第201話 トゥーニス その1
Side トゥーニス
教会の勢力を国から追いやった中心人物・トゥーニス。
彼は国王の庶子だが、実は長男。それを隠蔽してはいたが事実が変わるわけではない。
色々問題ある立場なのだが、国の跡取りは次男が……次男は国王の正室が産んだ子供。
今から10年程前、トゥーニス自身が後を継ぐのを拒絶し、正式に王位継承を放棄した。
それによってある意味泥沼の争いにならずに済み、王都へ向かえば次男である王太子は頼れる兄がいるので頼っているという、外から見れば平和な国なのだが……
この国には大いなる問題があった。教会との対立である。
教会の役割は主に職業選定と転職。
この2つだけなのだが、これはこの世界にとって最も重要な事柄の一つであり、これを教会は長年担ってきた。
粛々と行ってくれていれば問題ないが、何かと問題があるのが教会という組織。
志高く任を受け持つ司祭も勿論いるのだが、王都とその周囲の司祭はそうではない。
各都市の教会には必ず司祭以上の教会の組織の人物が任に就くことになっている。
これは司祭以上のジョブが選定と転職を行えるからだ。
そして司祭の中には、欲のある人物が少なからずいる。
因みにこの国では司祭と司教は同じ役職とされており、区別なく使われている。
これは教会の組織が元々2つだった名残であり、今なお統一されていない。
そして司祭というのは上を目指したくなるもので、大司祭・大司教になりたがる。
しかし大司教は引退しないと空きができず、病魔に侵され任務を全うできなくなるか、年を取りすぎ任務に身体が耐えられなくなるか、自ら引退するか死亡するかしないと滅多に空きができない。
何せ不祥事を起こした所でもみ消されるから、余程の事がない限り役職をはく奪されることはない。
腐った組織が自浄できない典型というべきか。
そしていずれかの司祭が大司祭になり、司祭のジョブを持っている別の教会の人間が空いた司祭職に就く。
このような組織であるので腐敗ぶりも激しく、国王は常に教会の勢力との間に発生する問題に頭を抱えていた。
特に【遊び人狩り】である。
当初何故遊び人が襲われるか分からず、対応のしようがなかった。
国王も宰相も元遊び人。
それぞれ今の立場になった時、国政を担う上で有利なジョブ【剣聖】【賢者】に常になることでそのカリスマ性を発揮。
その折、遊び人狩り対策の一環として遊び人の認識を変えようとしたのだが、それは裏目になり、余計遊び人の立場が悪くなるという愚策に……これは教会が国の遊び人対策を逆手に取ったとの情報もあり、本来なら良策だったものを、逆手に取られたという、国の人材不足が露呈した瞬間でもあった。
しかし3年前、転換の時がやってくる。
とある10歳の少年が選定を受け、遊び人を選定する。
いや、ここまではよくある事。年に数十人はいる。
だが、この少年は違った。
何を思ったのか、滅多に選択をしないセカンドジョブを選択してしまったのだ。
この時、戦士なり魔法使いにでもなれば問題なく教会は受け入れたのだろう。だがこの少年、セカンドジョブも遊び人を選定するという、前代未聞の出来事が発生した。
サードジョブまで選定できるが、同じジョブを選定した者が今まで存在しておらず、同じジョブを選定できないというのが今までの常識だった。
だがそれを覆した少年が現れた。
そしてサードジョブまで選択をし、それも遊び人という、3つのジョブ全てが遊び人という少年が現れた。
これが遊び人でなければここまで大騒ぎにはならなかっただろう。
だが遊び人であった事から教会が騒ぎ出す。
この少年こそが、後にトゥーニスの運命を大きく変えることになる人物だった。
その時のトゥーニスには、もちろんそんな事は知る由もなかったのだが。




