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十二連世界の『最強』  作者: Red_stone
4章 滅び行く世界
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第13話 神との邂逅

さて、いつの間にか統の世界に来ていた私だが。


まあ、統の世界とは何かを最初に考えようか。

というのも、ここはラスボスステージとしか考えていなかったのだ。


ここは世界を滅ぼそうとした魔王がいた世界。

この世界は門の前からレベル150を越える魔物が沸く。

ラスボスステージだからと納得していたが、明らかに異常だ。


そして狭い。

魔王の城と庭くらいしか存在しない。

そして魔王の城より後ろは存在していないという公式設定が存在する。

進んでみても、確かに断崖絶壁で進入不可だった。



つまり、この世界は他の世界と一線を画す、特別な世界ということか?



.......現実逃避していたが、私の目の前に扉がある。

扉は生贄を求めるかのように、口を開いている。




景色が変わった。

気づくと、私はすでに城のエントランスにいた。

目の前には光の玉が一個。


これは予想外。

扉をくぐらなくとも進行する強制クエストだったか。

まだ心の準備が完了していなかったが仕方ない。


「正解」


一瞬何を言われたのかと考える。

すぐに、先ほど思い浮かべた疑問のことだとわかった。

こいつは読心術が使えるのだな。


「で、この特別な世界に存在する知性であるところの君は一体何かな?」


知性と言っても、単にモンスターでないだけだが。

しかし光の玉に見えても、何か特別な存在に違いない。

魔力も何も感じないが、逆にそれが不気味だ。


「神」


神?

こんな光の玉が?


「君はこの世界の神なのかな?それとも12連世界の?いやいや、それより多くの世界ということもあるかもしれないね」


自分のことを神だと教えてくれても、実は何一つ情報をくれてはいない。

神と言っても、実際にどんな存在かは解釈しだいだ。

どんなことが出来て、何が目的なのかはわかったものではない。

せめて、どれくらいの規模で動いているのかは知りたい。


「12連世界、神の1柱」


12連世界を管理する神の1柱か。

これはまた、あっさり情報をくれたな。

隠す必要がないというのであれば、助かる。

とはいえ、この言い方だと神は複数いるか。


「俺はどうしてここにいるのか、教えてくれないかな?」


さて、どう応える?

この質問には2重の意味がある。

あるいは、もっと多くの意味が。


「バグ、不明」


こいつは私の心が読める。

つまり前者の答えは私の魂に混ざった、もう一人の魂のこと。

そして、後者はここにいる理由は神にすらわからぬことを示す。


バグ、か。

なら、私の魂が他の人間と混ざったのは、神の差し金ではないのか。

ただの偶然、偶然に力を得たセロレアと何も変わらない。


そして、後者は第3者の警戒をしなくてはいけないと言うことだ。


「なら、お前のしていることは?魂は神の管轄ではないのか?」

「不正解。文明の終焉―ラグナロク―」


神と言っても、全ての魂の管理をしているわけではないか。

しかし文明の終焉とは、穏やかではない。




「ラグナロク?世界が滅ぶのは貴様達の意思というわけか?」

「不正解。人」


「人を殺さねば世界が保たないと?」

「正解」


「は、その見解については棚上げにしようか。で、世界が滅びるのは何故だ?」

「不足、使用領域」


「不足?使用領域が、か?使用領域とは、現世に存在する全てのポテンシャルと世界が許容できるポテンシャルの比だな?風船と中の空気に例えられるような。で、今は空気が増えすぎて風船が裂けてきているわけだ。何故対策しない?」

「実行準備中」


「もしかしてラグナロクをやる気か?裂けた風船が直るわけではないだろうに」

「実行」


「どうしても行うと?」

「正解」


「そうか、お前相手に何を言っても無駄か。もういい」

「」


「で、お前は何を思って私をここに連れてきた?こんな場を用意してくれているのだから、見ているのだろう。姿を現せ」

「意図不明」




お前に言ったのではないから当然だ。

神と言ってもこいつには感情どころか、大した処理能力もない。

一連の会話は、入力に対して出力を行っただけ。

つまりは、わかるところだけに答えを返していただけだ。

こいつのほうを向いてもいないのに応えたのも、それがわかるだけのAIがなかったからだ。


常時目覚めているのだから容量を節約するのは当然かもしれないが、その能力では私をこの世界に呼び出す決断をすることは不可能だ。




つまり、この場を用意した人間は他に居る。

神の存在を知り、私を使って何かをしようとする人間が。

まずはその人間と会わなければ話にならない。




「あらあら。あなたは頭の鈍い方ではありませんから当然ではありますが、気付かれていたとは」


何で、ここで昔の仲間が出てくるかね。

それに、人を喰ったかのような話し方は相変わらず標準装備か。

貴族、王族の必須技能なのか?

