第199話 これ以上は禁則事項に抵触するようです
魔物とダンジョンの関係はある程度分かりました。
ダンジョンの成り立ちについても、少しずつですが知ることができたと思います。
しかし、これは聞いても恐らく禁則事項に触れるので無駄だろうとは思うのですが……そもそもダンジョンは誰が作った、あるいは用意したのでしょうか?
デルタさんはダンジョンの管理監視員らしいですし、管理しているということは誰かに命じられて管理していると考えるのが妥当ではないか、俺はそう思います。
では、デルタさんをその役目に就かせたのは何者なのでしょう。
「デルタさん、そもそもダンジョンを、例えばこのダンジョンをここに設置あるいは作ったのは誰なのでしょうか?そしてデルタさんは管理人ということですが、管理人を任命したのは誰ですか?」
敢えて、そういう存在がいるという前提で質問します。
「お判りと思いますが、今の質問はほぼ全て禁則事項に抵触いたします。お察し下さい。そして私はダンジョンの管理人ですが、私個人としての任命は命令ではありません。前任者からの引継ぎで今現在私が受け持っているにすぎません。ではその前任者、さらにその前任者……辿れば最初の管理人に行き着きますが、では誰が、というのは禁則事項に抵触いたします。因みに最初の管理人はデルタ1です。私はデルタ197。そして正確には管理人ではなく、ダンジョン管理監視員でございます。」
デルタ197……ということは197代目ということ?
随分長い歴史があるんですね。そしてそれだけ長い間このダンジョンが存在している、ということか。
管理人と管理監視員との違いがいまいち分かりません。
管理だけでなく、監視もしているということ?
何から?
「その、管理は分かりますが、監視とは?」
「……ダンジョンのシステムを管理し、監視しております。またそれに付随いたしますが、この地に存在する魔素の監視を行っております。それが私の主な務め。」
「そもそもダンジョンは魔素をエネルギーに変換するんでしたね。そして魔素を放置すると大変なことになるから、とかなんとか。」
「その通りでございます。そしてこれは以前に報酬としてお渡ししていたダンジョンを行き来できる機能でございますが、もしかして説明を忘れていた可能性がありますので今お伝えいたします。現在この星には数百のダンジョンが存在しております。そのダンジョンのうち機能しているダンジョンに限りますが、ダンジョンからダンジョンへの移動が可能でございます。恐らく特定の地点へ移動できるとお伝えしたと思いますが、その機能の一部です。これはあらかじめ登録してありますから、移動は可能です。但し、他のダンジョンにこのシステムで移動する時は必ず私経由でお願いいたします。自力で他のダンジョンへ赴いた場合は問題ありませんが、いきなりこのシステムで行き来してしまうと、向かった先にあるダンジョンの管理者が混乱いたします。」
「分かりました。しかし結構すさまじい情報だと思うのですが、禁則事項に抵触しないんですね。」
「これはダンジョンの修復を行って下さったデルク様への報酬の一環でございます。これはそう決められていますので禁則事項には抵触いたしません。」
報酬だから話せる、か。なるほど、禁則事項にも例外があるんですね。
「なあデルク、今更とんでもないことを言っていた気がするんだが。これを活用すれば、相当離れた場所への行き来があっという間になるんじゃないか?」
レイナウトがそう指摘します。確かに……言われてみればそうですね。
「このダンジョンと似たタイプであれば5層ごとに魔法陣が存在いたします。他のダンジョンへ向かい、その魔法陣で地上に出れば星の反対側でも瞬時に移動できることになりますね。そしてその場所を登録しておけば、いつでも移動可能です。戻る場合もその登録地点のうちの1つを指定するか、このダンジョンであればいつでも移動可能ですから。」
何気に、とんでもないアイテムです。
ただこれは俺達4人だけが活用できるんですよね。
あ、察したのかデルタさんが続けて答えてくれます。
「一時的であれば複数の人を運ぶことも可能でございます。但し戦争目的、もしくはそれに準じる行為は禁止いたします。これを悪用すれば他国への侵略が容易になりますので、ご注意を。一応警告を発しますので、その時点で移動を取りやめて頂ければ問題ありませんが、無視をするようであれば無視をした人物にそれ相応のリスクがあります。」
「場合によっては知らない間に利用されてしまう可能性がありますよね。」
「ええ、それ故の警告です。どのように監視をするのかは秘密ですが、これはデルク様達を信用しての事ですから、ご注意を。尤も今のデルク様達を力で従えさせるのは相当厳しいと思う次第でございます。それと一応先に伝えますけれど、今現在教会とこのダンジョンの存在している国が対立していますが、教会の教皇、その人物を討つために人を送り込む場合でもこの移動は認められませんのでご注意を。認められるのは直接登録している4名だけですので。」
気を付けよう。
それにしても、デルタさんが教会と国の対立を把握しているというのもちょっと驚きでした。
ダンジョンの管理監視員として、ダンジョン外の情勢も把握しているということなのでしょうか。
まだまだ知らないことがたくさんありそうですが……今日のところはこのくらいにしておきます。




