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愛しいあなたへ  作者: ユノ
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愛しいあなた




私があなたに拾われて18年になるわ。私は0歳の時、お母さんとはぐれてしまったの。気がついたら一緒にいた兄弟達もいなかったのよ。

雨が降る中、寒い草むらの中で必死にお母さんを呼んだわ。何回も転びながら大きな草を掛け分けて走って走って。喉が潰れてしまうくらい叫んだけど、お母さんは来てくれなかった。



でもね、お母さんの代わりにあなたが現れたの。突然のことだったし、人間をちゃんと見たことがなかったからとても驚いたし、とても怖かったわ。

でも、私を掴んだあなたはとても優しく微笑んでいたの。とても優しかったわ、まるでお日様みたい。

私を見て幸せそうに笑ってるの。


私まだ覚えているわ。



そしてすぐに冷えた体を温めてくれた。ふわふわの毛布で私の小さな体を擦ってくれていたわね。私がブルブル震えるものだから、寒がってると思ってくれたのね。でも正直いうと、まだちょっと怖くて震えていたのよ。だから全然寒くなかったの。

心配かけてごめんなさいね。

でもとても嬉しかった。



私は外が嫌いよ。だって怖いもの。

大きな生き物がブンブン音を立ててすごい速さで走ってるの。おまけに時々ブーーッって大きな声で吠えるのよ。恐ろしくてたまらないわ。

でも、あなたにしがみついた時、あなたがギュッとしっかり抱きしめてくれていたから、実は少し好奇心もあったのよ。怖い、でももう少し先まで行ってみたい。わがままでしょ?でもあなたに抱かれるととても安心できたのよ。



今思ってみると、あなたと私はずっと一緒だったわね。よく夜遅くまで起きるなぁと思ってたのよ。何か棒を持ってずっとカリカリカリカリ…。飽きもせず毎日何やってるのかなって。あまりにも私に構ってくれないから目の前に寝っ転がって邪魔もしちゃったけど、そのことは許してね。

でも、私が邪魔してもあなた怒らないし、逆に笑うものだから私も嬉しかったの。



それに、朝方まで起きていた時はベッドの上に登って窓から朝焼けを眺めていたわよね。夕焼けはあなたのお母さんともあなたの妹ちゃんとも一緒に見たことがあったけれど、朝焼けを見たのはあなたとだけね。

夕焼けとはまた違って、とても綺麗だったわ。



あとね、私あなたの側で眠るのが幸せだったわ。時々優しく撫でてくれるの。あなたって温かくて、一緒に寝るのが好きだった。



でも、命の時間ってあなたと違うみたいなの。


私はそろそろ終わるのね。昔みたいに力が出ないし、遊びたいとも思わないわ。おまけに最近は食欲もなくて、ほんと困っちゃうわよね。

あなたが心配そうな目で私を見るから余計に申し訳ないわ。心配かけてごめんなさい。



でも私、あなたが大好きよ。


あなたが私を愛してくれたように、私もあなたを愛してるわ。




私ね、多分もうすぐ死ぬの。最近なんて寝てばかりでしょ?自分でも分かるのよ。



私はきっと、あなたの前に生まれ変わる。


でも、きっとあなたは気づかない。それってなんだか寂しいの。せっかく生まれ変わっても気づいてもらえないなんて、とても悲しいじゃない?



だから。



一緒に逝きましょう???



愛しいあなた…。




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