いつもと変わらない登校
少しずつ夏に近づき、太陽の登ら時刻が少しずつ早まっている。
そんな時期の朝。
いつも通り、俺を起こしに来る妹。
そして、それに反抗する俺。
俺の寝起きは悪い。
「にいさま! 起きてー!」
「……もうちょっとだけぇぇ!」
「ダメです! 今日は学校です! おサボリは許しません!」
「…………あぁぁぁ! やだぁぁ! もうちょっとだけぇぇ!」
バサっ!
妹の希が俺の布団を取り去る。
だいぶ大気は暖かくなっているのだが、長い時間をかけて自分の体温で温めていた布団には流石の太陽も暖かさという観点において負けてしまう。
俺は寒そうに体を小さく丸める。
そして、しばらくして俺の頭の中に血が巡りだし、寝起きの悪い俺はいなくなった。
「希、おはよう!」
「やっと、起きてくれましたね! 起こす方は大変なんですよ!」
「ごめんな……いつもいつも……」
「いいんです! これも私の使命ですから!」
俺の妹の希は学校がある時はこうやって無理矢理でも俺を起こしてくれる。
できた妹を持ったものだ。
母さんと似て、めちゃくちゃ可愛いんだが……
俺は今日高校に行く。
今日の日付は……と。6月17日(水)だな。
図書室で氷堂先輩と敦子として話してから1週間ってどこだな……
俺はモデルの仕事や俳優業で大抵は予定が埋まってしまっていて、学校に行く日がめっきり少ない。
だが、問題なく学校へ行って進級できるのは毎回のテストの点がいいからだろう……
なんと言っても俺の点数はいつも満点。
すごいだろ?
まぁ、俺の場合は学習内容は前の人生で、全て履修済み、そしてテストの問題は全て解いたことのある問題。
これで解けない方がおかしい……
まぁ、他にもトリックはあるんだが……
そんなことは置いといて、
俺は朝起きて、制服へと着替える。
学校に行く準備を済ませ、下の階のリビングに降りる。
「かあさん。おはよう!」
「あっくん。おはよう! やっぱりあっくんの制服姿は何回見ても素敵だわ!」
「かあさん! ありがとう!」
「くぅぅぅーん。なんかいい匂いするね!」
「今日の朝はフレンチトーストを作ったのよ! あっくんも好きだったでしょ?」
「あぁ、かあさんありがと!」
「じゃあ、持ってくるから待っていてね!」
「あぁ!」
俺の母さん、佐藤灯はとても良い女だ。
美貌に巨乳にHにテク。それにご飯が美味しい。
「はい! あっくん!」
「ありがと! かあさん! 頂きます!」
アムッ。
「うぅぅぅん! やっぱり美味しいね! 母さんの料理は! なんか秘密のレシピなんかあるの?」
「それはね! 私のあっくんに対する愛よ!」
「かあさん…………」
母さんと俺は見つめあって、顔と顔が近づいて……なんてことはなく
「もぉぉ! 2人とも! ダメです! 私もいますよ!」
妹の希が俺と母さんの薔薇色の空間にに除草剤を撒く。
薔薇はすぐに枯れてしまって、
俺は母さんが作ってくれた朝ご飯を美味しくいただいた。
その後は歯磨きなどを済ませ、俺が学校に行く際にはいつもあるイベントが起こる。
「にいさま! 今日もあの人が! わたしが行って排除してきます!」
コツン。
「にいさまぁぁ! 痛いですぅぅぅぅ!」
希はみゆきのことをムシ扱いはしなくなったものの、排除するなんて物騒なことを言うもんだから、俺は希にデコピンを放つ。
まぁ、これも希にとってはスキンシップみたいなもんなのかな……
「じゃあ! わたしは行ってきますねー! にいさまも気をつけてください!」
希は家を出て、美幸と顔を合わせると、排除するなんて言葉が嘘みたいに、
「みゆきおねえちゃん! おはようございます!」
元気に美幸に挨拶をして、学校へと向かった。
なんだかんだ、小さい頃から遊んでもらっていたため、本人の前では物騒なことは言い出さない。
やっぱりあれは一種のスキンシップなようだ。
俺は希が出るのを見送った後、自分の荷物を取り、玄関の扉を開けて外へと出る。
そこにはいつも通り美幸がいた。
もうこの事はおれの中では当たり前になってしまっている。
「あっちゃん。おはよう」
「あぁ。おはよう。じゃあ行くか!」
俺と美幸は学校に向かって、二人並んで歩いている。
2人の会話は本当にたわいもないこと……
今日の朝ごはんの話に、今日の夢がなんだった、みたいなこと、それに……
「ねぇ。あっちゃん! 今日は一緒に帰る?」
これも毎朝毎回聞かれる。
でも、今日俺は用事がある。大切な用事。
それは氷堂先輩の攻略。
彼女の親愛度をあげないといけない……
だから、放課後は…………
「なぁ、美幸。俺、放課後に少しばかり用事があるんだ! 朝は一緒に行けるんだが……帰りはひとりで帰ってくれ」
「…………うん。わかったよ」
なんか妙に間があった気がするのだが……
まぁ、わかってくれたみたいだし、これで良いよな。
これで俺は放課後は氷堂先輩の攻略へと集中できる。
これ以降、美幸との会話はなくただ2人並んで歩くだけ。
でも、気まずさはない。いつも一緒にいるのだから。
沈黙を許せる相手が真の友っていうしね!
俺と美幸はよもぎ大学附属高等高等学校の門をくぐり抜けた。
そこにはいつも通り俺のファンが待ち構えていて、青空に黄色い歓声が鳴り響く。
「「「「きゃぁぁぁ!」」」」
俺はファンたちに手を振ってあげる。
そうするとまたも大きな歓声が飛び交う。
と、そこにこっちを睨んでいる1人の少女。
それは、氷堂時雨だ。
水色の髪に水色の瞳。
その瞳はどこか冷たかった。
俺は彼女に完全に嫌われている。
だが、大丈夫……
俺のことは嫌いでも、敦子のことは嫌いにならないでください!
その彼女は俺の方を見ながら、口をパクパク開けて、何か呟いたような……
『となりにいるこがかわいそう』
口唇術でこんな風に言ってる気がしないでもなかった……
隣にいる子、鈴木美幸は先程から言葉を出すこともなく、下を俯いて歩いていた……
そんな彼女の様子に俺は気づきもしなかった……




