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チート級の魔力量で最強目指します。  作者: シャルシャレード
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第十一話 決意と出会い


 ーーー受験会場に着いたカイリは作戦を実行しようとしていた。

 カイリはこれまでに様々な策を練っていたが尽く失敗した。そして、ここ3回ほど同じ作戦をして失敗している。


 これが成功すればもしかしたら。


 魔法が使えないカイリにとってはおそらくそれが最大にして最高のアピールだ。


 カイリは学校の庭で入念に剣を振る。

『落ち着かない…。剣を振ってないとソワソワしてくる。』

 カイリには不安は大いにある。

 もし、失敗だったとしたらもう学校は諦める。

 ただそれだけだ。何も人生終わるわけじゃない。

 カイリはこの3ヶ月間で成長したと感じていた。


 『126.127.128.129の方集まってください。』


 カイリは自分の番号が呼ばれたため、素振りを切り上げ、係員に付いていく。

 流石に緊張の色がその表情に大きく現れていた。

 


 今回の科目も的当てと実戦。

 筆記や仮想戦闘、魔力コントロールを見る魔力回路操作など色々とある。


 しかし、やはりこの二つが多い。


 10校以上を受けたカイリが心の中でそう呟く。


 まずは的当てから行う。例によってカイリは的を真っ二つに割る。


 そして、問題はここから。


 他の3人は、木魔法、岩魔法、火魔法を操り、火魔法のみが割ることこそできなかったが、傷を付け、的に命中させた。


 火魔法来い!

カイリはこの時点で火魔法との対戦を望んだ。


 そして、運命のくじ引き。

 まずはカイリが引き、1番を引き当てる。

 そして、次が火魔法の少年。2が来ればカイリとの対戦が決まる。

 

 2、2、2、2来い!

 心の中で強く祈るカイリ。


 2番


 よし!カイリは心の中で大きくガッツポーズをする。


 実戦の方ではカイリは火魔法との対戦が決まった。

 

 

 カイリと少年が3m離れる。


 そしてカイリはあるものを狙う作戦をもう一度頭で反芻する。


 カイリの狙っている作戦は魔法切りである。


 魔法切りとは放たれた魔法を文字通り刀や斧などで切るものである。


 本来これは魔法対策のある剣や斧で行うものなのであるが今回は魔法対策がされていない、かつ木刀で行う。


 火魔法と木は相性が悪いため、剣を入れる角度やタイミングが合わないと切れない。そのため達人などでないと不可能に近い。失敗すると魔法が暴発することもあるため、カイリほどの歳ではそもそもやろうとも思わない。

 


 しかし、今回のカイリにはこの作戦において必要であった条件が揃った。


その理由は主に3つある。

 まず一つ目は相手の魔法が正確なこと。魔法を正確なルートで打つことができる相手であれば軌道を予測しやすいためである。加えて今日は無風なためほぼ完璧に真っ直ぐ来やすい。


 二つ目が相手の魔法の威力が弱すぎず強くないこと。相手の魔法が強ければ強いほど魔法切りはやりづらく、弱いほど切りやすい。しかし、弱すぎると今度は、試験官の印象が良くないが今回は、的に僅かだが傷を付けられるほどの威力なため、アピールをしやすいため。


 三つ目は相手の詠唱が遅いため準備ができること。

わずかだがファイヤーボールの詠唱が遅い。そのため、構えるのに余裕ができる。魔法陣の向かなどで軌道の予測も可能。



 俺は魔法切りはただの一度も成功したことはない。しかし、これだけの条件が揃っていることはないだろう。カイリは開き直り構える。


 『これでダメなら諦めもつく。』

 カイリは呟く。


 上から45°くらいの角度を意識して…。

 カイリは右手に短剣を持ち、グッと右足を下げ半身の態勢を取る。


『始め!』


 その合図と同時にカイリに対した少年は真っ直ぐ前を向き右手を出しながらファイヤーボールの呪文を唱える。


 やっぱり少し遅い。

 カイリの目論見通り僅かに遅い詠唱。


 ファイヤーボールのルを言った瞬間、右手から

赤い火の玉が放たれる。


 ___真っ直ぐ俺の顔に来る!


 その刹那にカイリはその場から動かずに短刀を振り上げる。


 チャンスは一回、45°を意識して、下ろす。

 力を意識する必要はない。


 角度と右手の速さだけだ。


 振り下ろした剣がファイヤーボールに当たり、

 バチバチと火花をあげる。

 

 そしてスーッと火の玉が割れて消えた。


 『出来た!魔法切り成功だ。』

 

 まさか少年が!この会場にいるカイリ以外の人間は理解が追いつかず動くことすら出来ない。


 

 動けなくなった対戦相手をカイリはそのまま抑えつけた。


 勝負アリ!


