またもや離れ離れです
屋敷に戻ると、レオンお兄様がいました。何故か騎士の隊服です。お兄様は、ウィルと共に第一王子の護衛を務めていたりします。普段の飄々とした雰囲気からは、護衛なんて務まるのか想像出来ず、家族としては心配です。
「よっ!」
ウィルがすっごい嫌な顔をしています。私の実兄ですよ? お兄様が隊服を着用していること、そしてわざわざ公爵邸までお迎えに来ていることから、急ぎのお仕事だと気づいたようです。
「任務か?」
「ご名答。急ぎ隣国との和平条約を結ぶことになった」
「王子が行くのだろう。護衛とともに」
「転移でちゃちゃっと行きたいんだと。悪いけど連れて行って☆」
わぁ! お兄様が小悪魔に見えました!
ウィルはため息をつくと、私に向き直りました。ぎゅっと抱きしめてくれます。
「なるべく早く戻る。婚約発表の準備は任せてしまうことになるが……」
私が結婚式より前に公爵邸に住まわせていただいているのは、婚約発表パーティーをするからでした。しかし、色々多忙なウィルを見ている内、パーティーなんてしていいのか、心配になってきました。
「……あの、でも、良いのでしょうか?」
「何がだ?」
「婚約発表のパーティです。王子もウィルもお忙しいのに、準備していいのですか?」
「大丈夫だ。今回は隣国との調印だけだ。危険もない」
「……はい」
また離れ離れになるのは不安でしたが、今回は長くても三日位だろうとのこと。またもや別居生活がスタートしてしまいました。
お義父様とお義母様と相談し、一ヵ月後に婚約発表パーティを開くことになりました。
正直に言いますと、ウィルの相手は私で良いのか、まだ少し迷っています。あの日、丘の上でのプロポーズを受けてしまってよかったのか、考え込むこともあります。私にとっては嬉しくて仕方ないことですが、ウィルは責任を取ってくれようとしているだけなのでは、と不安にかられる夜もあります。
だけど、ウィル不在のまま、着々と準備は進んでいきました。
「さぁ準備しましょうね!」
「はいお義母様」
幸いなことに、お義父様もお義母様もこの結婚に賛成のようです。張り切って招待状を送り、今はドレスの最終調整をしています。胸の傷をまだ確認してもらっていないけれど、あの日のプロポーズが、私の心を支えていました。
***
庭師としての私は、かなり頑張っています。
ジェームズお爺様とはかなり気軽にお話できるようになりました。今は、パーティで飾る装飾花や私が持つブーケ、お土産に小さな花束も考えています。
「この花はどうじゃろう?」
「まぁ素敵! これならこのお庭にたくさん咲いていますし、良いですね!」
「魔法でうまいことブーケにできるかの?」
「もちろんです!」
私の魔法が役立つ瞬間があることも、自信の一つになりました。
執事長のロバートとは来賓の方のご案内順や会場のレイアウト、警備のことなども打ち合わせしています。お義父様もチェックしてくださるそうで、三人で討論しています。
「こちらのテーブルセッティングで……」
「ではお客様おひとりおひとりに……」
「警備の配置は、ここだけだとまずい。こちらにも──」
連日の準備、打ち合わせで大忙し。そのおかげで余計な事を考えなくて済むのはありがたいです。
だけど、離れ離れの日数が増えるたび、ウィルに会いたい気持ちと寂しさが募っていきました。
毎日更新が滞ってしまいすみません!
本日からまた頑張ります!




