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Episode 36 最終決戦Ⅲ 光闇は我に在り

Episode 36 最終決戦Ⅲ 光闇は我に在り









まっしろなせかい。

そこでグロストは出会った。


魂が失われるほんの少し手前のことだ。



グロストは再び、光と闇に出会う。




「グロスト、やはりお前の力では奴を止める事は出来ない。」


「…やはり…無駄であったのか…?」


グロストは弱々しく言う。らしくはないが、グロストの心はもはやそれまでに折れかかっていた。


誰かの応援や、願い。それらをすべて受けても、神には届かない。


何十年と力を蓄え、この力さえもコントロールした。

それでも到底及ばない。


グロストは心の何処かで、“諦め”を感じていた。




「…一つだけ、奴と対等にやりあう方法がある。」

闇は語る。

「……前に言っていた…切り札か…」


「ええ、しかしその力を使うということは…」

光は語る。






「“あなたの魂を対価とする。”ということなのです。」



「魂を…対価に…」



「そうだ、光と闇の力…それはかつてずっと昔。この世界よりずっと遠くからやってきた。その力の強大さは計り知れず、その当時の生物のほとんどを根絶やしにしたという。」


闇はビジョンをグロストに映し出す。


そこには、今の戦いとは比較にならないぐらいの大戦争が起こっていた。

人と、あれはドラゴンだろうか。

ゴードスのような生き物が、世界の様々な場所で戦争を引き起こしている。




「しかし、ある2人の人間が、2匹のドラゴンと、人間とドラゴンを組み合わせて生み出された生命体…5つの命が力を合わせ、その力を打ち倒し…生き残った者がこの光と闇の力を封印したのです。」


封印された力が地に宿る映像が映し出される。



「しかし、この世界はその大戦争後も…神、ディスタバンスの手により、何度も窮地に落とされます。しかし…そのたびに誰かが立ち上がり、この世界をここまで守ってきました。」


「だが、ディスタバンスももう限界なのだろう。今度は奴が直接この世界に降り立った。」




ディスタバンス。

あの神こそが、全ての絶望のはじまり。


「光と闇は、その影響で復活します。そして、その封印の地でたまたま捨て子としてそこに居た2人の竜人にその力が宿りました。」


「2人の竜人…それが…」




「「はい私たちです(あぁ、俺達だ)」」




「私たちはその力を無意識にコントロールしていました。しかし、それは発現すらしていなかったから。しかし発現してからというもの、それぞれ力に翻弄されながら、その力を狙われながら…私たちは命からがら、あなたがかつて暮らしていた村へとたどり着き、そこで…私たちの魂と共に、その力の封印を行ったのです。」


「…」



「この力が今度誰かに宿る時が来るならば、この戦いの運命を強いられたこの世界を平和に導ける者でなくてはならない。そう思った。だが…事態は急を要した。破壊軍の登場により世界はどんどん破壊されてゆく。誰かここにきてくれれば…そう思ったとき…お前が来たのだ。グロスト。」




「…俺が…この力を復讐のために使う。そう言ったはずだ。」


「正直不安だった。だが、もはや猶予はない。それにお前はかつての優しい心が消えていなかった。きっとお前ならば良い力の使い手になると…俺たちは信じてお前に託した。だが…それは正解だったようだ。感謝している。」

闇はグロストに感謝を述べた。


「そしてあなたは今、世界の運命を担う選択をしなければなりません。私たちが渡せるすべての力をあなたに捧げます。しかし、それはすなわち…あなたの魂を犠牲にするということです。」



魂を失う。


それはつまり…“死”である。



「……」

グロストはウィルとの約束を思い出す。


生きて帰り、平和になった世界で共に暮らすことを。





「お前に残されている選択肢は2つ。力を授かり、世界を救って死ぬか…このままなにもせずに死を待つか…お前には酷な選択かもしれない。だがもうこれしか道はないのだ。」




「グロスト、あなたが望むなら、私たちはあなたに力を与えます。」


光と闇はグロストに選択を促した。



世界を救って死ぬか

そのまま死を待ち、世界が滅ぶか








グロストは静かに目を閉じた。


今までのことを思い返している。



―――



ウィル。

お前は最初、俺に心を開かせようとしてくれたな


何度も拒絶し、お前に酷いことをした



それでもウィル。お前は笑って俺の心を開かせようとした


1人孤独に復讐を誓っていた俺の心を開かせ…今俺はここでこうして立っている。

それは紛れもない。お前のおかげだ






ありがとう。




―――




ゴードス。


お前も、俺を受け入れ、そして共に戦った。

ウィルと共に俺のことを大切に思い、時には争うこと。


お前自身が闇に囚われたこと。


ぶつかり合うことも多々あったが…



俺はお前が将軍であってよかった。今はそう思っている。

俺に手を差し伸べてくれたお前が居たから、俺はここに居る。





感謝している。




―――






ウィル。

ゴードス。


共に戦った兵士たち。





グロストは目を開いた。























「…分かった。やってくれ。」




グロストの眼には決意が見えた。


熱く燃える魂が。まだグロストは折れていない。


「…良いのか?」


「…あぁ、やってくれ。」


「その決意の理由を聞かせてください、グロスト。」

光は問う。




「…守りたいからだ。大切な人々が生きるこの世界を…今生き残っているすべての生命に生きてほしい。ウィルとの約束は…守れない。だがウィルは分かってくれる。俺は信じる。」



