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54話 三日月双葉の末路

今回の話、閲覧中ではないのですが今までで一番、双葉の態度が醜すぎます。

大きな不快感を伴う恐れがあるので、フィクションだと割り切ってお読みください。


 「いい加減に気づけよ双葉。もう俺の中にはお前の〝居場所〟はないんだよ」


 それまで星良を口汚く罵っていた双葉が閉口する。

 静寂が訪れた刹那、俺は拒絶の言葉を叩きこんでやった。


 「俺とお前の幸せな人生だと? そんなものは永劫に訪れない。俺がこの先に一緒に歩む相手は、ここに居る北條星良だけだ」


 「どうしてよ。どうして幼稚園から一緒だった私を捨てられるの?」


 俺の放った拒絶が大きかったのか、ショックのあまり双葉は涙を零していた。

 きっと昔の俺ならこの涙に情を揺さぶられ、なんだかんだ言って彼女を許していたのだろう。だが本当に大切な人を護るためなら、10年以上一緒だった幼馴染でも情けはかけられない。


 何よりもここで俺が完全に拒絶を示さなければ、双葉は永久に俺という幻想に囚われ続ける。


 「俺がお前を受け入れられなくなったのはお前の自業自得だよ。嘘告だけだったらまだ時間を掛ければ修正できた可能性もあったのかもな。でもな、大勢の人間に偽りの情報を与え、挙句にイジメを誘導してしまった以上、双葉という人間を信用できなくなって当然なんだよ」


 「信用できないって何よ? 小さな頃からずっと一緒だった私が信用できないなんて酷いよ」


 「そうか、それじゃあさ、小さな頃から一緒だった俺を一方的に傷つけるのは酷くないんだな?」


 もっともな指摘を入れてやれば、彼女はまた口を紡ぐ。

 この反応を取る以上、本当はもう双葉自身も気付いているのだ。自分が間違っていている事実を。


 だが意固地になって認めたくないのだ。だから俺はこの場で彼女に自覚させる。

 彼女の俺に行った行動すべて、歪んだ愛情からくる自己満足であり、その結果全てを失う事になった現実を……。


 「結局さ、双葉は俺を好きでもなんでもなかったんだよ。ただ自分のストレスの捌け口として幼馴染の俺が都合よかった。それだけなんだ。君は俺を愛してなんかない」


 「どうして……どうして分からないのよ!?」


 これまでで一番の怒声を上げながら、双葉は俺を睨みつける。

 杉原先生が抑えていなければ、今にも俺に飛び掛かって来そうな勢いだ。


 「あんたみたいな冴えない男は私が近くに居ないと輝けないって気付きなさいよ。カースト底辺のあんたは私に従っていれば良かったのよ! 私の冷たい態度は全部全部全部あんたの為であり、あんたは私に感謝して付き合う義務があるのよ! 結婚して私を幸せにする義務があるのよ! それがなに、こんな大事にして、学校側に相談して、クラスでも孤立させて、あんたは申し訳ないと思わないわけ? ずっと一緒に居てあげた幼馴染に悪いと本当に思わないの? 思いなさいよ、思えよ! 思ってるなら北條なんかと別れて私を隣に置きなさいよ! あんたの隣は私以外にあり得ない、あり得ちゃいけないのよ! あんたの人生は私ありきで成立するものなのよ。地味で底辺なあんたは私と言う星に照らされなきゃ生きていけないほどちんけだと自覚しなさいよ! 私の愛情を蔑ろにしてそんな女を愛するなんて許さない許さない許さない。そんな泥棒猫なんかよりも私の方が誠也を知っている。誠也を想っている。誠也を愛している。そう、私の行動も言動も全部が愛なのよ。愛愛愛あいあいあいあい、丸ごと全部が愛情だったのよ。分かるでしょ? 分かってくれないとダメでしょ? 分かったのなら私を許しなさいよ。私を愛しなさいよ。私の前に跪いて、私の心を傷つけた事を謝りなさいよぉぉぉぉぉぉ!!! それが人間としての常識なんだからさぁ! 分かったら返事して土下座して私にキスして全部水に流しなさいよぉぉぉぉ!!!」


 もう……言葉も出なかった。双葉はもう、取り返しがつかないほどのモンスターに変貌していた。支離滅裂で何を言っているのか半分も理解が及ばない。

 だがこれだけ訳の分からない事を言っていながらも、彼女は未だに〝あの言葉〟を口にしない。


 「なぁ双葉、まるで俺が常識のない人間みたく長々言ってくれたが、それは完全にお前に返る言葉だよ」


 「どこが!? 私のどこか常識のないって言うの!?」


 だってさ、ここに至るまでお前はまだ、一度たりとも俺に『ごめん』の一言すら言えてないじゃんか。


 上っ面だけの反省の弁すら未だに述べてない。

 そんな人間の言葉など、熱もなければ共感もできない。


 「最後の最後まで、双葉ちゃんは謝れなかったね」


 「うるさいのよこの泥棒猫がぁ!!」


 「うるさいのはお前だよ双葉」


 俺はきっちりと線引きをするため、見せつけるように星良と手を繋ぐ。

 その行為は言葉にせずとも、もうお前の入り込む余地はないと彼女の心に響かせる。


 「う、あああああああぁあぁぁぁぁあぁぁああああ!!??」


 結局これ以降、まともな話し合いはできなかった。

 これ以上の話し合いは不可能と判断し、杉原先生は双葉を連れてこの日は解散となった。


 こうして最後の最後まで、俺のもう1人の幼馴染は自らの罪を認めず、その末路が破滅に続く道を選んでしまったのだった。



 

これにて双葉との対決もひとしきり終了です。

ようやくここから先は主人公とヒロインのイチャイチャが書ける~。

それに残りの3大アイドルの方も……。

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愛してると口ではいくらでも言うが、分子結合も切り離せそうな薄っぺらい愛。 まあ薄いのは他愛であり自己愛は頂点が見えないほど高々とそびえている。 エンピツより細いがな。
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