俺の元仲間は、死んでもいいから私に貸し与えられた王族ばかりだったと思ったが。

まともな教育は受けていたと言うことかな?


「一体何のようだ? 『破滅』エリス・アレストラ・ネロ」

「忠告ですわ。『最強』ルシフェレス・ファフニル・イラ」


体に緊張が走る。

神などと言う存在は知らなかった。

私が知らない知識を持つこいつは、何らかの大きな力を持っている可能性が高い。

私と神をこの場に引き釣り出したのが証拠だ。


「忠告か。それより私は君の力の源を知りたいね」

「そう、いいわよ。我の力の一端を見せてあげる。現世を裂き顕現せよ『IF・ZERO―インフィニティ・フォートレス=ゼロ―』」


空間に亀裂が走る。

その亀裂の間には、世界すら超えるほどの巨体を持つ鉄の船が浮かんでいた。

まるで魔力を感じない船は、ただ鉄塊の荘厳さのみを纏い鎮座していた。

しかし、それには圧倒的な存在感があった。

まるで世界そのものすら押し潰してしまうような。


「馬鹿、な―。それは、何処にも存在しないが故に窮極の能力を持った仮想量子回路―アイン級量子演算機構―をしてすら再現できない化け物戦艦。理念上の神を体現した”絶対存在”。”この世ならざるもの”を相手にしても容易に殲滅できるほどの能力を持つ空間支配型戦闘母艦ではないか!?」


絶望と共に叫ぶ。

生まれて初めて、恐怖に足をすくませる。

かちかちと、歯が鳴く。


ニヤニヤと嗤っている女の姿は気にならない。

そんなものは、この恐怖の前にはどうでも良くなっていた。


こんなのは嫌だ。

まるで歯の立たない相手に虫けらのように踏み潰されるのだけは嫌だ。

私は、己の魂を削るような戦いの中で死にたい。


「そう、この力を前にあなたにできることなど何もない。諦めなさい、それがあなたにできる唯一のことよ」


そう、私には何もできない。

この絶対存在を前に何かできることなどあろうものか。

世界を、我が国を守ると誓ったのに。



不義の子として忌み嫌われて。

教育されなかった故に人として認められず。

世界の全てを憎んだ少女を前に、何もできないのか。


こいつには世界を滅ぼす理由がある。

誰も助けてくれなかった、という理由が。

誰も愛してくれなかった、という理由が。



「貴方は、世界を滅ぼす気なのか?」


答えはわかりきっていた。

それでも聞かざるを得なかった。

この私が、か細い希望にすがることになろうとは―


「その通りよ。私の力を前に絶望しなさい。あなたの矮小さを嘆きなさい。この力と、人の業を持って私はこの世界を滅ぼす!」


エリスは世界を滅ぼす己に陶酔している。

世界を滅ぼさない、という選択肢はないか。

もう、終わりだ。

12連世界はエリスによって葬り去られる。




―待て。

終わりだと?

もう?


それは、”すでに”の間違いではないのか?


こいつの力なら世界を滅ぼせる。

なら、なぜそうしない?


私相手に自慢話をする必要が何処にある?

自分に苦しい思いをさせた親を、散々に痛めつけて殺す。

そして世界を滅ぼす。

こいつの目的はそれなら、さっさと実行すればよいではないか。


先に私を絶望させて、遊ぶ必要などない。




なら考えられることは―

私を絶望させる理由なんて―


はったりということしか考えられない。

見せ掛けなのだ。

あの戦艦は、ただの張子の虎だ。

空間支配能力なぞ、この女は持っていない。


つまり、IF・ZEROは邪魔者をどうにかする為のはったりでしかない。

そうせざるを得ないほど、私が邪魔というわけか。

そして、さっさと私を殺さないのならば、それはできないからだという結論に達する。




ここまで、絶望に染まった表情のままで考える。

顔をわずかに伏せる。

少しは絶望しているように見えるか?


機を伺う。


チャンスは来るはずだ。

奴は今、躁状態にあるのだから。

陶酔した人間ほど、隙を突きやすい人間はいない。


「ふふふ。あははははははははは。そう、滅べ。滅びてしまえ!私を愛してくれなかったこの世界など滅んでしまえ!あなたたちが悪いのよ?私を傷つけるからこういう事になるのよ!」

「うう....ううううううううう」


力なく呻く....