「…あなたの命が失われるとしても?」

「あぁ、そうだ…俺は戦いに生きてきた、平和な世界など性に合わん。」

グロストは小さく微笑んだ。


「フッ、迷いは消えたようだな。良いだろう。お前の覚悟、想い…しかと受け取った。」


「グロスト、あなたに力を与えて本当によかった。」

闇と光は微笑んでいるように見えた。



「これより私たちはあなたと完全にひとつになります、あなたが死するとき、私たちも…光と闇と共に消えるでしょう。」

「この力はこの世に存在を消すこととなる。」



「…良いのか?」

グロストは問う。


「我々は共に永く生きすぎた。」

「私たちはずっと一緒に居られた。死してもなお、それは変わらない。だから良いのです。」


「…分かった。お前たちの魂も、全て俺があずかろう。」


「頼むぞ、グロスト。」

「私たちの最後の力で」










「「“この世界に平和を”」」





----------------------






「ウオオオオオオオオオ!!」


「ゴードスさん!危ない!」

「!?」


「てああっ!!」



10万を超える破壊軍兵士と戦いを繰り広げる平和軍兵士たち。


「すまん、助かったぞ!」

「いえ、ですが…きりがない…!」


「だがやらねばならん…」



1人が数百の兵に囲まれてしまうような状態。

その数は圧倒的だった。


「魔法部隊!奴らを一つに集めるのじゃ!」

「は、はい!」


ゴードスの指令により魔法を使える兵士たちはいっせいに、重力を発動させ破壊軍兵士たちの半分ほどを一つの場所へ集中させた。


「下がっておるのじゃ!」


ゴードスは空高く飛んだ。



「下がれー!下がれー!」


ゴードスは周りの人を感知する。

破壊軍の周りに味方が居ないことを確認したゴードスは体中に魔力を溜める。


その力は大地を震わせた。グロストの力に負けず劣らず。そんな膨大な魔力がゴードスに集まっていく。



「リリア、力を貸してくれるかの?」



“もちろんです”

そんな声が聞こえた気がした。



ゴードスに纏うは、灼熱の炎と、美しい浄化の水。


ゴードスと、愛するリリアの残した力。

炎と水が混ざり合うその一撃が破壊軍兵士たちをチリへと変えた。


世界に大穴が空きそうなほどに壮大な大爆発が戦場に覆われる




「す、すごい…!」


「ゴードス将軍の力…凄い!」


これで破壊軍の兵士たちは半分を切った。

それでも約5万人の兵士が残る。

しかし平和軍の兵士の数は減っていない。


それでも、平和軍の兵士の数は2000以下。


差はまだまだ埋めれていない。

だが戦況はより好機である。


「…魔力を使いすぎた…もうこの大技は使えん…皆!これからじゃぞ…!」


「やってやる!これで数がだいぶ減った!平和を取り戻すために戦うぞ!」

「「「「おおおおお!」」」」




「ワシらは屈さぬ!まだまだ…これからじゃあああ!」


平和軍はまだこれからだ。




このとき、グロストの方でも、変化が起こっている。

そう、グロストの力はまもなく、覚醒を迎える。


それは、己の魂を対価として発動する最強の力。



まもなく…終わる。



----------------------



「こいつで終わりにしてやる。」


ディスタバンスはグロストの中にある魂を感じ取っていた。見逃すはずがなかった。

ディスタバンスは徹底的な勝利を求めていた。

そこにグロストの肉体がある限り、その欲望と破壊衝動は抑えられない。



だが、グロストは…まだあきらめていない。










「クッ…オオオッ…オオオオオオオオオオ!!!」


カッと目を開き、爆風が巻き起こる。


「…!?」

吹き飛ばされるディスタバンス。

「てめっ…何を…?」


「グゥゥッ!オオオオッ!ガアアアアアアッ!!!」


溢れんばかりの力。

そのとんでもない力がグロストからあふれ出す。

その暴走を抑えきれずグロストは咆哮をあげる。



しかし、グロストの全身に起っていることは明らかにそれとは真逆だ。


ディスタバンスによって傷ついていた身体がとてつもないスピードで修復していく。


「こいつは…なんだ…!」

ディスタバンスさえも驚くその力。


「馬鹿な…!光と闇の力は強大だ…それは俺もよく知っている…だが、こいつは違う!てめぇ!その力…なんなんだ…!!」


明らかに動揺を見せるディスタバンス。


それを塔の中から見ていたウィルたち。


(これは…!っ!うわああっ!!)



ウィルたちの魂が見ていたものが遮断された。


なにも見えない。

ウィルたちは戦いを見られなくなってしまった。

ディスタバンスの動揺の影響なのか。それは定かではない。


まだ死にはしていない魂だが…その意識が薄れていく中、ウィルは願った。


(グロスト…負けないで…!)









「光闇は…我に在り…!!」






Episode 36 END




【語り手と語り手の竜】








さて……この本の作者がこの目で見た最終決戦はここまで。これから先の戦いの終わりまでは…彼がその戦いの終わりにグロストを通じて流れてきたものだと明記してあるね。

世の中は不思議なことに満ちている。きっとグロストから記憶を貰ったんだろう。





不思議な話じゃ。じゃがしっかり持ち帰った。この先の記載がそれを物語っている。さて、この本じゃが…これが原本なのじゃ。その証拠にホレ。




随分と濡れた後が多いだろう?これはね…この本の作者の涙らしいんだ…彼はきっと辛かったんだと思う。この先のことを描くのがね。









…ん?感謝の涙かもしれないって?どうして?











……ほーう。お前さんは本当に良い感性を持っておるのぅ。このままこやつの助手にでもしてしまおうぞ。








駄目だよ、僕の助手はもういるし、この子はまだ幼い。大人になってからだったら…考えてもいいけどね。




さぁ、最後の章をめくろう。彼の物語は終わる。そして…これからの歴史は続いていくんだ。グロストの命を懸けた戦いの行方、皆の魂の行方を…





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