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ゲームで青春をもう一度  作者: 正宗
本編
30/133

第5話:これが勝負でした05

そして、メインイベントのトーナメントが開催された。

各校から8名ずつ出場して、準々決勝まで同じ学校の部員とあたらないように組み合わせが行われる。

その中で、5連勝した人が優勝者となる。


「おぉ!」


「今のはうまいな」


「あれを避けれるのか」


僕は今、準決勝の舞台に立ち、1本目を先取したところだった。

勝利ポーズをとる自分のキャラを眺めていると、観客からの声が聞こえてくる。


どうやら、僕の実力はこの交流戦の中で群を抜いているようであった。


1回戦。

竜川高校の次期エースが苦戦を強いられたのち敗退。

聞けば相手は一週間前に入部したばかりの新人ということで、体育館はどよめいた。


2回戦。

亀里高校の3年生が1本目を制すも、2本目から攻略され、たいしたダメージを与えられず敗退。

1本目と2本目であきらかに動きが変えてきた新人に、全員が舌を巻いた。


準々決勝。

鳥塚高校の部長は慎重な立ち回りでリスクを抑えてチャンスを待つが、相手も隙を見せず、終わってみれば防戦一方で敗退。

まるで相手の考えが読めるかのように相手を追い詰める新人を、言葉にできずみんな静まり返った。


準決勝。

今度は竜川高校の部長が対戦するも、激戦の末1本目を取られる。

ここへ来てようやく、まわりは新人を強者と認識して、各々感想を言い合うようになった。


そして続く準決勝2本目。

竜川高校の部長は、普通にやっては勝てないと踏み、トリッキーな攻めを展開した。

もともとキャラ相性がいい上に運も乗り、じわじわと新人の体力を削っていく。

しかし、一度捕まったら最後。貯まっていたゲージを使って逃げようとするも、それを想定していた新人からは逃れられず、一気に押し切られて敗退した。


勝利画面が大きなスクリーンに表示されたと同時に二人が立ち上がると、拍手が二人の健闘を讃えた。


「いやー、強かった。まいったよ」


竜川高校の部長が頭を掻きながらそう言った後、手を差し伸べてきた。

僕はそれに応え、握手を交わす。


「ありがとうございました」


「でもさ、そんなに強くて、何で今更部活に入ったの?」


握手をしたまま、部長は不思議そうに聞いていた。


「えと、それは…」


「あー、ごめん。あるよね事情。聞かなかったことにして」


そう言って最後に強く僕の手を握った後、部長は僕に手を振りながら、仲間の元へ歩いて行った。


僕はこのまま続けて決勝戦のため、その場に残る。


決勝戦のアナウンスがされると、パッツン黒髪の女子がこちらに向かって来る。


この女子こそ、決勝戦の相手であり、亀里高校の副部長であり、僕が女子マネージャーかと思った人である。

名前はたしか、河船(かせん)志弥(しや)


ちなみに、亀里高校の部長は準決勝で河船さんに負けていて、おそらく河船さんが一番強いのだろう。


「よろしくお願いします」


年下である僕に、礼儀正しいお辞儀をしてくる。


「よ、よろしくお願いします」


僕もつられてお辞儀をする。


そして、河船さんは僕と目を合わせることなく、筺体の席に着いた。


僕はなんとなく、その姿を眺めてから席に着いた。


女子が格ゲーをやっているだけでもまだ違和感があるのに、いかにもいい所のお堅いお嬢様みたいな人なもんだから、つい目がいってしまう。


けれど、そのプレイスタイルは真逆な印象で、画面を忙しなく跳び回り、相手を翻弄してガードを崩す。


どこかぎこちない動きを見せるこの面々の中で、彼女だけは臨機応変に動いていた気がした。

1回戦2回戦と勝ち上がるにつれ、それは気のせいではないことに気づき、注意深く観戦してきた。


おそらく、この中で彼女が一番の強敵。


僕は静かに深呼吸をすると、自分が落ち着いているか確認した。


大丈夫。むしろ、対戦をこなしてきて慣れてきている。


僕と河船さんはほぼ同時にキャラクターを選択して、決勝戦が始まった。


「現内くん、がんばれよー」


「河船さん、ここまで来たら優勝しましょう!」


二人を応援する声が体育館に響く。


河船さんが使っているキャラは「スイ」。

体力が最低の代わりに、最速のスピードを持つキャラクター。

使い慣れてくれば楽しいタイプのキャラなのだが、速過ぎて操作が難しく、体力も無いので事故負けしやすい。

なので、持ちキャラにしている人は職人ばかりで、シリーズを通して強キャラ認定されたことはない。


しかし、最速の動きと、シハラに負けない手数の多さは脅威の他ならない。


1本目開幕と同時にお互い距離をとる。


河船さんが使うスイは、前後上下に動き回る。

迂闊に動くとすぐに攻められてしまう僕のシハラは、慎重に距離を詰めていく。


そして次の瞬間、チャンスと思い突っ込んできたスイに、ばら撒いていたシハラの牽制が運良くヒットした。

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