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ゲームで青春をもう一度  作者: 正宗
本編
95/133

第18話:いざ表舞台へ03

対戦が始まる。


北森さんのキリツメはバックステップからの低空バックダッシュで一気に距離を取る。

僕のシハラの牽制攻撃を見てからの行動だと思う。

開幕でキリツメとシハラの攻撃をカチ合わせる場合、キリツメは無敵時間のある対空技しか勝ち目が無い。

しかし、それはリスクが大きい割にメリットも無い。

そうなれば、バックステップか低空バックダッシュの二択しかないのだが、シハラはリーチのある対空技を持っているのでバックステップが安定する。

その分、当然バックステップは読まれやすい行動になる。僕もバックステップだろうと思っていた。

けれど、この対戦の勝敗には大きな意味がある。どこかで勝負をかけなければ勝てないのが格ゲーだが、序盤から仕掛けるのはなかなか難しい。


十分間合いを取ったキリツメは地上にいるシハラを目がけて攻撃を仕掛けてくる。

一発一発にたいしたダメージはないが、地味に体力が削られていく。

しかも、その間キリツメのゲージが溜まっていくので、早くしないと行動の選択肢を増やされてしまう。


でもそこで焦るわけにはいかない。

キリツメには空中の相手を落とす技をたくさん持っている。

ヘタな空中ダッシュはかっこうの餌食だ。

僕は空中ダッシュを控えながら、少しずつ近づいていく。


なんとかキリツメの頭上までやってきたが、キリツメの対空攻撃をガードさせられてしまう。

ジャンプキャンセルでキリツメが空中攻撃を仕掛けてくる。

それも連続ガードするのだが、ガードしたまま地上に引きずり下ろされ、地上攻撃に繋げられてしまう。

ダメージは受けなかったものの、キリツメは最後に相手を遠くに引き離す技を出し、シハラを振り出しに戻す。


最後の技は出してくるのが分かっていたので、その間に自分と相手のゲージを確認する。

シハラは10%くらいで、キリツメは25%越え。25%あれば一回だけ必殺技を強化して放つことができる。

その強化必殺技の中に一つ厄介なモノがある。高速で飛んで来る上に、くらってしまうと浮いてしまい空中コンボを食らってしまう強力な技。

よくダッシュやジャンプの出始めに刺さってしまう事が多く。正直嫌いと言ってもいい。


まだ序盤なのでここは我慢して、相手にゲージを吐いてもらうのを待とう。

僕はそう考えて、さきほどと同じようにリスクを抑えて接近を試みる。


が、僕のその心理を見透かしたように、シハラのジャンプに合わせてキリツメも跳び、空中攻撃を仕掛けてきた。

シハラは常にガードしているので攻撃を防げたが、さっきと同じように地上へ下ろされてしまう。

僕はその瞬間、キリツメの投げが頭を過ったが、ずっとガードを意識していたせいか操作が一瞬遅れてしまう。

予感通りキリツメの投げを食らってしまい、そこからコンボに繋がれてしまう。


キリツメの投げコンボは最後に相手を地上に叩きつけて距離を取るのがベターなのだが、北森さんはダメージ重視のコンボを選択して、シハラを空中に置いていった。


わざとシハラを空中に残して、再度刈り取るつもりなのだろう。

そう考えた僕はバックダッシュで安全に着地する。

地上に降りてみると、お互い画面端を背負うほど距離が離れていた。


状況がかなり苦しくなっている。

僕のバックダッシュを予想していたから、地上に落とすより空中に残す事を選んだのだと気が付いた。

キリツメのゲージは50%に達してて、何かに引っかかったらどこからでもコンボが取れる状態になってしまっている。

シハラはまだ25%に届かず、どんどん不利になっていく。


強い。

こうも丁寧に対処されてしまうと、失敗するイメージばかりが見えてしまい、思考が鈍って次の行動が決められなくなってしまう。

ここはリスクを取って流れを取り戻さなくては。

距離が離れすぎていてキリツメの攻撃すら届かないこの状況を利用して、僕は必殺技の空打(からう)ちをしてゲージを稼ごうとする。


最初の一発目で僕の行動を察した北森さんは、キリツメをダッシュさせて攻めてきた。

そして、遠距離攻撃を仕掛けてきたのだが、その攻撃はシハラの頭上を通る。

その攻撃に空打ちしていたシハラの対空攻撃が重なり相殺した。


今っ!

僕が取ったリスクは、北森さんが"僕が空打ちで誘導していると読んでくる"事に賭けたこと。

相手にわざと攻めさせるのは、シハラ使いなら割とよく使う手段である。

相手もそれは承知していることなので、そこに読み合いが発生するのだが、状況有利なキリツメなら対空を選択する可能性が高いと僕は考えた。

なぜなら、スカしてもシハラの攻撃は届かないし、当たれば大ダメージ確定だからだ。

北森さんなら僕が地上に居座ることも考えただろうが、丁寧な対応が武器であるが故に、この有利な状況を手放さないと僕は読んだ。


空打ち二発でゲージが25%になるのはわかっていたので選択した行動だった。

僕は25%のゲージを使って、強化移動技を出してキリツメを目がけて飛んでいく。


北森さんも移動技を読んで攻撃を出していたが、相殺してお互いの技がキャンセルされてしまったことで、キリツメの攻撃が出るのが早すぎた。

シハラの目の前を攻撃が通り過ぎ、シハラは硬直しているキリツメの前に降り立つ。


僕は弱攻撃で確実に攻撃をヒットさせ、ダメージは低いが起き攻めに繋げられるコンボを選択。

ゲージは無いが、運よく掴んだチャンスを逃すわけにはいかない。


が、キリツメはゲージが溜めっていて、リバサで放った無敵技をガードされても、それをケアできてしまう。


ここを勝負所と考えるか。

コンボ中と相手がダウンしている間、2秒にも満たない時間で僕は決断しなければならない。

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