第七話 お金の力
しばらくの沈黙のあと、魔王が口を開いた。
「たぶんここは『いらない』って言って突っ返す場面だと思うのだが、実はそのコインは喉から手が出るほど欲しいのだよ」
「えっまじか」
「というわけで、コインを渡してくれ。バリアを解こう」
「いよっしゃあああああ!HWOOOOO!」
魔王がバリアを解いた。俺は魔王に近づき、金貨を渡す。
そしてそのまま握手して抱き合った。
「ありがとう、友よ」
こらえきれず、目から涙があふれだす。魔王も涙目になっていた。
勇者と魔王が和解する、ありきたりな、それでも人々の心に響く感動物語。
「とでも思っていたのかぁ!」
俺が合図を出すと、いつの間にか魔王の背後をとったねこ子が、魔王を剣でぶっ刺した。
「ぐはあああ!おのれぇ、騙したな!」
「騙してないし、最初から和解なんてしてないよ!ばーかばーか」
「本当だ、和解なんてしてなかったな」
魔王がその場に崩れ落ちた。
「いえーーい!魔王を倒したぜ!ビビっとビクトリー!」
「倒したのは、ねこ子さんですよ」
「そうにゃ。手柄を横取りするなにゃ」
『待て、何かがくる』
突然、さっきから何もしゃべってなかったドラゴンが叫んだ。
次の瞬間、魔王のまわりに、バリアを張ったときとは比べ物にならない量の魔力が集まる。
「そんな、banana……!」
「嘘…」
「しっかり、トドメは刺したはずにゃ!」
「ねこ子といったか?確かにトドメは刺された。しかし、さっき勇者がコインを渡してくれたおかげでコインが100枚たまり1UPして、復活できるようになったのだよ。クククク…」
「そ、それじゃ、お前がコインを欲しがっていたのは、1UPするためだったのか…!」
魔王が笑う。
俺はただ、お金の力ってすごいなーってことしか考えることしかできなかった。




