと吹きすさぶ中、私達は、巫女に見送られ都ラーヴィへの一歩を踏み出しました・・・。