 カイリの抑えつけから、数秒ほど遅れて決着の合図が出された。


 カイリの一世一代の魔法切りは成功に終わった。




 ーーー『すまない、不合格だ、』

 眼鏡をかけ身なりをしっかり整えた中年がこちらを見てもうわけなさそうに答える。

 

 初等学校は合格者を貼り出し発表するのだが、試験を終えたカイリはいつも別室に呼び出され同じことを告げられる。そこで魔法が使えないと言われて、無理やりカイリが納得する。それがいつもの流れであった。

 しかし、今回は納得がいかなかった。


 なんでなんで。

 カイリの頭にぐるぐると想いが駆け巡る。


 『俺は魔法切りが出来たんですよ?落ちた理由はなんなんですか?』

 カイリが声をやや荒らげて言う。

 この歳の子供が魔法切りを成功させる。それは魔法の有り無しに関係なく、本当に凄いことなのだ。それも、たまたまではなく、明らかに故意にやったのである。しかし、それでも受からなかったのだ。

 カイリが声を荒らげてしまうのも無理は無い。


 『魔法が使えないからだそうだ。直接見た試験官の評価は言わずもがなで合格をさせるつもりだった。

でも、校長がそれを許さなかった。』

 試験官は相変わらず申し訳なさそうにする。


 この試験官は先ほどカイリの魔法切りを直接見た人だ。カイリの魔法切りを見て素直に認めて合格を言い渡す予定であった。しかし、校長がそれを拒んだ。


 『そんななんで…。』

 カイリは、怒り以上に疑問が浮かび上がる。

 俺を落とす理由はなに。それが聞きたかったカイリであったが、理由を聞いたカイリに試験官は口籠る。


 『校長に直接聞かせてください!このままでは納得が…。』

 だったら校長に直談判をしてやる。俺にだって背負ってるものがある。ここで引き下がるわけには。


 『校長は魔法切りをした少年が魔法を使えないと知った瞬間に顔色を変えて "魔法が使えないものが魔法使いを上回ってはいけない。魔法使いを上回ろうとする勘違いをする奴をこの王国に置いておくことは出来ない" と。』

 この世界では絶対神の加護を受けた魔法を使えないものはこのような扱いを受ける。特殊魔法を持っていたとしてもおそらく同じことを言われるだろう。


 『そんな。』

 なんで魔法使いを上回ることをしちゃダメなんだ。母上のために強くなっちゃダメなんだ。

 カイリは吐気をも覚える嫌悪感を感じた。


 『校長はそう言いましたが、私たちはもちろん反発しました。でも、その意見は一切通りませんでした。

私の力不足で本当に申し訳ない。』

 試験官は頭を下げた、カイリにはおそらく自分の力の無さを痛感している苦悶の表情に見えると感じた。

 

 『あなたは何も悪くありません、魔法が使えない俺が悪いんです。』

 俺に力が無いせいだ。この人は何も悪く無い。



 『昔気質の私はあなたのような剣士を尊敬します。魔法を使うだけで体の方を疎かにしているものが多いですから。剣や体を磨きいつか私たちを見下せるように頑張って下さい。あなたにならそれができると信じています。』

 試験官はカイリを真っ直ぐ見る。


 この言葉にカイリは少なからず救われた。


 

 部屋を出て、細い廊下を曲がっていくと白髪に髭を蓄えた老人がこちらを待ち構えるように佇んでいた。

カイリはこの老人が校長だと直感する。


 『カイリ・アマノくん、君は魔法が使えないらしいね。』

 その老人から発せられる、その言葉はとても重々しく感じた。


 『そうですが何か。』

 カイリは、あえて声色や感情を出さずに老人と対峙する。


 『魔法が使えない君は何も成し遂げることは出来ないし、成し遂げてはならないと忠告に来ました。』

 老人は蓄えた髭を触る。


 こいつが校長か。怒りがふつふつと湧いてくる。

 『あなたのおかげで今日、決心がつきました。』

 しかし、カイリは先程と同様に無表情を装う。


 『なんのだい?』

 校長は軽蔑の感情を含んだかのような顔でこちらを覗く。


 『あなたが切り捨てた者が、魔王倒してこの世界をひっくり返しますよ?』

 カイリから出たこの言葉は虚勢では無い。


 『スライム以下の無魔法が生意気なことを言って。まあ、期待せず待っておきましょうか。』

 校長は一瞬感情を昂らせたが、それを隠すように一転して感情を抑える。

 

