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記憶ー小学五年生ー

長かった地獄の四年生は終わり、五年生としての生活が始まった。


…明るい性格は戻りつつあり、長野への自然教室などの学校行事を楽しんだ。


そんなときだった。

母からこんな事を伝えられたのは。


“ママね、再婚するの。”


私に新しい父親が出来ると言うのだ。


だが、私達の本当の父親が気にかかった。


今頃、何しているのだろう?


定期的に食事に行ったりさせてもらっていたが、実際の所、それ以外の接点はなかった。



それともう一点。

新しい父親とはどんな人なのか?


上手くやっていけるのか?


そこが気になって仕方なかった。


だが、心配は良い意味で裏切られた。


新しい父親はとても優しい人だったのだ。


その人も離婚を経験したらしく、同じような境遇を持っており、私達の母に一目惚れしたらしい。


…のろけ話はさておき、

籍を入れたので私達の苗字が変わった。


なんとも珍しい名前だ。


前々から名前は聞いていたが、思っていた漢字とは違った。


早速、次の日から皆に説明をする。


新しい父親が出来た事、苗字が変わった事、新しい生活…


新しい父親が出来たことで、経済面で安定した私達は、引っ越しをした。


新しい家は、祖母の家とさほど遠くなく、前よりも学校が近くなり、便利だった。


私達の部屋も少し広くなり、念願の二段ベッドまで買ってもらい、私達は上機嫌。


おまけに、新しい父親は色んな所へ遊びに連れてってくれる為、いつの間にか死を考えた事など忘れていた。


ただ、一つ困ったのは、私の父親は野菜の卸売り業者…というか市場に勤めてして、野菜をしょっちゅう段ボール箱に詰めて持ち帰って来た事。


私は野菜が大の苦手だったのだ。


しかも、段ボール箱には同じ野菜がずらりと入っていて毎日同じ野菜が食卓に並ぶ事にならざるを得なかった。


こうして聞いていると、家族で団らんしている様子が浮かぶかも知れない。


だが、実際の所…私も歳が歳で新しい父親に少し抵抗があった。


そのせいか、自分の部屋で遊ぶ事が多く、余り父親とコミュニケーションは取らなかった。



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