死
リッチ
それは不死者の王であり、神にさえ近き者
常闇の奥底に住まい、その魔力は測り知れず近寄るだけでさえ生気を失うという。
高名な魔術師が死後その膨大な魔力と秘術により成ったもの、死霊術により自らの肉体を作り替え成ったもの、様々あるが、生前魔術に長けていなければ十全の力を持つリッチには成る事は出来ないであろう。
そして死後その魔力は増幅され続け、邪神にまでも至るという。
今、俺の前には3体のリッチがいる
俺は生気の流出を防ぐ鎧を纏い、あらゆる魔力干渉を格段に軽減する盾を持ち、不死の者に生の理を強要する剣を握っている。
体には高位の聖者に満月の日に祈りを捧げ作られた聖水を振り死を遠ざけ邪悪を弾くといわれる身代わりの指輪も5つ持っている。
しかし、敵わない
身代わりの指輪は4つ迄砕け、残るは1つ
そして何より剣が折れた。
このまま戦い続けたとしても勝利は望むべくも無いだろう。
あと少し、ほんの少しで1体は何とか倒せそうなのに
しかしここで死んでしまえばそれも意味は無くなる
次の勇者が現れ育つまで何年も暗黒の時代が続くだろう
ここは引くより仕方ない
リッチの一体が俺に向かい鎌を振り上げた時、俺は転移の指輪を使った。
義父のリッチを倒して後、別の場所でリッチ出現の報を受けた
義父のリッチはどうやら陽動であったらしい。
俺は急いで転移の指輪を使い現場に向かったのだが、このザマだ。
取り敢えず最寄りの街に転移した。王都まで行く魔力は残っていなかった。
俺はその街の領主の館に向かった。物資の補充と替えの武器を見繕う為だ。
そして急報を聞いた
顔は青ざめ、破れたマントとボロボロになった鎧を纏い、息を切らした騎士が口を開く
「王都にハイリッチが、
魔王が出現しました」
俺は頭が真っ白になった。
王都にはカトレアがいる
カトレアは激化する魔王軍との戦いの中、身の安全の為、教会の本部がある王都に戻っていたのだ。
そう、大丈夫だ
教会本部は世界一安全だ
俺はそう言い聞かせつつも、館の備え付けの魔力ポーションを飲む
そして王都に転移した
そこには燃える教会があった。
俺の心臓は跳ね上がった。
教会の最上部の壁に何か白いものがついている
俺は全力で走った
心臓が引きちぎれる程走った
段々はっきりとしていくその白い物を睨み続け走った
嘘だと思い走った
そしてそれははっきりとわかった
胸を鎌で貫かれ張り付けにされたカトレアの姿があった




