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ゲームで青春をもう一度  作者: 正宗
本編
69/133

第12話:青春協奏曲~法王の正義~01

チーム活動にも参加するようになって、さらに一ヶ月が経った。

週二で部活、週三でチームで格ゲーを僕はやっている。

もちろん、家に帰ってからも練習しているわけだから、毎日と言ってもいい。


"毎日やる"こと自体はこちらの世界に来る前からやっていたが、中身が変わったように思う。


部活動では教える立場なので、前回教えたことを踏まえて、教えているキャラを少し掘り下げる。

キャラ対策のために全キャラいじっていたが、人に教えるために一つ一つ理屈を付けていくとさらに自分の理解も深まった。

ちゃんと研究していたつもりだったが、思っていたよりもアバウトだったことを知った。

持ちキャラではないキャラを考えるのは大変だったが、相手のやりたい事を予測する材料になり、ずっと課題だったディフェンス面を強化できている気がする。


チーム活動ではどちらかというと教えてもらう立場になる。

僕も助言をするが、メインはやはり他人から指摘された弱点を克服すること。

指摘してくれることはとてもありがたいことだと頭ではわかっているが、実際に言われてそれを改善しようとするとものすごく体力を使う。

これも"毎日やっていた"ことなのだが、自問自答だけでは限界があることを痛感した。真剣にやっていたつもりでも、無意識にセーブしていた部分があったのだろう。

最初は指摘を意識しすぎてバランスを崩したりしたが、自分の操作・選択の安定感がいつの間にか増していた。


ライジングへの出場かけた総当たりも悪くない成績。

しかも、今は調子が上がって来ていて五連勝中。

僕は今、絶好調と言っていい。




水曜日の放課後。


「やばい、何もしていなかった…」


授業を聞いていないのは今まで通りだが、ノートすらとらなくなってしまったのは最近のこと。

授業中に格ゲーの事を考える集中力が上がり過ぎていて、気が付いたらトリップしていることが多い。


「現内くん、もしかして寝てたの?」


花尾間さんが僕の横へ来て、真っ白なノートを見てそう言った。


「いや、起きてはいたんだけど…」


「もしかして、今日の部活のことを考えていたの?」


「まぁ、そんなところかな。治さなちゃとは思っているんだけど」


僕は頭を掻きながら、たははと笑った。

部活に一生懸命でも、本業の勉強が疎かなのは印象が悪いはず。早く治さないと。


「じゃあ、ノートをコピーさせてあげようか?」


「えっ、いいの?」


「他の人には内緒だよ?現内くん、ただサボっているわけじゃないし。一応ね」


花尾間さんがそう小声で手助けを名乗り出てくれた。

この優しさが本当に身に染みる。

しかも、他の人には内緒ってあたりが特別感があってたまらない。


「助かります!」


「はい」


気持ちが躍り過ぎて素直にありがとうと言えない。

それを汲んでくれているかのような対応がまたかわいい。女子力というかヒロイン力が高い。


「あ、そうそう。どうだった抽選」


花尾間さんが、昨日抽選結果が発表されたロケテについて聞いてきた。


「…だめだったよ」


僕は、メールに書いてあった「申し訳ありません」の文字を思い出しながら答えた。


「そっか、残念」


「これで何件目だろう?ロケテって本当に取れないね」


「うん、世間よりも先にプレイできるわけだからね。みんなやりたいんだよ」


愚痴の一つでも言ってよさそうだが、そこが花尾間さんの懐の深さ。


「おーい、迎えに来たわよ」


程なくして、関泉さんが僕らのクラスにやって来る。


「じゃあ、いきますか」


「うん」


「なんか、すっかりこの流れが定着したわね」


「あはは、ごめんね涼奈」


「…別にいいけどさ」


僕ら三人は部室へと向かった。




いつものように部活の準備をしていると、まだ開始時間ではないのに屋良さんから集合がかかった。

いつもとちょっと違い、顔つきが真面目な感じだ。


「さてみんな、夏休みが近付いてきたということは、期末テストがもっと近いということです。赤点だけは取らないように、でないと夏の大会に出られなくなってしまいます」


「おっ!ということは」


箕内さんの合いの手に、屋良さんが目線だけで答える。


「そう、これから三年生は別の部屋に移動して、チーム戦・個人戦のメンバーを話し合いたいと思います。ちなみに、このやり方がうちの伝統みたいになっているけど、別に強要はしないから、二年生は秋大会をどうやって決めるか考えておいてもいいかもよ」


屋良さんがみんなをぐるっと見渡した後、最後にもう一度僕の方を見た。

すると、それに気が付いた箕内さんと、遅れて渡辺さんが振り返ってきた。


各々その視線に意味がありそうで、僕は後ずさりしたい気分だった。


その後、いつも通りの話があって、一二年生だけで部活動が始まった。


夏の大会か。

ライジングも夏開催だから、重なったりしたら嫌だな。


あと、誰が出場することになるのだろう?

基本的には三年生だろうけど、全部で何人出場できるんだ?

交流戦の時のように、出場させてくれないかな?


そんな甘い事を考えた瞬間、渡辺さんの怒った顔が頭に浮かんだ。

ここはチームじゃなくて部活。実力だけの世界ではない。


出れるにせよ出られないにせよ。これは三年生が主役で最後の大会、僕はその引き立て役になろう。

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