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序章
長く続いた戦争。
誰もが戦いに倦み、飽きながら、それでも疲れた足を戦地へ向けた日々。
そんな中、私は家族と共に、大勢の戦士たちの治療に専念した。
貧しく、苦しくとも、かがやいていた幼い日々。
抱えていたのは、ささやかな願い事。
家族、そして親しい者たちと笑い合って過ごすこと。
贅沢を言えば、もう少し、世間が平和であればいい。
中でも忘れられないのは、戦士たちが残した最後の言葉。
必ず、命の恩を返しに来る。
確かにあった、誇り。
―――――戦場に出て、戻ってきた者はほとんどいなかったけれど。