【番外編】
【☆★おしらせ★☆】
あとがきに、
とても大切なお知らせが書いてあります。
最後まで読んでくださると嬉しいです。
アクトの広く頼もしい背中が、ギルドの喧騒の奥へと消えていく。
残されたミナは、その場にぽつんと一人立ち尽くしていた。
視線の先には、アクトの娘であり、新しくギルドマスターに就任したばかりのヘンリエッタがいる。
豪奢なドレスを纏ってはいるものの、その姿はどう見ても庇護されるべき幼い子供だ。
「よし、ギルマスの初仕事じゃ!」
ヘンリエッタがえっへんと胸を張り、意気揚々と歩き出そうとした瞬間だった。
自身の長いドレスの裾を見事に踏んづけてしまい、床に向かって盛大に転がった。
「あいたっ」
そのあまりにも頼りない姿に、ミナはガックリと項垂れて膝から崩れ落ちそうになる。
本当にこの幼い少女についていって大丈夫なのだろうかと、不安で胸がいっぱいになった。
だが、むくりと起き上がったヘンリエッタの様子が急変する。
「むむっ」
彼女の瞳の奥で、神秘的な光が強く瞬いた。
ミナと同じ特異な力、神眼が発動したのだ。ヘンリエッタは目を輝かせ、即座にギルドのロビーにいる冒険者たちへ声を張り上げる。
「皆の者、急ぎ外壁の防衛に向かうのじゃ! 魔物の群れが襲ってくるぞ!」
その唐突な指示に、歴戦の冒険者たちは一切の躊躇なく武器を手に取り、迅速に行動を開始した。
ミナはポカンと口を開け、信じられないものを見るような目で周囲を見回す。
ミナの研ぎ澄まされた感覚でも、外から魔物の気配など微塵も感じ取れない。
不思議そうに首を傾げるミナに対し、ヘンリエッタは短い腕を組んで得意げな仕草を見せた。
「気配がないのは当然じゃ。わらわは今、少し先の未来を読み取ったのじゃからな」
その言葉の真偽は、それから一時間後に見事に証明されることとなる。
ズシン、ズシンという重い地響きと共に、外壁の向こう側に無数の魔物たちが姿を現したのだ。
獣特有の生臭い風が吹き荒れ、鼓膜を劈くような恐ろしい咆哮が周囲の空気を震わせる。
「ほんとだ」
ミナは足の震えを必死に堪えながら、眼下に広がる恐ろしい光景を凝視した。
しかし、魔物たちが壁に到達する前に、すでに配置についていた冒険者たちによる魔法と矢の雨が容赦なく降り注ぐ。
焦げた肉の匂いと土煙が舞い上がり、押し寄せた魔物たちはあっという間に殲滅されていった。
被害を未然に防ぐ、完璧な迎撃戦術だ。
ミナは、隣で満足そうに頷く幼いギルドマスターを尊敬の眼差しで見つめる。
未来を自発的に、かつ正確に読み取る圧倒的な神眼の力。
(この人のもとなら、私もっ!)
ミナはギュッと拳を握りしめ、瞳の奥に強い光を宿した。
アクトが言っていたことは本当だったのだ。ヘンリエッタの指導があれば、自分も必ずこの持て余している神眼を自在に扱えるようになるはずだ。
ミナの胸の奥で、新たな居場所での確かな希望の炎が熱く燃え上がっていた。
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