......振りをする。


もっとだ。

もっと周囲を省みることなく己に陶酔してしまえ。


私から注意がそれた瞬間、致命傷をくれてやろう。


「ふふふ。あなたはそこで神様と一緒に絶望してなさい。じゃあね、あはははは」


後ろを向いて、手を振るエリス。

その顔は憎しみに歪んだ邪悪な笑顔だろう。

ご機嫌なことで何よりだ。


隙が、できた。

私はそれを見逃さない―


「さよならを言うのはどうやら私のようだね?策士策に溺れるとはこのことだ。まさか、君はこの私が張子の虎に引っかかると、本気で思っていたのかね?」


心臓を手刀で貫く。

さらに、頭も貫こうとする。


空間転移でかわされた。


まあ、いいさ。

エリスは心臓を潰されたくらいで死ぬ女ではない。

しかし、手傷は負わせた。


今日のところはこれで満足しておくとしよう。



しかし、先ほどの空間転移といい、わずかな空間干渉能力はあるようだ。

本当に単なる張子の虎、ではなかったようだ。


しかしまあ、本来のIF・ZEROとは比べるのも馬鹿馬鹿しいほどのちっぽけな力だ。

まあ、量子コンピュータとICチップを比べるようなものだから当然か。


考えてみたら、同時空間に存在しているだけで私が死なないはずなかった。

それほどIF・ZEROは他の全存在と比べても存在の規模が違う。


今更何を言ったとしても、私がビビったことの言い訳にしかならぬだろうが。




しかし楽しいことになった。

これからの私の相手はエリスか。

相手にとって不足はない。


どのような手段でも使って見せろ、『破滅』。

私はその全てを打ち破る。

そして、大罪の国をひいては世界を守る。



守ると言えば、本来その役目を司るのは神だ。

しかし神と言っても、みすぼらしかったな。

あれではレベル1なのではないか?

監視するためにはレベルなどいらないだろうが。

ろくな処理能力すら持っていなかった。


神はラグナロクを実行すると言った。

だが、おそらく過去にラグナロクは一度防がれた。

他ならぬこの私によって。


つまり、神は魔王だ。

文明と言う世界を滅ぼす存在を、人は魔王と言ったのだろう。

天を割き、地を砕くあの力は文明に終焉をもたらすのには十分だ。

2回目だから、おそらくもっと強力な魔王が出てくる。


ある特別なアイテムにより、弱体化させることに成功したが次はそうも行かない。

あのアイテムは使い捨て。

2個目を用意することは不可能だ。

そして発動に必要な、膨大な魔力はもう用意することはできないだろう。




私はそれを用意するために七人の王女を借り受けた。

もちろん全員レベルなどない同然だったが、魔力の増幅のために国の最強戦力レベルまで成長させた。


しかし、そのことに恩義を感じている国家はない。

そのため、高レベルの王族をもう一度借り受けることは不可能だ。

それほどに王族を高レベルに成長させてやる恩義は莫大なものであり、王女が自分で強くなったと思わなければやってられないわけだ。

だから、高レベルにまで成長させてやったという事実は全ての国が無視する。

その代わりに高レベルの王族を貸してやった恩はしっかりと覚えておくというわけだ。


双方が双方に対して、恩を感じてなどいないと言うことだ。

もちろん一方的に得をしたのは王族を貸した国家の方。




義理も何もあったものではないが、これが現実。


もちろん、世界に危機が迫っているからと言って高レベルを貸し出す国もない。

低レベルなら、先程言った方法論が使えるので貸すかもしれないが、悠長に一から育てている時間はない。

才能があっても、時間と金がなければ成長できない。

才能ある低レベルを貸すと言うことは、それだけ利が大きくリスクは極小なのだ。

だから王女レベルまでならいくらでも借りれた。

身分の低い親から生まれた王族は結構いるしな。

代わりはいくらでも居るのだ。

高レベルの人間とは違って。



頼れるのは我が大罪の国のみ。

それだけでエリスからこの世界を守らなくてはならない。

それも良いだろう。


他の国は頼れないと言うのなら、利用すれば良いだけ。



利用できるものは全て利用し、他の国を喰い潰してでもエリスの企みを阻止して見せよう。


相手がチートすぎて絶望したら、張りぼてだったと言う話。


エリスは世界の滅びに関わる重要なキャラです。

これからはエリスVS主人公の話になってきます。


黒幕が最初に登場するのは斬新と言えば、斬新かな?

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