第195話 魔素の変換装置ってどういう事?
「つまり魔素を魔力に変換する、ということですか?」
俺がまず思いついたのはレイナウトと同じ、魔素を魔力に、です。
なんとなく自然な発想な気がするんですが。
「残念ながらそれは違います。」
「違うんですか?」
今まで黙っていたロースが思わず声を上げたようで、
「あ、ごめんなさい、どうぞ続けて?」
「では何に変換するのだ?」
つられてかセシルまで質問を。
「残念ですがこれ以上は禁則事項に抵触します。」
まあ知っても仕方ないのだけど、でもそこまで言われたら知りたいよね?
禁則事項、禁則事項……この言葉を何度聞いたことか。デルタさんの中に、俺達に話してはいけない何かが相当な量あるということなんでしょうね。
「デルタさん、少し違う質問をしてもいいですか?」
「おいデルク、ここまで聞いておいて違う質問か?」
「まあ任せてよ。」
そう言ったものの、何を任せてなのか自分で言っておいてなんですが疑問です。まあ気にしても仕方ないか。
直接的に聞いても禁則事項に引っかかるなら、少し角度を変えて聞いてみましょう。
「ではダンジョンで活動する魔物はどうやって現れるのですか?」
「う……禁則事項に抵触いたします……」
また禁則事項。
でもこうして禁則事項に引っかかること自体が、何かを示している気もします。魔物の出現がダンジョンの仕組みと深く関係している、ということなのかもしれません。
「先程ダンジョンは変換装置と言いましたが、変換した魔素の活用方法はどうなのでしょうか?」
「魔素を変換したエネルギーは貯蔵庫へ送り込まれ、新たな魔物の生成とアイテムの生成に活用され……うぅ……禁則事項が発動……キャアア!!!!」
あ、そんなつもりじゃなかったんです。
何がきっかけなのか……俺の質問が禁則事項に触れ、デルタさんが一部喋ってしまったところで、禁則事項に抵触したと判断する前に禁則事項に触れてしまった、ということなのでしょうか。よく分かりませんが、とにかくデルタさんがバツを受けてしまったようです。
それよりも回復させないと。
デルタさんは既に全身から出血しています。このままでは死んでしまう!
「デルク、回復させる?」
「お願い。」
俺がジョブを3つとも僧侶にすれば、レベルはセシルの神聖騎士を上回りますが、回復魔法の種類は圧倒的にセシルの方が豊富です。
ここは任せましょう。
セシルがデルタさんを回復させていきます。
みるみる怪我が治り、出血していた部分は血が止まっていきます。
セシルの表情は真剣で、集中している時の彼女はとても頼もしいです。
暫くすると、完全に回復。
禁則事項が発動という、なんとも意味不明な展開がデルタさんを襲いましたが、もう止まっているようです。
「申し訳ございません。ついうっかり禁則事項を喋ってしまいました。」
多分ついうっかりではないと思います。
意図せず触れてしまった、という方が正確でしょうか。
一つ一つの単語は問題がないのに、組み合わせることで禁則事項になってしまう……なかなか厳しい制約ですね。デルタさん自身も、どこまで話せるか完全には把握しきれていないのかもしれません。
「デルタさん、すいません。こんな事になるとは思っていなくて。」
いくら聞きたいことがあっても、デルタさんを傷つけてまで聞き出したいわけじゃないです。今後はもう少し慎重に質問しないといけないな、と反省しました。




