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あの子を落とせ〜春先生のトキメキ編④〜

 空は晴れ渡っていて、吹く風が心地よくかんじられる暖かい夏の日。

 わたし温井春ぬくい はるはある思い人を待っています。


 まだきてくれないのかなぁ……


 わたしが来てからもう1時間は経過します……


 ネットにはこう書いてあったんですよ!


 待ち合わせには絶対に遅れてはいけません! 待ち合わせ時間には余裕を持って、行動しましょう! ってね……


 まだかな〜♪ まだかな〜♪


 それから、彼を待ち続けて10分くらい経ちました……


 タン。 タン。 タン。 タン。


 誰かが近づいてくる音が聞こえてきます。


 来たかな? 来たかな…………?




「待った?」


 透き通った声。そう。この声は彼の声。

 ついつい聞き入ってしまう綺麗な声。


「ううん。今来たところだよ」


 本当は結構待ったんだよ……まだかなぁって、もうこないのかなぁって心配にだったんだけどね……


 彼は来てくれた。

 それだけでわたしは嬉しいんだ♪ 

 今日はおもいっきり楽しもう♪


 今、わたしが来ている丸の池公園は隣に大きな川が流れていて、大量の雨が降った際に、防波堤としても機能する、そういった公園だ。


 そうだけあって、かなり面積の大きい公園である。


 この公園の周を歩いて回るだけで1時間くらいはかかってしまう。



 そんな公園の中には綺麗なお花畑や、大きな広場。大きな池に、子供たちが喜びそうなアスレチック。室内スポーツが楽しめる体育館。そして、大きな噴水。外にはテニスコートにサッカーグラウンド、そしてランニングコースにバイクロードまである。

 そして、この公園はすごく緑が生茂っている。

 杉の木に、松の木、桜の木に、広大な芝生。

 この公園は緑地的な場所だ。


 そんな公園に私たちは2人で来ている。


 わたしはとても胸が高鳴っているのだが、この後どうしていいかわからない……



 彼がせっかく来てくれたっていうのに、わたしはぼーっと立ちくしたままだ。


 どうしよう……

 なにすればいいんだろう……


 とすると、彼が私の手を握って、爽やかな笑顔を向けてくれた。


「じゃあ、行こうか! ハル!」


「…………うん♪」


 私の手を握って、わたしを先導するように前を歩いてくれる。


 彼のそんな優しさにわたしは気持ちを落ち着かせた。  



「ねぇ〜ハル〜! 最初はどこにいく?」


「わたし、まずお花畑に言ってみたいな」


 そんな言葉がスラリとでた。

 これも彼の優しさと彼の手の暖かさのおかげだろう。

 

 優しい……それだけでも満足なのに、彼はすごくかっこいい! そんな彼とわたしは手を繋いでいる! それだけでも充分幸せなんだ♪

 


 手を繋いで、2人で歩く道の両端には木がたくさんあって、太陽の光を葉っぱで隠してしまっている。

 少しばかり漏れ出す光に空気中の埃が当たって、光の筋が見えている。

 なんとなく幻想的な風景だなぁと思った。


 そして、そんな木漏れ日が輝く道を進んだ先には、とても鮮やかなお花畑があった。


「うわぁ! すっごく綺麗!」

「あぁ! そうだね!」

 

 彼も鮮やかな色に溢れるお花畑を見て、興奮してくれている様子。


 その様子は彼の瞳の様子からわかる。

 だって、彼の瞳は子どもたちと同じなものだから。

 無邪気な子どもみたく、彼は瞳を輝かせている。

 握られている手が少しだけ窮屈になったけど、それはすごく嬉しい。


 とても暖かい、そんな気持ち。


「じゃあ、もう少し近くに行ってみようか?」

「うん♪ 行こっか!」


 彼はわたしの手を引いてお花畑の近くへと連れて行ってくれた。


 お花畑を彼と手を繋いでまわっていった。


 心を弾ませながら、進んで行った先には、あたり一面が真っ黄色に輝いていた。


 わたしの身長以上のひまわりがずらりと並んでいた。

 ひまわりが風に揺れている。


 私たちをみて笑っているかのようだ。

 

 ひまわりたちも楽しそう。そう思えるのはわたしの気分のせいなのだろうか。


「なんか、このひまわりひろきくんに似てるね!」


「とっても明るくて、優しい! そんな感じが……って」


「…………」



 って、わたし何言っちゃってんのー!? 

