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チート級の魔力量で最強目指します。  作者: シャルシャレード
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第十話 カイリと家族


 この世界の魔物は地域によって大体の強さが決まっており、主にG〜Sにランク付けされている。アスガマ郡の近郊であれば最高がC、マンドレイクやガーゴイルがここに当たる。普通の兵士が複数人いれば問題なく対処できる。

 そして、イレギュラーモンスターとはその想定ランク以上のモンスターが出てしまうことである。

これはそこまで数は多くなくはない上にほとんどの場合は一つ上のランクのみにとどまる。


 しかし、5年前のアスガマのイレギュラーモンスター。これは十二獣のうちの一体が出てきてしまったのだ。想定しうる限り最悪のパターンであるSSランク。


ヘルアース


姿は3メートルほどで、宙に浮いている化身のようなモンスターなのだが普段は姿を地中に隠している。

大地の化身とも呼ばれ、地形を丸ごと変え、村を丸ごと飲み込むこともある災厄のモンスター。

このモンスターが初めて発見されたのは700年以上前、しかし、その間にヘルアースに傷を付けられたことさえない。

それほどに強力なモンスターである。


 『あの日ね、私、嫌な予感がするってパパを止めたのでも、それでも行ってしまった。』


 慰めることすらもできなかった。カイリは返す言葉が見つからなかった。


 『カイリはさ、魔法が使えないのになんでそんなに強くなろうとするの?』

 シイラさんに問われた。先ほどまであった明るい雰囲気など微塵も感じられないほどまでにピリピリしているとカイリは感じた。

 


 なんでか。そんなこと考えたこともなかった。

でも、多分これが答えだと思う。

 『母のためかな。』


 『お母さんの?』


 『そうです。母上は死ぬまでいつも俺に〈カイリは強いから大丈夫〉って言ってくれたんですよ。

でも、今の俺だと母が言ってることが嘘になってしまう。それが俺が強くなろうとしている理由です。』


 『もし、強くなれなかったら?』

シエラは疑問を投げかけた。


 『限界までやってダメだったら母上に思いっきり文句を言って、今度は母上のように優しくなろうと思います。』

 カイリは心の底からこの言葉を発した。

'本心'それ以外の何ものでもなかった。


 『強いのね。カイリは。』

 シイラはまるで母のような姉のような優しい目でカイリを見つめた。


 『強くないですよ、俺は。』

 カイリの表情は微笑みとも悲しみとも取れる表情をしていた。

 

 『よし、決めた!もう振り返らないし、後悔もしない!そんでパパに文句言ってやる!』


 そういうと、大きく息を吸いすっかり暗くなったアスガマの街の方を見て叫んだ。


 『パパのばかやろー!恩返しをする前に勝手に先に死にやがってー!でも、今までありがとうー!

私頑張るからー!!!』

 シイラさんの魂の叫び、これはおそらくシエラのお父上にも届くだろう。カイリはそう思った。


 『よし、帰ろうか。スッキリしたらお腹空いてきちゃった。』

シイラさんはいつもの調子で呟く。

やっぱりこれがシイラさんだとカイリは安心する。

 



 日がすっかり暮れて、家に帰るとサリーさんが俺たちを正座で座らせ、腕組みをながら思いっきり説教をした。


 『これに懲りたらもっと早く帰ってくること。わかった?』


 『はい』『はーい』


 『よしじゃあ、今日は送別会をするから手を洗って来なさい。』


 『待ってましたー!楽しみだなー!』

シイラのテンションはさっきの説教をすでに忘れたかのように元気になっていた。


 

 手を洗い、席に着くと豪勢な料理が並んでいた。


 海鮮がたっぷり乗った大きなピザ。シーザーサラダにクリームシチュー。そして、チーズなどの具を挟んだパイ焼き。

 そして何より、宝石のように赤い見た目で味が抜群に美味しい宝石鳥の丸焼き。


 『美味しそうー。よだれが出ちゃいそう!』

 ジュルリと言いながら口元を拭うシイラさん。 


 『ジュルリじゃないでしょ。カイリくんを少しは見習いなさい。』

 

 なぜか手本にされたが正直俺もよだれが出そうだ。

カイリも同じく興奮していた。


 『では、食べましょう。いただきます。』


 『いただきます!』



 最初はピザを一口。このピザは海鮮に加えてハーブも沢山入っている。合わないかと思った組み合わせだが、意外に良さを引き出しあっていて美味しい。』


 『口に出てるよカイリ。』

 ケタケタ笑いながら指摘するシイラ。


 口に出てたのと焦るカイリ。


 それを見て、微笑むサリー。


 楽しい食卓の時間が流れて行った。ーーー



 『ふー!』

 大きく息をつくカイリ。

 風呂にも入りあとは寝るだけというカイリにとって1番幸せな瞬間だ。


 『明日は最後の受験か。』

 もし、明日ダメだったら…。

 いや、考えないようにしよう。カイリはそう言い聞かせる。あとは自分ができることを。


 そう言いながら眠りにつく。


 

ーーー朝だ。


 小鳥のさえずりでいつも通りに起きる。

 昼に起きれば間に合うのだが、この時間に起きることはもはや習慣づいてしまっているためそれには抗えない。

 この部屋にも大分慣れたな。

ここは元々、シイラさんの父上の書斎だったらしい。

魔法理論や経済系の本が並ぶ本棚とベット、そして机があるのみの質素な部屋だ。


 朝の習慣はこれといってない。

カイリは、今日の着替えと準備を済ませる。

『お金はここで良いかな?』

カイリはここ3ヶ月、冒険者らと協力しながら任務やモンスターの素材で貯めた3枚の銀貨と6枚の銅貨を机に置く。



この国通貨は銭貨、銅貨、銀貨、金貨がある。

銭貨が100枚で銅貨が100枚で銀貨、銀貨が100枚で金貨といった価値になる。


 一食5銭ほど、一泊で12.3銭ほどのため払い過ぎかもしれないが、カイリにとってはこれでも払い足りないレベル。


いつか必ず恩返しに来よう。

カイリにとってはこれも大きな一つの目標になった。


顔を洗うこともせず、とりあえず台所へ向かう。

俺以外はいつも通りの日常のため、サリーさんが朝の準備をしていた。


 『おはようございます。』


 『おはよう、今日は頑張りなよ。』

 温かみのある声で迎えられるのでいつも朝に安心をしている。

 

 『おはよう、カイリ。』

 いつも、寝坊をしてくるシイラだが、今日は早い。


 『おはよう、シイラさん。早いですね?』


 『いつまで、寝坊すると思ってるの?今日からの私はいつもとは違うのよ。』

 えっへんとシイラは腰を両手に当て言う。

苦笑いをしながらカイリはそれに手を上げ応えた。


 

 『カイリくん、もう出るの?』

 

 『はい、店開けの前に行こうかと。』

 

 『もう、行っちゃうの?』

 シイラは寂しそうにする。


 『はい、シイラさん、サリーさん、今まで本当にお世話になりました。いつかまた会ったときに必ず恩返しします。』

 カイリは深々と頭を下げる。


 『寂しくなるねー。シイラもね。』


 『全然寂しくないよ。でも、カイリが寂しくなったらいつでも家族に迎え入れるから!』


 シイラは涙声になっていた。

それを見てカイリも寂しさが募る。


 『ありがとうございました!』


 大きく手を振りながらカイリは受験会場に向かう。



 





 

 



 

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