第191話 精霊鞄の完成
「そんな付与の仕方をするのか。これでは誰も作れないぞ。」
レイナウトが指摘をしてきますが……そうなのかな?
現実問題、俺にはできているんですけど。
今の俺がやっている作り方だと、途中で精霊に直接働きかけることができないので、一応確認しておきます。
【精霊さん、これって俺が精霊に働きかけないと駄目?】
【なになに?うんうん問題ないわよ?どうせ宿るのは私達よりも下位の精霊だから。】
フォスさんの言葉では問題ないらしい。よかった。
「ロース、もうすぐ出来るんだけど、今までの工程で作ると俺だけでは精霊に宿ってもらうことが出来ないんだ。頼めるかい?」
「ええ、いいわよ。だけどどうすれば?」
【私が指示を出すからその通りにしてくれたらできる。】
【あらそうなの?じゃあお願いね。】
どうやらロースは闇の精霊とコンタクトを取っているようです。ロースは相変わらず頼りになります。
暫くして、俺の工程はほぼ終わりました。
最後に完了させるのですが、その時に精霊がいないとたぶん宿ってもらえないと思うんです。
そもそも精霊が今まで作った収納かばんに宿ることが出来るのであれば、とっくにそうしていたはず。
わざわざ言ってこないということは、付与されたカバンには宿ることが出来ない、あるいは難しい。
たぶんそういう事なんです。
そして……
【光と闇、2属性で下位の精霊を使役して!】
【呼び出さないの?】
【近くに居る。】
【デルクの効果ね。どうなの……確かにいるわね。じゃあこの子達を使役すればいいのね?さあおいで?】
何だか点滅しています。
光と闇の精霊がお互い干渉し合っている結果のようです。
小さな光の粒が2色、ぼんやりと揺れている……そんな感じでしょうか。
暫くしてその点滅はカバンに吸い込まれていきました。
ここで俺は付与を完了させます。
出来ました。
俺は精霊かばんだと思っていたのですが、どうやら出来上がったのは精霊鞄らしいです。
うーん、どう違うのでしょう?
普通のカバンはカバン。収納かばんはかばん。そして精霊鞄は鞄。
読み方は同じですし、意味も同じ。だけど何か違いがあるのかな。
まあ名前は後で考えましょう。
出来上がった精霊鞄を手に取り、さて精霊はどうやって活動するのかな?そう思っていたら、フォスさんが教えてくれました。
【闇の精霊がカバンに常駐し、光の精霊は何かあれば然るべき所に働きかけるのよ。】
然るべき所って何処へ? 結局、俺の所に知らせに来るようです。
まあそれはいいとして、もしカバンと俺の距離がかなり離れていたらどうするのだろう。
【だからこそ光の精霊よ?星の裏側に居てもあっという間に連絡が付くわ。】
【星の裏側って?】
【え?知らないの?】
【何のこと?】
【星って夜空に輝くあの星だよね?】
【まあそんな感じ?】
よくわかりません。
フォスさんの言う星の裏側がどのくらいの距離なのか想像もできませんが……まあ遠くても届くということなら十分です。
「二人ともお疲れさん。デルク、完成なんだよな。ギルマス呼んでこようか?呼ぶというか壁に張り付いているようだが?」
レイナウトが涼しい顔で言いながら、音もなくドアノブに手をかけ、一気に開けました。
「あ?」
なだれ込んでくる数人の女性。
「受付が皆興味を持ってな。」
マウト女史が言い訳をしています。
ギルドマスターが扉の前で聞き耳を立てているとは。
「仕事しましょうよ?」
一体何をしているのだか。