 黙っちゃってるよー! どうしよう……


「そう!? ありがとう……そんなこと言ったら、これはハルに似ているね!」


「え!? どこが?」

 

 太陽の光を浴びて元気に育って、綺麗に咲いている一輪のひまわり、彼はそれをわたしに例えた。


「さぁ……どこだろうね!?」


「…………もぅっ!」

 結局、誑かされた…………


 でも、それでも嬉しかった……


 そんな感じで私たちは綺麗なお花畑を回った。


 わたしもそろそろ足が疲れてきたなぁ……


 

「俺ちょっと疲れてきたから、あそこですこし休もうか?」


「うん。そうだね。 休もっか!」

 

 ナイスタイミング! それとも、わたしのこと気遣ってくれたのかな? わたしは後者にとることにした。だって、そう思った方が彼のことをもっと好きになれるからね!


 向かった先は大きな杉の木の下。

 高さ15メートル以上はあるだろうか……


「この木おっきいねぇー」

「そうだなー! 何年くらい生きてんだろうなぁ!」


 大きな杉の木の下で2人並んで座った。


 よし! いまだ!


「お昼、どうする? 良ければわたしが作ってきたやつ食べる?」


 おぉ! 思ったよりもすんなり言えた! 多分変じゃないよね!?


「えっ!? 作ってきてくれたの?」


 彼も驚いてくれてる。よし、いい感じ!


「うん! 作ってきちゃった!」


「あぁ! ハルのお弁当食べたいな!」


「じゃあ、食べよっか!」


 わたしは彼の言葉を聞いて持ってきたお弁当を開けて見せた。


「うぉ! めちゃ美味しそうじゃん!」


 うれしい……こんなに喜んでくれるなら毎日だって作るのにね……


「じゃあ! いっただきまーす! 

 ん〜〜うまい! めっちゃ美味しいよ!」


「え!? 本当!?」


「あー! 本当だ! この卵焼きとかすっごい美味しいよ! 味付けも俺の大好きな味だ!」


「うれしい♪ いっぱい食べていいよ!」 


 彼はわたしのお弁当を食べて、子どものように喜んでくれた。


 あっという間にお弁当がなくなっちゃった。


 わたしはあんまり食べれなかったなぁ……


 でも、彼があんなに美味しそうに食べてくれた。


 それだけでわたしは心が満たされてしまった。もうお腹いっぱい。






 私たちは木陰で少しばかり休んでいた。

  

 そんな彼はと言うと、木の根っこを枕にして昼寝をしていた。


 スー。ヒー。スー。ヒー。


 お腹がいっぱいになったら眠くなるのはわかるけどさ。


 すっごく気持ちよさそうに眠っている。


 眠っている彼の睫毛はかなり長かった。

 彼の寝顔は保育園の子どもみたく、とても幼げに見えた。


 そんな彼の頭をいつも子どもたちにやっているみたく、撫でてしまった。


 彼はうっすらと目を開けた。


 そんな彼の瞳とわたしの瞳があってしまった。わたしは顔を真っ赤にした。

 

 わたしは慌てて、彼の頭から撫でていた手をどかした。

 

「あ! ごめん! 起こしちゃった?」


「いや……ハルも一緒にお昼寝しようよ! 気持ちいいよ!」


「え!? でも……」


「ほら! 気にすんなって」


 彼は腕を伸ばして、そこをトントンと叩いた。

 彼はわたしに優しい目付きで微笑んでいた。


 あ!? これはここにおいでってことだよね?