 『ええ、待っていて下さい。あなたの短い寿命が尽きる前に必ず成し遂げますから。』

 カイリは校長の方を真っ直ぐ見る。


 『このガキが舐めおって…。』

 校長は明らかに怒りの感情が湧いていた。


 『では、また。』

 カイリはその言葉を無視をする。


 負けられない。大きな決意を持って学校を出た。




 ーーーカイリが校庭で大きくため息を吐く。


 校長の言っていたことは、半分当たっている。

 父や兄弟のように魔法が使えない。

 実際に魔法なしで何かを成し遂げると言ったことは聞いたことがない。ましては世界をひっくり返す。そんな大それたことが出来るだろうか。


いや、俺なら出来る。それに、あんな啖呵を切ったのだ。もう後戻りはしない。


カイリは、そう考えた。



 すると、少年が近づいてきた。

 『お前もここを受けるのか?』

 普段はしてないであろうあまり合わない精一杯の身なりをしている少年である。


 カイリは正直に、

 『魔法が使えないから落ちたよ。』

 カイリは毎度毎度この手の質問に律儀に答えている。母や兄の教育の影響である。


 すると嘲笑しながら

 『魔法が使えない奴がこの世界にいるんだな。しかもそんな奴が初等学校に来るのは、馬鹿だな。』

知ってる知ってる。カイリはいつものように受け流す。


 『俺は岩魔法と木魔法を使えるよ。お前才能ないんだな。』

 面と向かって言われる。

 無魔法を認め、決意を固めているカイリだが、流石にこれには、怒りの感情が湧き上がってくる。


 そして、背伸びをして生きようとはしているがまだ6歳。怒りの気持ちを抑えられなかった。


 『うるせー!お前に言われなくてもそんなことは知っている!』


 怒りに身を任せ思いっきり怒鳴ったあと、その場を去った。


 カイリは、人並をかき分けて、勢いよく街を飛び出す。途中で、兵士に呼び止められたが、それも張り切って街に出た。


 街から出たカイリは、怒りに身を任せて森にいる魔物を狩まくった。

 カイリはこの程度で怒りを感じる自分に不甲斐なさを感じた。母や兄コウキ、サリーやシイラに対する申し訳なさも湧いてくる。


 くそくそ、魔法が無くても魔物は狩れるんだぞ!

少年が魔物をドンドン狩り進んでいく。

 短剣を振り回して、切り刻んでいく。

 ドリルラビットやコボルト、最近まで倒すことに苦しんでいた、モンスターに対して、カイリは苦戦することなく狩れるようになった。


 しかし、怒りで冷静さを欠いたカイリは入ってはいけない森の奥に踏み入ってしまった。

 

 『しまった、森の奥まで来てしまった。』

 カイリはここでようやく冷静さを取り戻した。

 ここはCランクの森、もしCランクのモンスターが現れたらひとたまりもない。


 早く抜けないと、そう思った瞬間、


 ドシンドシン


 聞いたことのないほど大きい、地鳴りのような足音が聞こえてきた。


 振り返ると目の前に大きなトロールが立ちはだかり、すでに手にある棍棒を振り上げていた。


 恐れていたCランクのトロールだ。しかも大きい。


 逃げろと言う指令に足が追いつかず、動かない。


 やばい、死ぬ。

 カイリは本能的にそう感じた。

 死を感じたカイリは何もできずに目を閉じるしかなかった。


 今までの記憶が走馬灯のようにぐるぐると頭の中を駆け巡る。俺は終わるのか。せめて、なにかを成し遂げたかった。


 カイリは死を覚悟する。



 トロールが上げた棍棒を振り下ろしたその刹那、


 ザンッ


 その音とともにトロールは真っ二つになった。


 目を開くとおそらく同じ年であろう少女が立っていた。



『大丈夫?君?』



この出会いが少年の運命を大きく変えることとなる。



 

 



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