「…………うん」


 わたしは彼の腕を枕にして寝そべった。

 最初はわたしも胸がドキドキしてたんだけど、気持ちよさそうに眠る彼を見ていたら、


 あぁ。なんだか落ち着くなぁ……

 眠たくなってきちゃった……



 スー。ヒー。スー。ヒー。






「…………ハル。…………ハル」



 あれ!? わたし…………って完全に寝ちゃってる!


「ひろきくん……ごめん!」


「あぁ、いいぞ。こっちこそごめんな……起こしちゃって……ハルがあんなな気持ち良さそうに寝てたのに……」


「…………うん、いいよ」


 久しぶりにスッキリ寝れたなぁ……

 


 私たちは十分休んだ後、私たちは次の場所へと向かっていった。


 次に向かったのは大きな池だ。


 そこには、アヒルのボードがあった。

 私たちはそれに乗ることにした。


 アヒルのボードに乗るの何年振りだろうか……


 そんな彼はと言うと、アヒルのボードを観て目をキラキラと輝かせている。


 彼はとても子どもみたいだ。


 彼の無邪気さ、そして優しさ、暖かさに私はどんどんと魅了されていく。



 彼と一緒にアヒルのボードに乗った。

 わたしはゆっくり足を動かしていたのだが、彼がものすごい勢いで漕ぎ出すものだから、わたしの足も勝手に回っていた。



「ねぇ! 少し早く回しすぎじゃない!」

「そんなことないよ! これくらい回さないとね!」


「ちょっとスピード出しすぎじゃ無い?」

「涼しいねー!」


「いや……そうだけどもさ」


 彼はすごく楽しそう。

 でも、少しだけ怖い……なんか、落ちそう。

 さっきからあまりに早いスピードを出すせいでボードが左右に大きく揺れている。


「ひろきくん? すっごく揺れてるよ! このボート転覆しちゃうよぉぉ!?」


「これくらい大したことないさー!」






「………………」


 転覆はしなかったものの、かなり酔ってしまった。


「ハル、ごめん……あまりにも楽しくって」


「いや……いいよ! 楽しそうな姿が見れて嬉しかったから」



 一つ彼との思い出ができた。それだけで嬉しかった。


 

 だんだんと日が傾いてきた。


「ふぁーあ、楽しかったねぇ♪」


「ハル……ごめん! もうそろそろ帰らなくちゃいけないんだ……」


「え!? もう帰っちゃうの?」



「あぁ……ごめんな……」


 もうそろそろ、彼は帰らないといけないらしい。


 今は4時くらい。この後、何か用事があるのかな……

 わたしは少し気になってしまった。


 これでさよならはなんか寂しい……


 どうしたらいいんだろう、彼の名前しか知らないし……


 よし、ここは彼の連絡先を聞こう。


 


「ねぇ、あなたの連絡先を教えてくれない?」


「……………」


 あれ!? わたしなんか変なこと言ったかな?

 

「ごめん! 連絡はできない! 携帯持ってないから。あっ! でも、ハルの電話番号を教えてくれたらこっちから連絡できるよ。ね?」



 まぁ、たしかにそうだよね……

 でも、これじゃなんかいやだな……


「ねぇ、また来週もわたしと会ってくれない?」


 これはどうだろうか? おねがい!

 どうか……


「あぁ! いいぞ! 来週だな。場所はまたここでいいか?」



「うん! 場所はどこでもいいから!」


「わかった! じゃあな! 連絡するよ」

 

 わたしは自分の電話番号を彼に教え、今日は彼とわかれた。


 

「はぁ、楽しかった! また会えるんだね♪」


 こうして、わたしの初デートが無事に終わった。


 その時はまだわたしはこれからも彼と上手くいくはずとそんなふうに思っていたのであった。



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